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エゼキエル書

エゼキエル書 の紹介

の紹介

祭司エゼキエルは、紀元前五九七年に、捕囚としてバビロンに連れて行かれ、そこで神の預言者となりました。彼は、エルサレムに残っている人々に、必ずさばきが下ると説きましたが、周囲のユダヤ人は快く聞き入れませんでした。しかし、彼の予告どおり、前五八七年にエルサレムが崩壊してから、人々は初めて彼のことばに熱心に耳を傾けるようになるのです。エゼキエルの預言は、この時を境に、暗いさばきの内容から、未来に対する慰めと希望に変わります。最悪の事態はすでに過ぎ、今は再出発に備える時だからです。

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エゼキエル書 1

最初の幻

1-3 ブジの息子である私エゼキエルは祭司でしたが、バビロンに連れて来られた捕囚のユダヤ人の一人として、ケバル川のほとりに住んでいました。第四の月の五日、突然、天が開いて、私は神からの幻を見たのです。その時、私は三十歳になっていました。

4 その幻の中で、私は見たのです。北の方から、燃える火のような巨大な雲を前面に押し出しながら、激しい嵐が私を目がけて突進して来ます。雲に包まれた火は絶え間なく閃光を放ちながら、火の中には、みがき上げた真鍮のように輝くものがありました。

5 すると、その雲の真ん中から、人間のように見える奇妙な姿をした四つのものが現れました。

6 その四つのものは、それぞれ四つの顔と二対の翼を持っていました。

7 足は人間の足のようですが、先が子牛のひづめのように分かれていて、みがいた真鍮のように輝いているのです。

8 また、それぞれ翼の下から人間の手が出ているのが見えました。

9 この四つの生きものは翼を連ねて、曲がらずにまっすぐ飛んで来ました。

10 それぞれの顔は、正面は人の顔、右側はライオンの顔、左側は牛の顔、背面はわしの顔でした。

11 それぞれの二対の翼は、背中の中央から広げられ、一対は両側の生きものの翼に触れ合い、他の一対は体を覆っていました。

12 そして、彼らの霊が行く所はどこへでも、曲がることなく、まっすぐに進んで行きました。

13 これらの生きものの間を、赤く燃える炭火や明るいたいまつのように輝く別の生きものがうごめいていました。それらの生きものからは、いなずまが出ていました。

14 その生きものたちは、いなずまの光のように速く、あちこち動き回っていました。

15 私がこの光景に見入っていると、四つの生きものの下には、地上でそれらを支えるように四つの輪があるのが見えました。それぞれの生きものに一つの輪がついているのです。

16 輪はみがき上げた琥珀でできているように見え、輪の中にもう一つの輪が内側にあるようにはめ込まれていました。

17 これらの輪は、向きを変えずに四つの方向に向かうことができました。

18 四つの輪には縁と輻があり、縁の外側には目がいっぱいついていました。

19-21 四つの生きものが前方に飛ぶときは輪も前方に動き、上に飛ぶと輪も上に動きました。生きものが止まると輪も止まりました。生きものの霊が輪の中にあったからです。それで、霊が行く所はどこへでも、輪と生きものも行きました。

22 生きものの上に広がった大空は、まるで水晶のように輝き、ことばでは表現できないほどの美しさでした。

23 それぞれの生きものの翼は、互いにまっすぐに伸びて触れ合い、もう一対の翼が体を覆っていました。

24 生きものが飛ぶと、翼は打ち寄せる波や神の声のように、あるいは大軍勢の雄たけびのようなとどろきを立てました。生きものは止まると、翼を下に垂れました。

25 生きものが止まるたびに、頭上の水晶のような大空から声が聞こえました。

26 生きものの頭上の空高く、壮麗な青いサファイヤで作った王座のようなものがあり、人間の姿に似た方が座っていたのです。

27-28 その方は、腰から上は、火のように照り輝く、燃える青銅のように見えました。腰から下は炎に包まれ、その方の回りには虹のような輝きがありました。このように、主の栄光が示されたのです。これを見て、私は地にひれ伏しました。そして、私に語りかける方の声を聞いたのです。

