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ヨブ 記

ヨブ 記 の紹介

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本書は、人間がもつ最も深遠な問題に触れています。もし、罪や苦しみに対して何らかの力を発揮できる神が存在するなら、どうして、まだ罪や苦しみがこの世にあるのか、という問題です。苦しんでいるヨブが三人の友人と討論するところから始まり、エリファズ、ビルダデ、ツォファルはそれぞれ、ヨブの不幸を異なった方法で説明しようとします。四番目の人物エリフは、状況の要約をし、ヨブがなぜ苦しみを受けているかについて別の解釈をします。最後に神ご自身がヨブに語りかけ、ヨブは人生の諸問題の解答を得ることより、むしろ神ご自身を必要とすることを悟ります。

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ヨブ 記

ヨブ 記 1

プロローグ

1 ウツの国にヨブという人が住んでいました。ヨブは人格者で、神を敬い、悪から遠ざかって生活していました。

2-3 彼は子だくさんで、息子が七人、娘が三人もいました。それに、羊七千頭、らくだ三千頭、牛五百くびき、雌ろば五百頭がいる上に、大ぜいの召使をかかえていました。名実ともに、その地方きっての資産家だったのです。

4 毎年、ヨブの息子たちは、お互いの誕生日ごとに、兄弟姉妹を自宅に招いて祝いました。

5 その誕生パーティーが一通り終わると、ヨブは決まって子どもたちを呼び寄せ、彼らの身をきよめる儀式を行いました。ヨブは朝早く起き、子どもたち一人一人のために、焼き尽くすいけにえをささげるのです。ヨブは口ぐせのように、「息子たちが、もしかしたら罪を犯し、心の中で神に背いたかもしれない」と言っていたからで、彼はいつもそのようにしていました。

6 ある日、御使いたちが主の前に出た時のことです。その中に、告発者のサタンもいました。

7 主はサタンに聞きました。「おまえはどこから来たのか。」「地上を歩き回って、いろいろと見てきたところです。」

8 「わたしのしもべヨブを知っているか。彼は世界で一番の人格者で、神を敬い、一点の非の打ちどころもない人物だ。」

9 「それは当然です。あなたが特別に心にかけているのだから。

10 あなたはいつも、ヨブとその家庭、持ち物を守り、ヨブのすることは何でも栄えるように目をかけています。これでは、金がうなるほどあっても不思議はありません。あなたを拝むふりをして当然です。

11 一度ヨブの財産を取り上げてみたら、きっとヨブはあなたをのろうでしょう。」

12-13 「では、ヨブの財産のことは、おまえの好きなようにしてよい。ただ、ヨブの体に触れてはならない。」

こうして、サタンは出て行きました。それからしばらくして、ヨブの息子、娘たちが長兄の家で祝宴を張っている時、悲劇の幕が切って落とされました。

14-15 使者がヨブの家に飛んで来て、悲報を伝えたのです。「大変です! 牛が畑を耕し、そばでろばが草を食べているところへ、いきなりシェバ人が襲いかかりました。家畜はさらわれ、労働者たちは皆殺しです。どうにか助かったのは私一人です。」

16 彼の話がまだ終わらないうちに、別の使いが、いっそう悪い知らせを伝えました。「恐ろしいことです。神の火が天から下って、羊と牧童を残らず焼き殺しました。難を免れたのは私だけです。」

17 この男が報告し終えないうちに、もう一人の使者が息せき切って駆け込んで来ました。「だんな様! 三組のカルデヤ人の野盗がらくだを奪い、召使たちを殺しました。私一人が、何とか逃げて来たのです。」

18 彼がなおも話している間に、さらにもう一人が駆けつけました。「お子さんたちが大変です。皆さん、ご長男の家で宴会を開いておいででした。

19 すると突然、砂漠の方から大風が吹きつけて、家を直撃したのです。それで屋根が落ち、その下敷きになって、皆さんお亡くなりに……。私だけが、どうにか命拾いをしました。」

