の紹介
マタイは税金を取り立てる役人でした。当時、彼らの中には、不正に多く取り立てて自分のものにする者がいたので、人々にきらわれ、軽蔑される職業でした。しかし、イエスは、あえてそのような人を弟子にしたのです。イエスに出会って、マタイの生活は一変しました。彼は、すべてを捨ててイエスに従いました。そしてこのイエスこそ、神の預言者によって、この世に現れると言われてきた救い主であることを、人々に伝える者となったのです。
の紹介
マタイは税金を取り立てる役人でした。当時、彼らの中には、不正に多く取り立てて自分のものにする者がいたので、人々にきらわれ、軽蔑される職業でした。しかし、イエスは、あえてそのような人を弟子にしたのです。イエスに出会って、マタイの生活は一変しました。彼は、すべてを捨ててイエスに従いました。そしてこのイエスこそ、神の預言者によって、この世に現れると言われてきた救い主であることを、人々に伝える者となったのです。
1 これは、イエス・キリストの系図です。イエス・キリストはダビデ王の子孫、さらにさかのぼってアブラハムの子孫です。
2 アブラハムはイサクの父、イサクはヤコブの父、ヤコブはユダとその兄弟たちの父です。
3 ユダはパレスとザラの父〔彼らの母はタマル〕、パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父です。
4 アラムはアミナダブの父、アミナダブはナアソンの父、ナアソンはサルモンの父です。
5 サルモンはボアズの父〔母はラハブ〕、ボアズはオベデの父〔母はルツ〕、オベデはエッサイの父です。
6 エッサイはダビデ王の父、ダビデはソロモンの父〔母はウリヤの妻でした〕です。
7 ソロモンはレハブアムの父、レハブアムはアビヤの父、アビヤはアサの父です。
8 アサはヨサパテの父、ヨサパテはヨラムの父、ヨラムはウジヤの父です。
9 ウジヤはヨタムの父、ヨタムはアハズの父、アハズはヒゼキヤの父です。
10 ヒゼキヤはマナセの父、マナセはアモンの父、アモンはヨシヤの父です。
11 ヨシヤはエコニヤとその兄弟たちの父です〔彼らは、イスラエルの人たちがバビロンに移住していた時に生まれました〕。
12 バビロンに移住してからは、エコニヤはサラテルの父、サラテルはゾロバベルの父です。
13 ゾロバベルはアビウデの父、アビウデはエリヤキムの父、エリヤキムはアゾルの父です。
14 アゾルはサドクの父、サドクはアキムの父、アキムはエリウデの父です。
15 エリウデはエレアザルの父、エレアザルはマタンの父、マタンはヤコブの父です。
16 そして、ヤコブはヨセフの父です〔このヨセフが、キリストと呼ばれるイエスの母マリヤの夫となった人です〕。
17 こういう次第で、アブラハムからダビデ王までが十四代、ダビデ王からバビロン移住までが十四代、バビロン移住からキリストまでが十四代となります。
18 イエス・キリストの誕生は次のとおりです。母マリヤはヨセフと婚約していました。ところが結婚する前に、聖霊によってみごもったのです。
19 婚約者のヨセフは、神の教えを堅く守る人でしたから、婚約を破棄しようと決心しました。しかし、人前にマリヤの恥をさらしたくなかったので、ひそかに縁を切ることにしました。
20 ヨセフがこのことで悩んでいた時、天使が夢に現れて言いました。「ダビデの子孫ヨセフよ。ためらわないで、マリヤと結婚しなさい。マリヤは聖霊によってみごもったのです。
21 彼女は男の子を産みます。その子をイエス(「主は救い」の意)と名づけなさい。この方こそ、ご自分を信じる人々を罪から救ってくださるからです。
22 このことはみな、神が預言者(神に託されたことばを語る人)を通して語られた、次のことばが実現するためです。
23 『見よ。処女がみごもって、男の子を産む。その子はインマヌエル〔神が私たちと共におられる〕と呼ばれる。』(イザヤ7・14)」
24 目が覚めるとヨセフは、天使の命じたとおり、マリヤと結婚しました。
25 しかし、その子が生まれるまでは、マリヤに触れませんでした。そして、生まれた子をイエスと名づけました。
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1 イエスはヘロデ大王の時代に、ユダヤのベツレヘムの町でお生まれになりました。そのころ、天文学者たちが、東の国からはるばるエルサレムへやって来て、こう尋ねました。
2 「このたびお生まれになったユダヤ人の王様は、どこにおられますか。私たちは、その方の星をはるか東の国で見たので、その方を拝むために参ったのです。」
3 それを聞いたヘロデ大王は、ひどくうろたえ、エルサレム中がそのうわさで騒然となりました。
4 ヘロデはさっそくユダヤ人の宗教的指導者たちを召集し、「預言者たちは、メシヤ(ヘブル語で、救い主)がどこで生まれると告げているのか」と尋ねました。
5 彼らは答えました。「ユダヤのベツレヘムです。預言者ミカがこう書いております。
6 『ベツレヘムよ。
あなたはユダヤの中で、
決して小さな町ではない。
あなたから偉大な支配者が出て、
わたしの国民イスラエルを
治めるようになるからだ。』(ミカ5・2)」
7 それでヘロデは、ひそかに天文学者たちを呼びにやり、その星が初めて現れた正確な時刻を聞き出しました。
8 そして彼らに、「さあ、ベツレヘムへ行って、その子を捜すがいい。見つかったら、必ず知らせてくれ。私も、ぜひその方を拝みに行きたいから」と命じました。