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エゼキエル書 2

エゼキエルの召命

1 その方は私に、「人の子よ、立て。わたしはあなたに語ろう」と言いました。

2 その方が語ると、御霊が私の中に入り、私を立たせました。

3 「人の子よ、あなたをイスラエルの国、すなわち、わたしに反逆している国に遣わす。彼らも、彼らの先祖も、この時までわたしに罪を犯し続けてきた。

4 彼らは恐ろしく強情で頑固者だ。それでもわたしは、神である主のことばを伝えるために、あなたを遣わす。

5 彼らは反逆者なのだ。だが忘れてはならない。彼らが聞いても聞かなくても、少なくとも、彼らの間に預言者がいたことだけは知るだろう。

6 人の子よ、彼らを恐れるな。どんなに彼らの脅しが激しく、とげとげしくて、さそりのように突き刺してきても、ひるんではならない。険悪な様相であってもたじろぐな。彼らは反逆者なのだから。

7 彼らが聞こうが聞くまいが、あなたはわたしの言うことを語れ。もっとも彼らは、骨の髄まで反逆者だから聞かないだろうが……。

8 人の子よ、わたしが語ることを聞け。あなたが反逆者になってはならない。口を大きく開けて、わたしが与えるものを食べるがいい。」

9-10 そこで私が見ていると、裏表両面に字が書いてある巻物を持つ手が、目の前に差し出されたのです。その方は巻物を広げましたが、そこには警告や悲嘆や、審判の宣告などがびっしり書かれていました。

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エゼキエル書 3

1 その方は命じました。「人の子よ、わたしが与えるものを食べなさい。さあ、この巻物を食べるのだ。それから出て行って、そのことばをイスラエルの民に告げるのだ。」

2 私は巻物を手に取りました。

3 「それを残らず食べなさい」と、その方は言います。食べてみると、なんとみつのように甘い味がしました。

4 命令はさらに続きます。「人の子よ、あなたをイスラエルの民に遣わす。わたしのことばを携えて行け。

5 ことばが通じない遠い外国へ遣わすのではない。

6 難しい外国語を話す国に遣わすわけではない。もっとも、そのような国であれば、人々は耳を傾けるだろう。

7 わたしがあなたを遣わすのは、イスラエル人のところだ。彼らはわたしの言うことを聞こうとしない。あなたの言うことも聞こうとしないだろう。彼らは強情で、ずうずうしく、頑固なのだ。

8 だから、わたしもあなたを彼らと同じように、あつかましい頑固者にした。

9 あなたの額を岩よりも堅くした。しかし、彼らがどんなにしぶとい反逆者でも、恐れてはならない。どんなにいやな顔や怒った顔をされても、たじろいではならない。」

10 その方は続けて言いました。「人の子よ、まず、わたしのことばをすべて心の奥底に収め、注意深くそれに聞き従いなさい。

11 それから、捕囚とされた同胞のところへ行き、彼らが聞いても聞かなくても、『神である主はこう言う』と告げるがいい。」

12 すると、御霊が私を持ち上げました。大きな地震のとどろきを伴って、主の栄光が上り始めました。

13 それは、生きものたちの翼が互いに触れ合う音と、輪の音でした。

14-15 御霊は私を持ち上げると、ケバル川のほとりにある、別のユダヤ人居留地テル・アビブに連れて行きました。私は憤り、苦々しい思いでしたが、神の御手が強く私の上に置かれていました。七日間というもの、私はただ呆然と彼らの中に座っていました。

見張り役としての働き

16 七日目の終わりに、主はこう語りました。

17 「人の子よ、わたしはあなたをイスラエルの見張り役とした。わたしの民に与える警告をただちに伝えなさい。

18 わたしが悪者に、『おまえに死の罰を加える。悔い改めて、自分のいのちを救え』と伝えてほしいとき、そのように警告しないなら、彼らは自分の罪のために死ぬが、わたしはあなたを罰する。彼らの血の責任をあなたに問う。

19 だが、あなたがいくら警告しても彼らが罪を犯し続け、いっこうに悔い改めないなら、彼らは自分の罪のために死ぬ。そして、あなたには責任がない。あなたはできるかぎりのことをしたのだから。

20 もし善良な人が悪を行っているのに、あなたが警告しないなら、わたしは彼を滅ぼす。以前の善行は何の助けにもならない。彼は自分の罪のために死ぬ。だが、わたしは彼の死の責任をあなたに問い、あなたを罰する。