20 この時ヨブは立ち上がり、悲しみのあまり上着を引き裂き、地にひれ伏して、

21 神に言いました。

「生まれてきた時、私は裸でした。

死ぬ時も、何一つ持って行けません。

私の持ち物は全部、主が下さったものです。

ですから、主はそれを取り上げる権利もお持ちです。

いつでも、どんなときでも、

主の御名がたたえられますように。」

22 このような事態になっても、ヨブは罪を犯したり、神を悪しざまに言ったりしませんでした。

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ヨブ 記

ヨブ 記 2

1 このことがあったあと、御使いたちが再び主の前に出た時、サタンも同席していました。

2 主はサタンに聞きました。「おまえはどこから来たのか。」「地上を歩き回って、いろいろと見てきたところです。」

3 「そうか。おまえは、わたしのしもべヨブの態度を見たか。ヨブは世界で一番の人格者だ。神を敬い、いっさいの悪から遠ざかっている。おまえは、わたしをそそのかして、理由もないのに彼に危害を加えた。ところが、あの信仰深さはどうだろう。」

4-5 「いのちが助かるためなら、人はどんなことでもするものです。今度は病気にしてみればいい。ヨブはきっと、面と向かってあなたをのろうでしょう。」

6 「気のすむようにするがいい。ただし、ヨブのいのちだけは取ってはならない。」

7 こうして主の前から引き下がったサタンは、ヨブを頭のてっぺんから足の裏まで悪性の腫れ物だらけにして攻め立てました。

8 ヨブは土器のかけらで体中をかきむしり、灰の上に座り込みました。

9 それを見て、妻がそそのかしました。「こんなひどい仕打ちをされても、まだ神を大切にするのですか。いっそ、神をのろって死んでしまったほうがいいのではないかしら。」

10 「まるで、神を知らない外国の女のような口をきくのだな。神から祝福ばかり頂いて、災いはお断わりなどという都合のいい話があるだろうか。」ヨブは、このようになってもなお、神を冒瀆するようなことは、いっさい口にしませんでした。

11 さて、ヨブの身に災難が降りかかったことを知った友人たちが三人、互いに打ち合わせをして、彼を慰め励まそうと、はるばる訪ねて来ました。この三人は、テマン人エリファズ、シュアハ人ビルダデ、ナアマ人ツォファルです。

12 彼らはヨブを見て、ただ、びっくりするばかりでした。顔形はすっかり変わり、見分けもつかないほどです。彼らはあまりの痛ましさに声を上げて泣き、めいめい上着を裂き、ちりを空中にまき散らし、頭に土をかぶって悲しみました。