9 彼らがさっそく出発すると、なんと、あの星がまた現れて、彼らをベツレヘムに導き、とある家の上にとどまりました。
10 それを見た彼らは、躍り上がって喜びました。
11 その家に入ると、幼子と母マリヤがいました。彼らはひれ伏して、その幼子を拝みました。そして宝の箱を開け、黄金と乳香(香料の一種)と没薬(天然ゴムの樹脂で、古代の貴重な防腐剤)を贈り物としてささげました。
12 それから、ヘロデ大王に報告をしにエルサレムへは戻らず、そのまま自分たちの国へ帰って行きました。神から夢の中で、ほかの道を通って帰るように警告を受けたからです。
13 彼らが帰ったあと、天使が夢でヨセフに現れて言いました。「起きなさい。子どもとその母を連れて、エジプトに逃げるのです。そして、私が帰れと言うまで、ずっとそこにいなさい。ヘロデがこの子を殺そうとしています。」
14 ヨセフは、マリヤと幼子を連れて、その夜のうちにエジプトへ旅立ちました。
15 そして、ヘロデ大王が死ぬまでそこに住みました。こうして、「わたしは、わたしの子をエジプトから呼び出した」(ホセア11・1)という預言者のことばが実現することになったのです。
16 ヘロデは天文学者たちにだまされたとわかると、怒り狂い、すぐさまベツレヘムに軍兵をやって、町とその近辺に住む二歳以下の男の子を一人残らず殺せ、と命じました。というのは、学者たちが、その星は二年前に現れたと言っていたからです。
17 ヘロデのこの残忍な行為によって、エレミヤの次の預言が実現しました。
18 「ラマから声が聞こえる。
苦しみの叫びと、大きな泣き声が。
ラケルが子どもたちのために泣いている。
だれも彼女を慰めることができない。
子どもたちは死んでしまったのだから。」(エレミヤ31・15)
19 ヘロデ大王が死ぬと、エジプトに住むヨセフの夢に天使が現れ、
20 「さあ、子どもとその母を連れてイスラエルに帰りなさい。子どもを殺そうとしていた者たちは死んだから」と言いました。
21 そこでヨセフは、イエスとマリヤを連れて、すぐイスラエルに帰りました。
22 ところが途中で、ユダヤの新しい王がヘロデ大王の息子アケラオだと聞いて、危険を覚えました。すると、夢でユダヤに行ってはならないと警告を受けたので、ガリラヤ地方に行き、
23 ナザレという町に住みました。こうして、預言者がメシヤのことを、「彼はナザレ人と呼ばれる」と語ったとおりになったのです。
—https://api-cdn.youversionapi.com/audio-bible-youversionapi/406/32k/MAT/2-79648531bbaf191807dde37735432424.mp3?version_id=83—
1 ヨセフの一家がナザレに住んでいたころ、バプテスマのヨハネがユダヤの荒野で教えを宣べ始めて、言いました。
2 「悔い改めて、神に立ち返れ。神の国が近づいたからだ。」
3 このバプテスマのヨハネの働きについては、その数百年前、すでに預言者イザヤが語っています。
「荒野から叫ぶ声が聞こえる。
『主のための道を準備せよ。
主が通られる道をまっすぐにせよ。』」(イザヤ40・3)
4 ヨハネはらくだの毛で織った服に皮の帯をしめ、いなごとはちみつを常食にしていました。
5 このヨハネの教えを聞こうと、エルサレムやヨルダン川流域だけでなく、ユダヤの全土から、人々が荒野に押しかけました。
6 神にそむく生活を送っていたことを全面的に認め、それを言い表した人たちに、ヨハネはヨルダン川でバプテスマ(洗礼)を授けました。
7 ところが、パリサイ派(特に律法を守ることに熱心なユダヤ教の一派)やサドカイ派(神殿を支配していた祭司階級。ユダヤ教の主流派)の人々が大ぜい、バプテスマを受けに来たのを見て、ヨハネは彼らをきびしく責めました。「まむしの子たち! だれがおまえたちに、もうすぐ来る神のさばきから逃れられると言ったのか。
8 バプテスマを受ける前に、悔い改めにふさわしいことをしなさい。
9 『私はユダヤ人だから、アブラハムの子孫だから大丈夫』などと思ってはいけない。そんなことは何の役にも立たない。神はこんな石ころからでも、今すぐアブラハムの子孫をお造りになれるのだ。
10 今にでも、神はさばきの斧をふり上げ、実のならない木を切り倒そうと待ちかまえておられる。そんな木はすぐにも切り倒され、燃やされるのだ。
11 私は今、罪を悔い改める者たちに水でバプテスマを授けている。しかし、まもなく私など比べものにもならない、はるかに偉大な方がおいでになる。その方のしもべとなる価値さえ、私にはない。その方は、聖霊と火でバプテスマをお授けになり、
12 刈り入れの時が来たら、麦ともみがらをふるい分け、麦は倉に納め、もみがらは永久に消えない火で焼き捨ててしまわれる。」
13 そのころイエスは、ガリラヤからヨルダン川へ来て、ヨハネからバプテスマ(洗礼)を受けようとされました。
14 ところが、ヨハネはそうさせまいとして言いました。「とんでもないことです。私こそ、あなたからバプテスマを受けなければなりませんのに。」
15 しかしイエスは、「今はそうさせてもらいたい。なすべきことは、すべてしなければならないのです」とお答えになり、ヨハネからバプテスマを受けました。
16 イエスが、バプテスマを受けて水から上がって来ると、突然天が開け、イエスは、神の御霊が鳩のようにご自分の上に下るのをごらんになりました。