21 もしあなたが警告し、彼が悔い改めるなら、二人とも自分のいのちを救うことになる。」

22 私はどうすることもできないで、主の御手の中にありました。主が「さあ、谷間に出て行きなさい。そこであなたと語ろう」と言ったので、

23 私はすぐに立って谷間へ出て行きました。すると、ケバル川のほとりで最初に見たのと同じ主の栄光を、そこでも見たのです。私は思わず地面にひれ伏しました。

24 それから、御霊が私の中に入り、私を立たせました。主は私に命じました。「行って、家に閉じこもりなさい。

25 家から出られないように、あなたの体を動けなくさせる。

26 また、あなたの舌を上あごにつかせるので、彼らを責めることができなくなる。彼らは反逆者だからだ。

27 だが、わたしがあなたに語るときは、その舌を自由にし、話せるようにする。彼らに『神である主はこう言う』と言いなさい。聞きたい者には聞かせ、聞きたくない者には聞かせてはならない。彼らは反逆者だからだ。

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エゼキエル書 4

エルサレム包囲の象徴

1 人の子よ、大きな一枚の粘土板を置いて、その上にエルサレムの町の地図を描きなさい。

2 町を攻撃するために築かれるとりで、町を包囲する敵軍の陣営、さらに城壁の回りに破城槌(城門を突破する兵器)を描きなさい。

3 また、あなたと町との間に、鉄の壁のように一枚の鉄板を立てなさい。こうして、敵軍がどのようにエルサレムを攻略するかを表現して見せるのだ。わたしが命じた一つ一つのことには、それぞれ特別の意味がある。というのは、それはイスラエルの民に対する警告だからだ。

4-5 三百九十日間、左わきを下にして横になりなさい。それは、捕囚と破滅によって三百九十年間、イスラエルが罰せられることを示すためだ。その一日は、イスラエルにやがて訪れる一年間の罰を表している。

6 次に、ユダに対する罰の期間を示すために四十日間、今度は右わきを下にして横になりなさい。やはり一日は一年に相当する。

7 その間も、エルサレムの包囲の様子を実演して見せるのだ。その包囲と攻撃がどんなに強烈なものかを教えるために、腕をまくって横になりなさい。これはエルサレム滅亡の預言だ。

8 わたしがあなたの体を動けなくさせるので、あなたは包囲の全期間が終わるまで寝返りさえ打てない。

9 初めの三百九十日間は、小麦、大麦、そら豆、レンズ豆、あわ、裸麦の粉をつぼに入れて混ぜ合わせ、その粉でパンを作って食べなさい。

10 一日に一食、一回二十シェケル(二百三十グラム)ずつに分けて食べるのだ。

11 水は一日に六分の一ヒン(一ヒンは三・八リットル)だけ飲んでよいが、それ以上飲んではならない。

12 毎日、たるから粉を取り出し、大麦のパン菓子を作りなさい。みんなの見ている前で、乾いた人糞の火の上で焼いて、そのパンを食べなさい。

13 わたしの命令だ。イスラエルは捕囚となる異国の地で、汚れたパンを食べるのだ。」

14 「おお神よ。私は人糞で身を汚さなければならないのでしょうか。今まで、一度も身を汚したことがありません。子どもの時から今まで、病気で死んだ動物や、野獣に殺された動物を食べたことはありません。また、律法が禁じている獣を食べたこともありません。」

15 すると、主は答えました。「それなら、人糞の代わりに牛の糞でもよい。」

16 主はこう言って、さらにことばを続けました。「人の子よ。エルサレムではパンの配給が乏しくなる。注意深く量り、こわごわ食べることになるだろう。水も少量しか分け与えられず、人々は不安のうちにそれを飲むようになる。

17 わたしは人々を乏しくさせる。また、異常な恐怖心を抱いて互いを見るようにし、罰によって疲れはてさせる。

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エゼキエル書 5

神のさばきの剣

1 人の子よ。鋭い刃の剣を取り、床屋のかみそりのようにそれを使って頭とひげをそりなさい。また、その毛をはかりにかけて、三等分にしなさい。

2 その三分の一をエルサレムの地図の真ん中に置き、包囲の期間が終わったらそこで燃やしなさい。次の三分の一を、地図に描いた町の回りに広げ、ナイフで切りきざみなさい。残りの三分の一は、風で吹き散らしなさい。わたしは剣をもってわたしの民を追いかけるからだ。