13 それから、ヨブとともに七日七夜、地に座っていましたが、だれも黙ったままでした。ヨブの苦しみようがあまりひどいので、話しかけることもできなかったのです。

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ヨブ 記

ヨブ 記 3

ヨブのことば

1 ついにヨブは口を開き、自分の生まれた日をのろいました。

2-3 「ああ、なぜ私は生まれたのか。

こんなことなら、いっそ生まれないほうがよかった。

4 私が生まれた日など忘れ去られてしまえ。

神にさえ忘れられ、

永遠の暗闇に包まれてしまえばよいのだ。

5-6 そうだ、暗闇がその日を奪い、

黒雲が覆い隠すがよい。

その日が暦から消し去られ、

その日には何もなかったことになればよい。

7 その日の夜は荒れすさんだ、喜びのない夜となれ。

8 のろいの名人よ、その日をのろってくれ。

9 その夜は星も出るな。

その夜がどんなに光を待ちわびても

夜は明けることなく、

朝がくることがないように。

10 それはこの日が、

母が私を身ごもらせないようにできなかったから、

こんな災難に会うため、わざわざ生まれさせたからだ。

11 ああ、なぜ、私は生まれてすぐに死ななかったのか。

12 なぜ、産婆は私を生かしておき、

乳房をふくませて養い育てたのか。

13 生まれてすぐ死んでいたら、

今ごろ安らかに眠っていただろうに。

14-15 栄華を極めた大臣や王たち、

また城の中に財宝を積み上げた領主たちと

いっしょになっていただろうに。

16 呼吸もせず、陽の光を見ることもない

死産の子だったらよかったのだ。

17 死んでしまえば、悪い者ももう人に迷惑をかけず、

疲れきった者も休むことができる。

18 囚人も、残忍な看守から解放されて安らぎを得るのだ。

19 死んでしまえば、金持ちも貧しい人もない。

奴隷でさえ、自由の身となる。

20-21 なぜ、悲惨な境遇にある者に、

光といのちが与えられているのか。

彼らは死にたくても死ねない。

人が食べ物や金品のことで目の色を変えるように、

ひたすら死を求めているのに。

22 思いどおり死ねたら、彼らはどんなに安らかだろう。

23 神の与えるものが無益と失意の人生だけだとしたら、

なぜ、神は人を生まれさせるのだろう。

24 私から出るのはため息ばかりで、

食事ものどを通らない。

うめき声は水のように止めどなくあふれている。

25 恐れていたことがついに起こったのだ。

26 ぬくぬくと遊び暮らしていたわけでもないのに、

災いが容赦なく降りかかったのだ。」

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ヨブ 記

ヨブ 記 4

エリファズのことば

1 テマン人エリファズからヨブへの答え。

2 「あえて、ひと言いわせてほしい。

もう黙ってはいられない。

3-4 以前あなたは、悩んでいる人に向かって

神を信頼しなさいと口ぐせのように言っていた。

弱っている人、倒れそうになっている人、

立つ気力もなくして地面に座り込む人、

自暴自棄に陥った人を元気づけてきた。

5 ところが、いざ自分がその身になってみると、

すっかり弱り果て、自暴自棄になっている。

6 そんなときこそ、神を信頼するべきではないのか。

神は正しい人に目をかけてくださることが、

信じられないというのか。

7-8 考えてもみなさい。

心底から正しくて罪のない人が

罰せられるなどという話を、

一度でも聞いたことがあるか。

罪と争いの種をまく者が悩みを刈り取ることは、

経験の教えるところだ。

9 そのような者は、神の怒りの息吹によって死ぬ。

10 若いライオンのように吠えたけっていても、

押しつぶされて滅びるのだ。

11 いつかは、年をとって弱り果てたライオンのように

飢え、子どもたちも散り散りになる。

12 耳もとのささやきのように、こっそりと、

ひとつの真理が私に伝えられた。

13 あれは、人が寝静まった夜中だった。

私は幻を見たのだ。

14 急に私は恐ろしくなり、

身の毛のよだつ思いに全身がわなないた。

15 一つの霊が前を通り過ぎたとき、髪の毛は逆立った。

16 といっても、霊の気配を感じただけで、

姿を見たわけではないが。

気味が悪いほど静まりかえった中で、