17 その時、天から声が聞こえました。「これこそ、わたしの愛する子。わたしは彼を心から喜んでいる。」
—https://api-cdn.youversionapi.com/audio-bible-youversionapi/406/32k/MAT/3-31f55ab1244a9d72f2cb1ef68cdd4c16.mp3?version_id=83—
1 それからイエスは、聖霊に導かれて荒野に出て行かれました。悪魔に試されるためでした。
2 イエスはそこで、まる四十日間、何一つ口にされなかったので、空腹を覚えられました。
3 悪魔が誘いかけてきたのは、その時です。「ここに転がっている石をパンに変えてみたらどうだ。そうすれば、あなたが神の子だということがわかる。」
4 しかしイエスは、お答えになりました。「いいえ。聖書には、『人はただパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』(申命8・3)と書いてある。わたしたちは、神のすべてのことばに従うべきなのです。」
5 すると悪魔は、イエスをエルサレムに連れて行き、神殿の一番高い所に立たせて言いました。
6 「さあ、ここから飛び降りてみろ。そうすれば、あなたが神の子だということがわかるだろう。聖書に、『神は、天使を送って、あなたを支えさせ、あなたが岩の上に落ちて砕かれることのないように守られる』(詩篇91・11―12)と、はっきり書いてあるのだから。」
7 イエスは言い返されました。「『あなたの神である主を試してはならない』(申命9・16)とも書いてあるではないか。」
8 次に悪魔は、非常に高い山の頂上にイエスを連れて行きました。そして、世界の国々とその繁栄ぶりとを見せ、
9 「さあ、ひざまずいて、この私を拝みさえすれば、これを全部あなたにやろう」とそそのかしました。
10 「立ち去れ、サタン! 『神である主だけを礼拝し、主にだけ従え』(申命6・13)と聖書に書いてあるではないか。」イエスは悪魔を一喝しました。
11 すると悪魔は退散し、天使たちが来て、イエスに仕えました。
12 イエスはヨハネが捕らえられたと聞くと、ユダヤを去って、ガリラヤのナザレにお帰りになり、
13 まもなくゼブルンとナフタリに近い、ガリラヤ湖畔のカペナウムに移られました。
14 これは、イザヤの預言が実現するためでした。
15-16 「ゼブルンとナフタリの地、海沿いの道、
ヨルダン川の向こう岸、
多くの外国人が住んでいる北ガリラヤ。
そこで暗闇の中にうずくまっていた人たちは、
大きな光を見た。
死の陰の地に座っていた彼らの上に、
光が差した。」(イザヤ9・1―2)
17 その時から、イエスは宣教を始められました。「悔い改めて神に立ち返りなさい。神の国が近づいているから。」
18 ある日、イエスがガリラヤ湖の岸辺を歩いておられると、シモン〔別名ペテロ〕とアンデレの二人の兄弟が舟に乗り、網で漁をしているのに出会いました。彼らは漁師でした。
19 イエスが、「わたしについて来なさい。人間をとる漁師にしてあげよう」と声をおかけになると、
20 二人はすぐに網を捨て、イエスについて行きました。
21 しばらく行ったところで、今度は別の二人の兄弟ヤコブとヨハネが、父のゼベダイといっしょに舟の中で網を直しているのを見つけ、そこでも、ついて来るようにと声をおかけになりました。
22 彼らはすぐ仕事をやめ、父をあとに残して、イエスについて行きました。
23 イエスはガリラヤ中を旅して、ユダヤ人の会堂で教え、あらゆる場所で福音(イエス・キリストによる救いの知らせ)を宣べ伝え、さらに、あらゆる病気や苦しみをいやされました。
24 このイエスの奇跡の評判は、ガリラヤの外にまで広がったので、シリヤのような遠方からも、人々は病人を連れてやって来ました。悪霊につかれた人、てんかんの人、中風(脳の出血などによる半身不随、手足のまひ等の症状)の人など、その病気や苦しみがどのようなものであろうと、一人残らず治るのです。
25 こうして、イエスがどこに行かれても、たいへんな数の群衆があとをついて行きました。それは、ガリラヤ、デカポリス、エルサレム、ユダヤのあらゆる所から来た人々で、中にはヨルダン川の向こうから来た人もいました。
—https://api-cdn.youversionapi.com/audio-bible-youversionapi/406/32k/MAT/4-890a91eabe2e24ab90ce9cec719b1a00.mp3?version_id=83—
1-2 ある日、大ぜいの人が集まって来たので、イエスは弟子たちを連れて山に登り、そこに腰をおろして、彼らにお教えになりました。
3 「心の貧しさを知る謙遜な人は幸いです。神の国はそういう人に与えられるからです。
4 悲しみ嘆いている人は幸いです。そういう人は慰められるからです。
5 柔和で高ぶらない人は幸いです。全世界はそういう人のものだからです。
6 神の前に、正しく良い者になりたいと心から願っている人は幸いです。そういう人の願いは完全にかなえられるからです。
7 親切であわれみ深い人は幸いです。そういう人はあわれみを受けるからです。
8 心のきよい人は幸いです。そういう人は親しく神とお会いできるからです。
9 平和をつくり出す人は幸いです。そういう人は神の子どもと呼ばれるからです。