3 その毛を少し取っておき、衣のすそで包みなさい。

4 また、そこから数本の毛を取り出し、火に投げ込みなさい。この残りの毛から出る火が、全イスラエルを焼き滅ぼす。」

5-7 主は言います。「これはエルサレムに起こることである。エルサレムはわたしのおきてから離れ、周囲の国々よりも悪くなってしまったからだ。」

8 それで、神である主は言います。「今、わたしもあなたを攻め、すべての国々が見守る中で罰する。

9 あなたが犯した恐ろしい罪のゆえに、今までにも下したことがなく、これからも下さないような重い罰を下す。

10 親がわが子を食べ、子も親を食べるようになる。幸いにして生き残った者も、世界中に散らされる。

11 あなたに約束する。偶像や忌まわしいいけにえによってわたしの聖所を汚したからには、あなたを惜しんだり、あわれんだりしない。

12 あなたの三分の一はききんと疫病で倒れ、他の三分の一は敵に殺される。残りの三分の一は四散するが、そのあとから敵の剣が追いかける。

13 こうして、わたしの怒りがようやく収まる。全イスラエルは、わたしが警告どおりに実行することを悟るだろう。

14 わたしは、周囲のすべての国々に、また、廃墟となったこの地を通り過ぎるすべての旅人に対して、あなたを見せしめとする。

15 あなたは全世界の笑いものとなり、すべての人への恐ろしい見せしめとなる。主が一つの国を激しく叱責し、その国全体に立ち向かうとき、どのようなことが起こるかを見るからだ。主であるわたしが、これを語っている。

16 わたしは恐ろしいききんの矢を雨と降らせて、あなたを滅ぼす。ききんはますますひどくなり、一切れのパンも残らなくなる。

17 ききんばかりでなく、野獣があなたとあなたの家族を襲って、かみ殺す。疫病と戦争が国中に起こり、敵の剣があなたを虐殺する。主であるわたしが、これを語っている。」

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エゼキエル書 6

イスラエルの山々の運命

1 再び、主からのことばがありました。

2 「人の子よ、イスラエルの山々に預言せよ。

3 ああ、イスラエルの山々よ。あなたに、また、川や谷に語られる神、主のことばを聞け。わたしが、主であるこのわたしが、あなたがたの偶像を滅ぼすために戦争を起こす。

4-7 町々はすべて打ち砕かれ、焼かれる。偶像の祭壇は捨て去られる。神々の像は粉々に砕かれ、偶像の礼拝者たちの骨も祭壇の回りにまき散らされる。その時、ようやくあなたがたは、わたしこそ主であることを知る。

8 しかし、わたしは、わたしの民のうち少数の者を逃れさせ、国々の間に散らそう。

9 そうすれば、国々に捕囚として連れて行かれるとき、彼らはわたしを思い起こすだろう。わたしが彼らの姦淫の心、偶像を愛する心を取り去り、ほかの神々を慕うみだらな目を見えなくするからだ。その時になってやっと、彼らは自分が犯した悪のゆえに自分自身を嫌悪するようになる。

10 彼らは、わたしだけが神であり、わたしがこれらすべてのことが起こると語ったとき、決して理由もなく言ったのでないと気づくだろう。」

11 神である主はこう語ります。「恐れおののきつつ両手を上げ、激しい自責の念にかられて叫べ。『ああ、何という悪事をしでかしたことか』と叫ぶがいい。戦争とききんと疫病で滅びようとしているからだ。

12 捕囚の地にある者は疫病で死に、イスラエルの国にいる者は戦争で倒れ、生き残った者もききんと籠城で死ぬ。こうして、わたしの憤りもようやく収まる。

13 殺された者が、丘や山の上にある偶像や祭壇の回りに、また、神々に香をたいた青い木や茂った樫の木の下に散り散りに横たえられるとき、わたしだけが神であることに気づく。