どこからともなく、こう言う声が聞こえてきた。

17 『人にすぎない者が

神より正しいなどということがあろうか。

創造者よりきよいなどということがあろうか。』

18-19 御使いさえ過ちを犯し、

神に信頼されていないとしたら、

ちりから造られた人間はなおさらのことだ。

人は虫のように、簡単につぶされて死ぬ。

20 朝には生きていても、夕方には冷たい死体となり、

だれからも気に留められないまま永久に葬られる。

21 か細いいのちの火は吹き消され、

なすすべもなく死ぬだけだ。

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ヨブ 記

ヨブ 記 5

1 助けを呼び求めても、だれも答えてくれない。

神々によりすがっても、助けてもらえない。

2 怒り狂い、のたうち回って息絶えるだけだ。

3 神に背く者は、しばらくは栄えても、

思いもよらない災いにみまわれる。

4 彼らの子どもたちは、だれにもかばってもらえず、

簡単にだまされる。

5 せっかく上げた収穫も人手に渡り、

その富は、ほかの人の渇きをいやす。

6 罪の種をまいた者には、罰として不幸が襲う。

7 火種から勢いよく炎が吹き上げるように、

人は罪と不幸に向かってまっしぐらに進むのだ。

8 だから、あなたに忠告したい。

神に罪を告白しなさい。

9 神は、目をみはるような奇跡を何度でも行うからだ。

10 神は地に雨を降らせて田畑をうるおし、

11 貧しい者と謙遜な者を富ませ、

苦しむ者を安全な場所へ連れて行く。

12 神は、悪賢い者の計画をくつがえす。

13 彼らは知恵をこらして計画を練り、

そのわなに自分でかかる。

14 彼らは夜だけでなく、日中でも、

目の見えない者のように手探りで歩く。

15 神は、このような横暴な連中から、

身寄りのない者や貧しい者を救う。

16 こうして、貧しい者は希望を見いだし、

悪者の牙はへし折られる。

17 神に誤りを正してもらえる人は、

なんと幸せなことか。

神の懲らしめをないがしろにしてはいけない。

自分で罪を犯し、招いた結果なのだから。

18 神は傷つけても包帯を巻き、治してくださる。

19 何度でも救い出してくださる。

だから、災いがあなたに寄りつく暇もない。

20 あなたはききんの時には死から、

戦いの時には剣から守られる。

21 人の中傷も苦にならず、将来の心配もなくなる。

22 あなたは戦いもききんも心配する必要がなく、

野獣に襲われることもない。

23 どう猛な野獣は、あなたと平和協定を結ぶからだ。

24 家を留守にしても、何の心配もない。

倉庫には、だれも指一本ふれないからだ。

25 あなたの息子たちは、なくてはならぬ人物となり、

子孫は草のように増え広がる。

26 麦は、収穫の時までは

どんなことがあっても刈り取られない。

そのように、あなたも幸せな一生を送り、

長寿を全うする。

27 このことがうそ偽りでないことを

私は経験から知ったのだ。

あなたのためを思えばこそ忠告するのだ。

私の助言を聞いてくれ。」

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ヨブ 記

ヨブ 記 6

ヨブのことば

1 ヨブの返答。

2 「ああ、この悲しみと苦しさの重さを

量ることができたらよいのに。

3 まるで海辺の砂を千倍にもしたような重さなのだ。

だから、思わず激しいことばを吐いてしまったのだ。

4 主は弓矢で私を狙いうちにした。

その毒矢は心臓深く突き刺さった。

神からの恐怖は隊列を組んで私に襲いかかる。

そのたびに、身のすくむような思いがする。

5-7 野ろばが鳴くのは、草がないからだ。

飼い葉のあるうちは、牛もおとなしくしているものだ。

食べ物に塩気がなければ、人は苦情を言う。

生卵の白身ほどまずいものはない。

見るだけで食欲がなくなり、

食べるところを想像するだけで吐き気がする。

8-9 ああ神よ、もうたくさんです。

どうか死なせてください。

死ねば、この痛みから解放されます。

10 私は神のことばを一度だって拒まなかった。

そのことは、この苦しい拷問の中での

せめてもの慰めだ。

11 なぜ、まだ生きる力が残っているのだろう。

息を引き取る瞬間まで、このまま我慢できようか。

12 私は石のように感覚がないというのだろうか。