10 神の御心に従ったために迫害されている人は幸いです。神の国はそういう人のものだからです。
11 わたしの弟子だというので、悪口を言われたり、迫害されたり、ありもしないことを言いふらされたりしたら、それはすばらしいことなのです。
12 喜びなさい。躍り上がって喜びなさい。天の国では、大きな報いが待っているからです。昔の預言者たちも、そのようにして迫害されたことを思い出しなさい。
13 あなたがたは地の塩です。もしあなたがたが塩けをなくしてしまったら、この世はどうなるでしょう。あなたがたも無用のものとして外に捨てられ、人々に踏みつけられてしまうのです。
14 あなたがたは世の光です。丘の上にある町は夜になると灯がともり、だれにもよく見えるようになります。
15-16 あなたがたの光を隠してはいけません。すべての人のために輝かせなさい。だれにも見えるように、あなたがたの良い行いを輝かせなさい。そうすれば、人々がそれを見て、天におられるあなたがたの父を、ほめたたえるようになるのです。
17 誤解してはいけません。わたしは、モーセの律法や預言者の教え(旧約聖書)を無効にするために来たのではありません。かえって、それを完成させ、ことごとく実現させるために来たのです。
18 よく言っておきますが、聖書にあるどんなおきても、その目的が完全に果たされるまで、無効になることはありません。
19 ですから、どんな小さいおきてでも、破ったり、また人に破るように教えたりする人は、天の国で最も小さい者となります。しかし、神のおきてを教え、また自分でもそれを実行する人は、天の国で偉大な者となります。
20 よく聞きなさい。パリサイ人や、ユダヤ人の指導者たちは、神のおきてを守っているのは自分たちだと言いはります。だが、彼ら以上に正しくなければ天国には入れません。
21 あなたがたの教えでは、『人を殺した者は、死刑に処す』とあります。
22 しかし、わたしはさらにこうつけ加えましょう。人に腹を立てるなら、たとえ相手が自分の家族であっても、裁判にかけられます。人をばか呼ばわりするなら、裁判所に引っぱり出されます。人をのろったりするなら、地獄の火に投げ込まれます。
23 ですから、神殿の祭壇に供え物をささげようとしている時、人に恨まれていることを思い出したら、
24 供え物はそのままにして、相手に会ってあやまり、仲直りをしなさい。神に供え物をささげるのはそのあとにしなさい。
25 あなたを告訴する人と、一刻も早く和解しなさい。裁判所に引っぱって行かれてからでは間に合いません。そうなったら、あなたは留置場に放り込まれ、
26 すべてを払い終えるまで、出て来られないでしょう。
27 あなたがたの教えでは、『姦淫してはならない』とあります。
28 しかし、だれでもみだらな思いで女性を見るなら、それだけでもう、心の中では姦淫したことになるのです。
29 ですから、もしあなたの目が情欲を引き起こすなら、その目をえぐり出して捨てなさい。体の一部を失っても、体全体が地獄に投げ込まれるより、よっぽどましです。
30 また、もしあなたの手が罪を犯させるなら、そんな手は切り捨てなさい。地獄に落ちるより、そのほうがどんなによいでしょう。
31 また、あなたがたの教えでは、『離縁状を手渡すだけで、妻を離縁できる』とあります。
32 しかし、わたしは言いましょう。だれでも、不倫以外の理由で妻を離縁するなら、その女性が再婚した場合、彼女にも、彼女と結婚する相手にも姦淫の罪を犯させることになるのです。
33 さらにあなたがたの教えでは、『いったん神に立てた誓いは、破ってはならない。どんなことがあっても、みな実行しなければならない』とあります。
34 しかし、わたしは言いましょう。どんな誓いも立ててはいけません。たとえ『天にかけて』と言っても、神に誓うのと同じです。天は神の王座だからです。
35 『地にかけて』と言ってもいけません。地は神の足台だからです。また『エルサレムにかけて』と言って誓ってもいけません。エルサレムは偉大な王である神の都だからです。
36 『私の頭にかけて』と言って誓ってもいけません。あなたがたは髪の毛一本さえ白くも黒くもできないからです。
37 だから、『はい、そうします』か、『いいえ、そうしません』とだけ言いなさい。それで十分です。誓いを立てることで約束を信じてもらおうとするのは、悪いことです。
38 あなたがたの教えでは、『人の目をえぐり出した者は、自分の目もえぐり出される。人の歯を折った者は、自分の歯も折られる』とあります。
39 しかし、わたしはあえて言いましょう。暴力に暴力で手向かってはいけません。もし右の頰をなぐられたら、左の頰も向けてやりなさい。
40 借金のかたに下着を取り上げようとする人には、上着もやりなさい。
41 荷物を一キロ先まで運べと命令されたら、二キロ先まで運んであげなさい。
42 『何か下さい』と頼む人には与え、借りに来た人を手ぶらで追い返さないようにしなさい。
43 『隣人を愛し、敵を憎め』とは、よく言われることです。
44 しかし、わたしは言います。敵を愛し、迫害する人のために祈りなさい。
45 それこそ、天の父の子どもであるあなたがたに、ふさわしいことです。天の父は、悪人にも善人にも太陽の光を注ぎ、正しい人にも正しくない人にも分け隔てなく雨を降らせてくださいます。
46 自分を愛してくれる人だけを愛したからといって、取り立てて自慢できるでしょうか。悪人でも、そのくらいのことはしています。