14 わたしはあなたがたを押しつぶし、南は荒野から北はリブラまで、町々を荒廃させる。その時、わたしが主であることを知るだろう。」

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エゼキエル書 7

終わりの時がくる

1 続いて、神からのことばが私にありました。

2 「イスラエルに告げよ。あなたの見るところはみな、東も西も、南も北も、もう終わりだ。この国はもう終わりが来た。

3 わたしは、偶像を拝んだあなたに怒りをぶつける。もう絶体絶命だ。

4 わたしはあなたから目を背け、あわれんだりはしない。とことんまで罰する。そうすれば、わたしが主であることを、あなたがたは知るようになるだろう。」

5-6 神である主は言います。「次から次へと災いを送って、あなたにとどめを刺そう。終わりはすでにきている。終局の破滅が待っているだけだ。

7 ああ、イスラエルよ。滅亡の日のきざしは現れ、時はきた。苦難の日は近い。それは喜びの声を上げる日ではなく、苦しみもだえて叫ぶ日だ。

8-9 やがて、わたしは憤りを注ぎ、おまえたちの悪のすべてを徹底的に罰しよう。もはや、あなたを惜しまず、あわれまない。これをしているのが、主であるわたしであることを、あなたがたは知るようになるだろう。

10-11 ついに、さばきの日がきた。朝日が昇ってくる。あなたの悪と高ぶりは頂点に達し、行き着くところまで行ったからだ。富におごり、高ぶる悪者は、一人も生き長らえない。高慢の鼻は完全にへし折られ、あなたがたの運命を嘆く者もいなくなる。

12 さあ、その時がきた。その日が近づいた。神の怒りがその地に臨むので、買う物もなく、売る物もなくなる。

13 主がイスラエルの民全体にさばきを宣言したので、たとえ商人が生き長らえても、商売はできなくなる。すべての人が滅ぼされる。罪に満ちた生活をしている者はだれも立ち直れない。

14 イスラエル軍に、『進め』と角笛を吹き鳴らしても、だれも聞こうとしない。わたしの怒りがすべての者に臨むからだ。

15 城壁の外に出れば、敵が彼らを殺そうと待ちかまえている。城壁の内側にとどまれば、ききんと疫病で滅ぼし尽くされる。

16 運よく逃れた者も、山々にひそむ鳩のように、その寂しさを嘆き悲しみ、自分の罪のために泣き悲しむ。

17 手も弱くなり、ひざもがくがく震えるようになる。

18 彼らは荒布をまとい、恐怖と恥で包まれ、悲しみと自責の念にかられて頭をそる。

19 金銀を投げ捨てよ。怒りの日には何の価値もなくなるのだから、がらくたのように放り出せ。彼らの罪の根本は金銀を愛することにある。それが、腹を満たすことも満足させることもできなくなるのだ。

20 わたしの神殿を美しく飾るために与えた金で、彼らは偶像を造ってしまった。それゆえ、わたしはそれを全部取り上げる。

21 戦利品として外国人や悪者どもに与える。彼らはわたしの神殿を汚すだろう。

22 その時、わたしは見て見ぬふりをする。止めはしない。彼らは強盗のように宝物をあさり、神殿を廃墟のようにする。

23 わたしの民のために鎖を用意せよ。この国は流血の罪で満ちているからだ。エルサレムは暴虐に満ちているので、わたしはその住民を奴隷とする。

24 諸国の中でも最悪の国を、エルサレムに来させよう。彼らの家々を占領させ、彼らが誇っている要塞を破壊させ、神殿を汚させ、高慢の鼻をへし折らせる。

25 イスラエルを切り捨てる時が、いよいよきた。平和を求めても得られない。

26-27 災いの上に災いが、悲しみの上に悲しみが、惨事の上に惨事が襲う。彼らは預言者の指導を求める。それなのに、祭司も長老も、王も君主も、ただ手をこまねいているだけで、絶望のうちに泣き悲しんでいる。わたしは彼らが行った悪に対し、それに十分見合った報いをするので、彼らは恐怖のあまり震えおののく。そして、わたしが主であることを知るようになる。」

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エゼキエル書 8

神殿で行われる偶像礼拝

1 それから、エホヤキン王の捕囚六年目の第六の月の五日のこと、私が家でユダの長老たちと話していると、神である主の力が私に臨みました。

2 私は人の姿のようなものを見ました。腰から下は火で、上は琥珀色(黄褐色)に輝いています。

3 その方が手の形をしたものを伸ばして私の髪の毛をつかむと、御霊が私を宙に持ち上げ、エルサレムの北の門の入口に連れて行ったのです。そこに、主の激しい怒りを引き起こした偶像がありました。