私の肉体は、真鍮でできているとでもいうのだろうか。

13 もう何の希望もない。

天涯孤独の身となり果ててしまった。

14 気落ちした友には、親切にすべきではないか。

それなのに、あなたは神を少しも恐れず、

私を責め立てるばかりだ。

15-18 あなたが砂漠の川のように

頼りにならないことはよくわかった。

雪や氷があるうちは水があふれるが、

夏の盛りには干上がってしまう。

川を目あてに、隊商はわざわざ脇道をして来るが、

一滴の水もないのであえない最期を遂げる。

19-21 テマとシェバの隊商は、

水を求めてそこに来るが、

望みは無残にも砕かれる。

あなたへの期待も、同じように裏切られた。

あなたは私を見て怖がり、後ずさりした。

救いの手を伸ばしてはくれなかった。

22 いったいなぜなのだ。

これまで私が、一度でも頼み事をしたことがあるか。

何かをくれるように言ったこともない。

23 助けを仰いだこともない。

24 私はただ、道理にかなった返事をしてほしいだけだ。

それが聞けたら、もう何も言うことはない。

だから教えてくれ。

いったい私が、どんな悪いことをしたというのか。

25-26 真実を言われれば、だれでも胸に響くものだ。

ところが、あなたの批判にはまるで根拠がない。

一時の感情にかられ、

絶望的なことばをはいたというだけで、

私を責めるのか。

27 それでは、身寄りのない孤児を傷つけ、

友を売るのと同じではないか。

28 私の目をまともに見てくれ。

私があなたの前でうそをつくような人間に見えるか。

29 勝手に私に罪があると考えるのはやめてくれ。

私は潔白なのだ。

どうか正しい判断をしてほしい。

30 私に善悪の区別ぐらいつけられないとでも言うのか。

もし落度があるなら、

気づかないはずがないではないか。

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ヨブ 記

ヨブ 記 7

1 人は、どうして苦しみもだえなければならないのか。

人の一生は、奴隷の日々のように長く苛酷だ。

2 一日の終わりが、なんと待ち遠しいことか。

人は賃金を受け取る週末まで汗水流して働く。

3 同じように私にも、苦しい日々と、

長くて物憂い夜がある。

4 床につくとき、『今が朝ならいいのに』と思い、

夜が明けるまで、寝返りを打って悶々とする。

5 私の体にはうじ虫がたかり、

皮膚はかさぶたで黒ずんでいる。

肉はざくろのように口を開け、膿が流れている。

6 望みもないまま、またたく間に一日一日が過ぎ去る。

7 私のいのちは、はかない息のようで、

良いものは何一つ残っていない。

8 私を見ていられるのも長くはない。

もうじき、私の死骸を見るようになるだろう。

9 雲が散って消えるように

死んだ者は永久に戻らない。

10 家族の前から永久に姿を隠し、

再び顔を見せることもない。

11 頼むから、私の苦しみをわかってほしい。

悩み苦しんでいる私に、気がすむまで語らせてほしい。

12 ああ神よ、

どうして私を放っておいてくださらないのですか。

私は獣でしょうか。

13-14 眠って悲惨な境遇を忘れようとすると、

あなたは悪夢で私を脅します。

15 こんな状態がいつまでも続くくらいなら、

ひと思いに締め殺されたほうがましです。

16 もう生きていたくなんかありません。

お願いです、神よ。

残り少ない日々を、私だけにしておいてください。

17 人とは何者なのでしょう。

神がわざわざ時間をかけて

苦しめるだけの値打ちがあるでしょうか。

18 朝ごとに尋問し、一日中痛めつけなければ

気がすまないのですか。

19 せめてつばを吐く間だけでも

ひとりにしておいてください。

20 人間の見張り役である神よ。

私の罪がご気分を害したのですか。

なぜ私を標的にし、

とても生きてはいられないようにさせるのですか。

21 なぜ私の罪を赦し、除いてくださらないのですか。

私は今にも息絶える身ではありませんか。

神が捜しても、私はどこにもいなくなるのです。」

—https://api-cdn.youversionapi.com/audio-bible-youversionapi/406/32k/JOB/7-3f044e6c402aeb045cd769dc57bc6e71.mp3?version_id=83—