47 気の合う友達とだけ親しくしたところで、ほかの人とどこが違うと言えるでしょう。神を信じなくても、そのくらいのことはだれでもします。
48 ですから、あなたがたは、天の父が完全であるように完全でありなさい。
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1 人にほめられようと、人前で善行を見せびらかさないようにしなさい。そんなことをすれば、天の父から報いをいただけません。
2 貧しい人にお金や物を恵む時には、偽善者たちのように、そのことを大声で宣伝してはいけません。彼らは人目につくように、会堂や街頭で大げさに慈善行為をします。いいですか、よく言っておきますが、そういう人たちは、もうそれで、報いは受けているのです。
3 ですから、人に親切にする時は、右手が何をしているのか左手でさえ気づかないくらいに、こっそりとしなさい。
4 そうすれば、隠れたことはどんな小さなことでもご存じの天の父から、必ず報いがいただけます。
5 ここで、祈りについて注意しておきましょう。人の見ている大通りや会堂で、さも信心深そうに祈って見せる偽善者のように祈ってはいけません。よく言っておきますが、そういう人たちは、もうそれで、報いを受けてしまったのです。
6 祈る時には、一人で部屋に閉じこもり、父なる神に祈りなさい。隠れたことはどんな小さなことでもご存じのあなたの父から、必ず報いがいただけます。
7 ほんとうの神を知らない人たちのように、同じ文句を何度も唱えてはいけません。彼らは、同じ文句をくり返しさえすれば、祈りが聞かれると思っているのです。
8 父なる神は、あなたがたに何が必要かを、あなたがたが祈る前からすでに、ご存じなのです。
9 ですから、こう祈りなさい。
『天におられるお父様。
あなたのきよい御名があがめられますように。
10 あなたの御国が来ますように。
天の御国でと同じように、この地上でも、
あなたの御心が行われますように。
11 私たちに必要な日々の食物を、
今日もお与えください。
12 私たちの罪をお赦しください。
私たちも、私たちに罪を犯す者を赦しました。
13 私たちを誘惑に会わせないように守り、
悪から救い出してください。アーメン。』
14 もしあなたがたが、自分に対して罪を犯した人を赦すなら、天の父も、あなたがたを赦してくださいます。
15 しかし、あなたがたが赦さないなら、天の父も、あなたがたを赦してくださいません。
16 次に断食についてですが、偽善者たちのような、人目につくやり方は避けなさい。彼らは、やつれた顔をわざと見せつけ、同情を買おうとします。よく言っておきますが、そういう人たちは、もうそれで、報いを受け取ってしまったのです。
17 断食をする時は、むしろ晴着をまといなさい。
18 そうすれば、だれもあなたが断食をしているとは気づかないでしょう。しかし、あなたの父は、どんなことでもご存じです。そして、報いてくださるのです。
19 財産を、この地上にたくわえてはいけません。地上では、損なわれたり、盗まれたりするからです。
20 財産は天にたくわえなさい。そこでは価値を失うこともないし、盗まれる心配もありません。
21 あなたの財産が天にあるなら、あなたの心もまた天にあるのです。
22 目が澄みきっているなら、あなたのたましいも輝いているはずです。
23 しかし、目が悪い考えや欲望でくもっているなら、あなたのたましいは暗闇の中にいるのです。その暗闇のなんと深いことでしょうか。
24 だれも、神とお金の両方に仕えることはできません。必ずどちらか一方を憎んで、他方を愛するからです。
25 ですから、食べ物や飲み物、着る物のことで心配してはいけません。いのちのほうが、何を食べ、何を着るかということより、ずっと大事です。
26 空の鳥を見なさい。食べ物の心配をしていますか。種をまいたり、刈り取ったり、倉庫にため込んだりしていますか。そんなことをしなくても、天の父は鳥を養っておられるでしょう。まして、あなたがたは天の父にとって鳥よりはるかに価値があるのです。
27 だいたい、どんなに心配したところで、自分のいのちを一瞬でも延ばすことができますか。
28 また、なぜ着る物の心配をするのですか。野に咲いているゆりの花を見なさい。着る物の心配などしていないでしょう。
29 それなのに、栄華をきわめたソロモンでさえ、この花ほど美しくは着飾っていませんでした。
30 今日は咲いていても、明日は枯れてしまう草花でさえ、神はこれほど心にかけてくださるのです。だとしたら、あなたがたのことは、なおさらよくしてくださらないでしょうか。ああ、信仰の薄い人たち。
31 ですから、食べ物や着物のことは、何も心配しなくていいのです。
32 ほんとうの神を信じない人たちのまねをしてはいけません。彼らは、それらがたくさんあることを鼻にかけ、そうした物に心を奪われています。しかし天の父は、それらがあなたがたに必要なことをよくご存じです。
33 神を第一とし、神が望まれるとおりの生活をしなさい。そうすれば、必要なものは、神が与えてくださいます。
34 明日のことを心配するのはやめなさい。神は明日のことも心にかけてくださるのですから、一日一日を力いっぱい生きなさい。
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1 人のあら探しをしてはいけません。自分もそうされないためです。