4 すると突然、前に谷間で見たのと同じようなイスラエルの神の栄光が現れました。

5 その方は私に、「人の子よ、北の方を見なさい」と言ったので、そちらを見ると、祭壇の門の北にある入口に偶像が立っているではありませんか。

6 その方はさらに言いました。「人の子よ、彼らのしていることが見えるか。わたしを神殿から追い出すために、イスラエルの民がそこで犯している大きな罪が見えるか。さあ、もっと大きな罪を見せよう。」

7 こう言うと、その方は私を神殿の庭の入口に連れて行きました。そこの壁に穴がありました。

8 するとその方が、「さあ、壁を掘り抜くのだ」と命じたので、そのとおりにすると、隠れた部屋に通じる入口があるではありませんか。

9 「入って行って、そこで行われている邪悪なことを見なさい。」

10 入ってみて驚きました。あらゆる種類の蛇やとかげ、おぞましい獣の絵が、イスラエルの民が礼拝する各種の偶像とともに壁一面に描かれているのです。

11 そこに、イスラエルの七十人の長老が、シャファンの子ヤアザヌヤとともに立ち、それらの絵を拝んでいます。長老たちはそれぞれ香をたく香炉を持っており、一同の頭上には、香の濃い煙が雲のように立ちこめていました。

12 「人の子よ、イスラエルの長老たちが自分から進んでしていることを、よく見たか。彼らは、『主は見ていない。主は去って行った』とうそぶいている。

13 さあ、もっと大きな罪を見せよう。」

14 その方は私を、神殿の北の門に連れて行きました。そこには女たちが座って、異教の神タンムズのために泣いていました。

15 「これを見たか。しかし、もっと大きな悪を見せよう。」

16 こう言うと、その方は私を神殿の内庭に連れて行きました。そこでは、神殿の玄関と青銅の祭壇との間に、二十五人ばかりの人が神殿に背を向けて立ち、東を向いて太陽を拝んでいたのです。

17 「これを見たか。こんな恐るべき罪を犯して民全体を偶像礼拝に導き、わたしを軽んじて、ますますわたしを怒らせるようなことは、ユダの人々にとって取るに足りないことなのだろうか。

18 それで、わたしも激しい憤りをもって彼らをあしらう。少しもあわれまず、惜しみもしない。彼らがあわれみを求めて叫んでも、耳をふさいでいよう。」

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エゼキエル書 9

偶像を拝む者へのさばき

1 それから、その方は大声で叫びました。「わたしがこの町を与えた者たちを呼びなさい。武器を持って攻めて来るようにと言うのだ。」

2 六人の男がこの呼び声に答えて、おのおの剣を持って北側の上の門から現れました。そのうちの一人は亜麻布の衣を着て、腰に筆入れをつけていました。彼らはみな神殿に入り、青銅の祭壇のそばに立ちました。

3 その時、イスラエルの神の栄光がケルビム(神の契約の箱を守る天使)から立ち上り、神殿の入口の上にとどまりました。主は筆入れを持った男を呼び寄せ、

4 「エルサレム中を巡り、この町で行われているあらゆる罪のために、泣き悲しんでいる者の額にしるしをつけなさい」と命じました。

5 また、主がほかの男たちにこう言うのが聞こえました。「彼について行って、町中を巡り、額にしるしがついていない者を打て。惜しんだり、あわれんだりしてはならない。

6 老若男女を問わず、小さい子どもも、残らず打つのだ。しかし、あのしるしのついている者には触れてはならない。まず、この神殿から始めよ。」そこで彼らは、七十人の長老たちから始めました。

7 ついで主は命じました。「神殿を汚し、打ち殺す者たちの死体で庭を満たすのだ。さあ、行け。」彼らは出て行って、命令どおりにしました。

8 その間、私はひとり残されました。私は地にひれ伏し、こう叫びました。「ああ神、主よ。あなたはエルサレムに対する憤りで、イスラエルに残された者たちを皆殺しにするのでしょうか。」

9 しかし、主は私に言いました。「イスラエルとユダの罪は非常に大きく、民全体に虐殺と不正行為が満ちている。彼らは、『主は見ていない。主は去って行った』と言っている。

10 だから、わたしは彼らを惜しまず、あわれみもしない。彼らがしたことに対して、十分な報いを行う。」

11 ちょうどその時、亜麻布の衣を着て、筆入れを持った男が戻って来て、「ご命令のとおりにしました」と報告しました。

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