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ヨブ 記

ヨブ 記 8

ビルダデのことば

1 シュアハ人ビルダデのヨブへの返答。

2 「ヨブ、いつまでそんなことを言い続けるのか。

そんな激しいことばでまくし立てるのはやめよ。

3 神が正義を曲げるだろうか。

4 あなたの子どもたちが罪を犯し、

神から罰を受けても、

5 あなたが全能の神に嘆願するなら、

6 神は祈りを聞き、

元どおりの幸福な家庭としてくださる。

もっとも、あなたが潔白で正しければの話だが。

7 たとえ一から出直しても、

やがて多くの財産を築くだろう。

8 歴史の書物をひもとき、調べてみるがいい。

9 私たちは生まれたばかりの赤ん坊のような者で、

ほんのわずかのことしか知らないのだ。

われわれの一生は影のようにはかない。

10 だが、昔の人の知恵は大したものだ。

ほかの人の経験から、

あなたは次のことを学ぶことができる。

11-13 神を忘れる者の望みは断たれる。

彼らは根を下ろす土のない葦や

水分を断たれた草のように、

鎌を入れないうちからしおれる。

14 神を追い出した者は、

くもの巣を頼りにするようなもので、

頼みの綱はみな断ち切られる。

15 自分の家にいれば安全だと思っていても、

家はいつまでもあるわけではない。

16 朝のうちは、青々と茂る木のように力にあふれ、

枝は庭いっぱいに張っている。

17 根は石地を伝い広がり、地下水にまで届く。

18 ところが、そんな者が急に姿を消しても、

だれも悲しんではくれない。

19 彼が期待できることといえば、これくらいだ。

そればかりか、彼の代わりに

ほかの者が地から芽を出す。

20 いいか、考えてもみよ。

神は正しい人をお見捨てにならないし、

悪い者を栄えさせることもないのだ。

21 あなたにも、いつか必ず笑顔を取り戻し、

喜びの叫びをあげる日がくる。

22 あなたを憎む者は、結局は恥をかき、

悪者は滅ぶことになるのだ。」

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ヨブ 記

ヨブ 記 9

ヨブのことば

1 ヨブの答え。

2 「そのようなことぐらい、私も知っている。

ちっとも耳新しいものはない。

しかし、答えてもらいたいものだ。

人はどうしたら神の目から見て、

正しい者となれるのか。

3 神と正面から議論しようと思ったら、

人は千の質問のうち、一つも答えることはできまい。

4 神の知恵と力は底知れないのだ。

今まで、神に反抗して

成功した者など、いないのだから。

5 神は突然怒って山を動かし、ひっくり返す。

6 大地さえ土台から揺り動かす。

7 神が命令すると、

太陽は昇らず、星も光らない。

8 神はただひとりで天を張り広げ、

海の上をゆったりと歩いた。

9 牡牛座、オリオン座、スバル座、

それに、南の星座も、みな神が造った。

10 ほかにも、目をみはるような奇跡はいっぱいある。

あまりに多くて数えきれないほどだ。

11 神がそばを通り過ぎても、

私には、そのお姿は見えない。

12 神が人のいのちを奪うとき、

だれもその手をとどめることはできない。

『何をするのですか』と抗議できる者もいない。

13 しかも、神は怒りを静めず、

高慢で屈強な人間をも地にひれ伏させる。

14 私には、全能の神を相手どって議論し、

説き伏せることなどできない。

15 たとい私が正しくても、自分を弁護しない。

ただただ、あわれみを求めるだけだ。

16 たとえ祈りが答えられても、

神が私の叫びを聞いたとは思えない。

17 神は、これほどまで私を打ちのめし、

理由もないのに傷口を広げるからだ。

18 次から次へと、息もつかせず、

非常な悲しみで私の心を満たしている。

19 強くて正しいのは、この世に神だけではないか。

20 しかし、私は正しいだろうか。

そうでないことは自分がよく知っている。

たとえ一点の非の打ちどころもないとしても、

神は私を悪い者とする。

21 自分が完全に潔白な人間であるかどうか

私は考えようとも思わない。

つくづく自分がいやになった。

22 潔白であるにせよ、悪人であるにせよ、

神にとっては同じこと。

どちらにしても滅ぼされるのだ。

23 神は、罪のない者が

災難に押しつぶされるのを見て笑う。

24 全地は悪者どもの手中にある。

神は裁判官の判断力を奪い、

不公平な裁判を行わせる。

そうするのが神でないとしたら、

いったいだれが張本人なのか。

25 私の一生は悲劇をはらんだまま、

矢のように飛び去る。

26 私の歳月は船足の速い舟のように遠ざかり、

獲物に襲いかかる鷲のように飛び去る。

27 神への不満を忘れ、

悲しむのをやめて明るく振る舞おうとしても、

28 神は今まで以上の悲しみを与えるばかりです。

ああ神よ、私にはわかっています。

あなたは私を罪ある者となさいます。

29 罪人扱いするに違いありません。

だから何を言ってもむだなのです。

30 たとえ、水晶のような水で体を洗い、

灰汁で手の汚れをすっかり落としても、

31 神は私をどぶに突き落とします。

そのため泥まみれになった着物でさえ、

神の目には、私よりきれいに見えるでしょう。

32-33 神は人間ではないので、

私は自分を弁護することができません。

もし神が人間なら、

対等な立場で話し合えるでしょう。

私たちの間には仲裁人がいません。

仲を取り持つ者がいないのです。

34 これ以上、神の刑罰の恐ろしさに

おびえなくてすむよう、

私を打ちたたくのをやめてください。

35 そうすれば、遠慮なくお話しし、

身の潔白を堂々と主張できるのです。

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