2 なぜなら、あなたがたが接するのと同じ態度で、相手も接してくるからです。
3 自分の目に大きなごみを入れたままで、どうして人の目にある、小さなちりを気にするのですか。
4 大きなごみが目をふさいで、自分がよく見えないというのに、どうして、『目にごみが入っている。取ってあげよう』などと言うのですか。
5 偽善者よ。まず自分の目から大きなごみを取り除きなさい。そうすれば、はっきり見えるようになって、人を助けることができます。
6 聖なるものを犬に与えてはいけません。真珠を豚にやってはいけません。豚は真珠を踏みつけ、向き直って、あなたがたに突っかかって来るでしょう。
7 求めなさい。そうすれば与えられます。捜しなさい。そうすれば見つかります。戸をたたきなさい。そうすれば開けてもらえます。
8 求める人はだれでも与えられ、捜す人はだれでも見つけ出します。戸をたたきさえすれば開けてもらえるのです。
9 パンをねだる子どもに、石ころを与える父親がいるでしょうか。
10 『魚が食べたい』と言う子どもに、蛇を与える父親がいるでしょうか。いるわけがありません。
11 罪深いあなたがたであっても、自分の子どもには良いものを与えたいと思うのです。それならなおのこと、あなたがたの天の父が、求める者に良いものを下さらないはずがあるでしょうか。
12 人からしてほしいと思うことを、そのとおり、人にもしてあげなさい。これがモーセの律法の要約です。
13 狭い門を通らなければ、天の国に入ることはできません。人を滅びに導く道は広く、多くの人がその楽な道を進み、広い門から入って行きます。
14 しかし、いのちに至る門は小さく、その道は狭いので、ほんのわずかな人しか見つけることができません。
15 偽教師たちに気をつけなさい。彼らは羊の毛皮をかぶった狼だから、あなたがたを引き裂いてしまうでしょう。
16 彼らの行いを見て、正体を見抜きなさい。ちょうど木を見分けるように。実を見れば、何の木かはっきりわかります。ぶどうといばら、いちじくとあざみとを見まちがえることなどありえません。
17 実を食べてみれば、どんな木かすぐにわかります。
18 おいしい実をつける木が、まずい実をつけるはずはないし、まずい実をつける木が、おいしい実をつけるはずもありません。
19 まずい実しかつけない木は、結局は切り倒され、焼き捨てられてしまいます。
20 木でも人でも、それを見分けるには、どんな実を結ぶかを見ればよいのです。
21 わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う人がみな、神の国に入れるわけではありません。天におられるわたしの父の御心に従う人だけが入れるのです。
22 最後の審判の時、多くの人が弁解するでしょう。『主よ、主よ。私たちは熱心に伝道しました。あなたのお名前を使って悪霊を追い出し、すばらしい奇跡を何度も行ったではありませんか。』
23 しかし、わたしはこう宣告します。『あなたがたのことは知らない。ここから出て行きなさい。あなたがたがしたのは悪いことばかりではありませんか。』
24 わたしの教えを聞いて、そのとおり忠実に実行する人はみな、堅い岩の上に家を建てる賢い人に似ています。
25 大雨が降り、大水が押し寄せ、大風が吹きつけても、その家はびくともしません。土台がしっかりしているからです。
26 反対に、わたしの教えを聞いても、それを無視する人は、砂の上に家を建てる愚かな人に似ています。
27 大雨、大水、大風が襲いかかると、その家はあとかたもなく、こわれてしまうからです。」
28 群衆は、イエスの教えに目をみはりました。
29 イエスの話し方が、どんなユダヤ人の指導者たちとも違っていたからです。
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1 イエスが山を降りると、大ぜいの群衆がついて来ました。
2 その時です。ツァラアト(皮膚が冒され、汚れているとされた当時の疾患)の人が一人、イエスに駆け寄り、足もとにひれ伏しました。「先生。お願いですから、私を治してください。お気持ちひとつで、治すことがおできになるのですから。」
3 イエスはその男にさわり、「そうしてあげましょう。さあ、よくなりなさい」と言われました。するとたちまち、ツァラアトはあとかたもなくきれいに治ってしまいました。
4 「さあ、まっすぐ祭司のところに行き、体を調べてもらいなさい。モーセの律法にあるとおり、ツァラアトが治った時のささげ物をしなさい。完全に治ったことを人々の前で証明するのです。」
5-6 イエスがカペナウムの町に入られると、ローマ軍の隊長がやって来て、「先生。うちの若い召使が中風で苦しんでおります。とてもひどく、起き上がることもできません。どうか治してやってください。お願いします」としきりに頼みました。
7 「わかりました。では、行って治してあげましょう」とイエスは承知されました。
8 ところが、隊長の返事はこうでした。「先生。私には、あなたを家にお迎えするだけの資格はありません。わざわざ来ていただかなくても、ただこの場で、『治れ』と言ってくださるだけでけっこうです。そうすれば、召使は必ず治ります。
9 と申しますのは、私も上官に仕える身ですが、私の下にも部下が大ぜいおります。その一人に私が『行け』と言えば行きますし、『来い』と言えば来ます。また奴隷に『あれをやれ。これをやれ』と命じると、そのとおりにします。私にさえそんな権威があるのですから、先生の権威で、病気に『出て行け』とお命じになれば、必ず治るはずです。」
10 イエスはたいへん驚き、群衆のほうをふり向いて言われました。「これほど信仰深い人は、イスラエル中でも見たことがありません。
11 いいですか、皆さん。やがて、この人のような外国人がたくさん世界中からやって来て、神の国で、アブラハム、イサク、ヤコブといっしょに席に着くでしょう。
12 ところが、神の国はもともとイスラエル人のために準備されたのに、多くのイスラエル人が入りそこねて、外の暗闇に放り出され、泣いてくやしがることになるのです。」
13 それから、ローマ軍の隊長に、「さあ、家に帰りなさい。あなたの信じたとおりのことが起こっています」と言われました。そして、ちょうどその時刻、召使の病気はいやされていたのです。
14 イエスがペテロの家に行かれると、ペテロのしゅうとめが、高熱でうなされていました。
15 ところが、イエスがその手におさわりになると、たちまち熱がひき、彼女は起き出して、みんなの食事のしたくを始めました。
16 その夕方のことです。悪霊につかれた人たちが、イエスのところに連れて来られました。イエスがただひとことお命じになると、たちまち悪霊どもは逃げ出し、病人はみな治りました。
17 こうして、イエスについてイザヤが、「彼は、私たちの痛みを身に引き受け、私たちの病を負った」(イザヤ53・4)と預言したとおりになったのです。
18 イエスは、自分を取り巻く群衆の数がだんだんふくれ上がっていくのに気づき、湖を渡る舟の手配を弟子たちにお命じになりました。
19 ちょうどその時、ユダヤ教の教師の一人が、「先生。あなたがどこへ行かれようと、ついてまいります」と申し出ました。
20 しかし、イエスは言われました。「きつねにも穴があり、鳥にも巣があります。しかし、メシヤ(救い主)のわたしには、自分の家はおろか、横になる所もありません。」
21 また、ある弟子は、「先生。ごいっしょするのは、父の葬式を終えてからにしたいのですが」と言いました。
22 けれどもイエスは、「いや、今いっしょに来なさい。死んだ人のことは、あとに残った者たちに任せておけばいいのです」とお答えになりました。
23 それから、イエスと弟子たちの一行は舟に乗り込み、湖を渡り始めました。
24 すると突然、激しい嵐になりました。舟は今にも、山のような大波にのまれそうです。ところが、イエスはぐっすり眠っておられました。
25 弟子たちはあわてて、イエスを揺り起こし、「主よ。お助けください。舟が沈みそうです」と叫びました。
26 するとイエスは、「そんなにこわがるとは、それでも神を信じているのですか」と答えると、ゆっくり立ち上がり、風と波をおしかりになりました。するとどうでしょう。嵐はぴたりとやみ、大なぎになったではありませんか。
27 弟子たちは恐ろしさのあまり、その場に座り込み、「なんというお方だろう。風や湖までが従うとは」と、ささやき合いました。
28 やがて、舟は湖の向こう岸に着きました。ガダラ人の住む地方です。と、そこに二人の男がやって来ました。実はこの二人は悪霊に取りつかれ、墓場をねぐらにしている人たちでした。何をされるかわかったものではないので、だれもそのあたりには近寄りませんでした。
29 二人は、イエスに向かって大声でわめき立てました。「おれたちをどうしようというんだ。確かに、おまえは神の子だ。だが、今はまだ、おれたちを苦しめる権利はないはずだ。」
30 ところで、ずっと向こうのほうでは、豚の群れが放し飼いになっていました。
31 そこで悪霊たちは、「もし、おれたちを追い出すのなら、あの豚の群れの中に入れてくれ」と頼みました。
32 イエスが、「よし、出て行け」とお命じになると、悪霊たちは男たちから出て、豚の中に入りました。そのとたん、豚の群れはまっしぐらに走りだし、湖めがけていっせいにがけを駆け降り、おぼれ死んでしまいました。
33 びっくりした豚飼いたちが近くの町に逃げ込み、事の一部始終を知らせると、
34 町中の者が押しかけ、「これ以上迷惑をかけてもらいたくないから、この地を立ち去ってくれ」とイエスに頼みました。
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1 それで、イエスは舟に乗り込み、ご自分の町カペナウムに帰られました。
2 そうこうするうち、数人の人が、中風の男を寝床に寝かせたまま運んで来ました。必ず治していただけると信じていたからです。イエスはこの人たちの信仰を見て、病人に、「さあ、元気を出しなさい。わたしがあなたの罪を赦したのですから」と言われました。
3 「なんと罰あたりなことばだ! まるで、自分が神だと言っているようなものではないか。」ユダヤ教の指導者のある者は、腹の中が煮えくり返る思いでした。
4 イエスは、彼らの心中を見抜いて、「なぜそんな悪いことを考えているのですか。
5-6 この人に『あなたの罪が赦されました』と言うのと、『起きて歩きなさい』と言うのと、どちらがやさしいですか。さあ、わたしに地上で罪を赦す権威があることを証明してみせましょう」と言い、向き直って、中風の男に命令なさいました。「さあ、起きて寝床をたたみ、家に帰りなさい。もう治ったのですから。」
7 すると男は飛び起き、家に帰って行きました。
8 この有様を目のあたりにした群衆は、恐ろしさのあまり震え上がり、このような権威を人にお与えになった神をあがめました。
9 イエスはそこを去り、道を進んで行かれました。途中、マタイという取税人が取税所に座っていたので、「来なさい。わたしの弟子になりなさい」と声をおかけになると、マタイはすぐ立ち上がり、あとについて行きました。
10 そのあと、イエスと弟子たちは、マタイの家で夕食をとることになり、取税人仲間や律法の規定を守らない人も大ぜい招かれました。
11 これを見たパリサイ人たちはかんかんになり、弟子たちに、「おまえたちの先生は、どうしてあのような者たちとつき合うのだ」と食ってかかりました。
12 イエスはこれを聞いて、「健康な人には医者はいりません。医者が必要なのは病人です」とお答えになり、
13 さらにこう続けました。「聖書に、『わたしが喜ぶのは、いけにえやささげ物ではなく、あなたがたがあわれみ深くなることである』(ホセア6・6)とあります。このほんとうの意味を、もう一度学んできなさい。わたしは、自分を正しいと思っている人たちのためにではなく、罪人を神に立ち返らせるために来たのです。」
14 ある日、バプテスマのヨハネの弟子たちがイエスのところに来て、尋ねました。「なぜ、先生の弟子たちは、私たちやパリサイ人のように断食しないのですか。」
15 するとイエスは、こうお話しになりました。「花婿の友達は、花婿がいっしょにいる間は、嘆き悲しんだり食事をしなかったりするでしょうか。しかし、やがて花婿のわたしが、彼らから引き離される日が来ます。その時こそ彼らは断食することになるでしょう。
16 水洗いしていない新しい布で、古い着物に継ぎ当てをする人がいるでしょうか。そんなことをしたら、当て布は縮んで着物を破り、穴はもっと大きくなるでしょう。
17 また、新しいぶどう酒を貯蔵するのに、古い皮袋を使う人がいるでしょうか。そんなことをしたら、古い皮袋は新しいぶどう酒の圧力で張り裂け、ぶどう酒はこぼれ、どちらもだいなしになってしまいます。新しいぶどう酒を貯蔵するには、新しい皮袋を使います。そうすれば両方とも長持ちするのです。」
18 このように話していると、町の会堂管理人が駆け込んで来ました。そしてイエスの前にひれ伏し、「先生。私の幼い娘がたったいま息を引き取りました。どうかおいでくださって、手を置いて、あの子を生き返らせてください」と訴えました。
19 そこでイエスと弟子たちは、彼の家へ向かいました。
20 その途中、十二年間も出血の止まらない病気で苦しんでいた一人の女が、人ごみにまぎれて、うしろからイエスの着物のふさにさわりました。
21 「このお方にさわるだけでも、きっと治る」と思ったからです。
22 イエスはふり向き、女に声をかけました。「さあ、勇気を出しなさい。あなたの信仰があなたを治したのです。」この瞬間から、女はすっかりよくなりました。
23 さて、イエスが会堂管理人の家に着くと、人々であふれ返り、弔いの音楽が聞こえてきます。
24 そこでイエスは、「さあ、この人たちを外に出しなさい。娘さんは死んではいません。ただ眠っているだけです」と言われました。それを聞くと、みんなはイエスをあざ笑いました。
25 人々がみな出て行くと、イエスは少女の寝ている部屋に入り、その手を取りました。するとどうでしょう。少女はすぐに起き上がり、もとどおり元気になったのです。
26 このうわさはたちまち、その地方一帯に広まりました。
27 イエスが少女の家をあとにされると、二人の盲人が、「ダビデ王の子よ! あわれな私たちをお助けください」と叫びながらついて来ました。
28 そしてついに、イエスが泊まっておられる家にまで入り込んで来ました。イエスが、「わたしに目を開けることができると思いますか」とお尋ねになると、彼らは、「はい、もちろんです」と答えました。
29 そこでイエスは、二人の目にさわり、「あなたがたの信じるとおりになりなさい」と言われました。
30 すると、彼らの目が見えるようになったのです。「このことをだれにも話してはいけません」と、イエスはきびしくお命じになりましたが、
31 それでも彼らは、イエスのことを町中に言いふらしました。
32 この人たちと入れ替わりに、悪霊につかれてものが言えなくなった男が連れて来られました。
33 イエスが悪霊を追い出されると、その人はすぐに口をきき始めたので、みんなは驚きあきれ、「こんなことは、今まで見たことがない」と大声で言い合いました。
34 しかし、パリサイ人たちは、「あいつは、悪霊の王ベルゼブル(サタン)を使っているのだ。それで悪霊どもを簡単に追い出せるのだ」と言いました。
35 イエスはその地方の町や村をくまなく巡回し、ユダヤ人の会堂で教え、神の国についての福音を伝えられました。また、行く先々で、あらゆる病人を治されました。
36 このように、ご自分のところにやって来る群衆をごらんになって、イエスの心は深く痛みました。彼らは、かかえている問題が非常に大きいのに、どうしたらよいか、どこへ助けを求めたらよいかわからないのです。ちょうど、羊飼いのいない羊のようでした。
37 イエスは弟子たちに言われました。「収穫はたくさんあるのに、働く人があまりにも少ないのです。
38 ですから、収穫の主である神に祈りなさい。刈り入れの場にもっと多くの働き手を送ってくださるように願うのです。」
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