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ローマ人への手紙

ローマ人への手紙 10

救いは信仰と告白から

1 愛する皆さん。私が心から願い、祈り求めているのは、同胞であるユダヤ人が救われることです。

2 私は、彼らが神の誉れをどんなに熱心に求めているか、よく知っています。しかし、それは見当違いの熱心なのです。

3 というのも、彼らには、キリストが自分たちを神の前に正しい者とするために死んでくださったことが、わかっていないからです。そして、自分たちの正しさを認めさせようとして、神の救いの道に従わなかったのです。

4 彼らが律法(旧約のおきてや戒律)を守ることによって手に入れようとしているすべてのものを、キリストはご自分を信じる人々に与えてくださいます。キリストは、律法を終結なさったのです。

5 モーセは、「神のおきてと定めを行う人は、それによって救われる」(レビ18・5)と書いています。

6 しかし、信仰を通して与えられる救いは、こう教えてくれます。「あなたは、キリストを見つけようと天を捜し回る必要も、助けていただこうと引き降ろす必要もない。」

7 また、「キリストをもう一度復活させようと、死者の中を歩き回る必要もない。」

8 というのは、キリストを信じることによって与えられる救いは、自分の心の中や口、まさに私たちのすぐ手の届くところにあるからです。

9 なぜなら、もし自分の口で、「イエス・キリストは私の主です」と告白し、自分の心で、「神はイエス・キリストを死者の中から復活させてくださった」と信じるなら、あなたは救われるのです。

10 人は、心で信じることによって、神の前に正しい者とされ、その信仰を口で告白することによって救われるのです。

11 聖書は私たちに、「主キリストを信じる者は、決して失望させられることがない」と教えています。

12 ユダヤ人と外国人との区別はありません。同じ主がユダヤ人にとっても外国人にとっても主であり、求める者にはだれにでも、恵みを惜しみなく与えてくださるからです。

13 主の御名を呼び求める者は、だれでも救われるのです。

14 しかし、主を信じていなければ、どうして主に、「救ってください」と求めることができるでしょうか。また、主イエスのことを一度も聞いたことがなければ、どうしてそのお方を信じることができるでしょうか。だれかが教えてくれなければ、どうしてそのお方のことを聞けるでしょうか。

15 また、神に遣わされなければ、どうして人々のところへ出かけて教えることができるでしょうか。聖書に、「神との平和を宣べ伝え、良い知らせをもたらす人の足は、なんとうるわしいことか」(イザヤ52・7)とあるのは、まさにこのことです。

16 しかし、福音(キリストによる救いの知らせ)を耳にした人がみな、喜んで受け入れたわけではありません。預言者イザヤが、「主よ。彼らに語った時、だれが私のことばを信じましたか」(イザヤ53・1)と言っているとおりです。

17 信仰は、キリストについてのことばに耳を傾けることから始まるのです。

18 しかし、ユダヤ人はどうなのでしょうか。彼らは神のことばを聞いたのでしょうか。もちろんです。神のことばは、彼らをどこまでも追いかけ、地の果てまでも告げ知らされたのですから。

19 さらにユダヤ人は、もし自分たちが神の救いを拒むなら、その救いはほかの人々に与えられることを知っていたのでしょうか。もちろん知っていました。というのは、その昔モーセの時代に、すでに神はこう告げておられたからです。

「わたしは、無知な異教の諸国民に

救いを与えることで、

わたしの民にねたみを起こさせ、

その目を覚まさせよう。」(申命32・21)

20 後に、イザヤも大胆にこう言っています。

「捜し求めもしなかった人々によって

神は見いだされる。」(イザヤ65・1)

21 その一方、神はユダヤ人に、なお手を差し伸べ続けておられるのですが、彼らは反抗して、神のもとに行こうとしないのです。

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ローマ人への手紙

ローマ人への手紙 11

ユダヤ人は見捨てられない

1 では、神はご自分の民であるユダヤ人を退け、見捨ててしまわれたのでしょうか。決してそんなことはありません。この私もユダヤ人であり、アブラハムの子孫、ベニヤミン族の一人であることを忘れないでください。

2-3 神はもちろん、最初から選んだご自分の民を見捨てたわけではありません。聖書には何と書いてあるでしょうか。預言者エリヤはユダヤ人を告発し、彼らが他の預言者たちを殺し、神の祭壇をこわしたことを神に訴えています(Ⅰ列王19章)。「今なおあなたを愛する者は、この国中で私一人です。その私も、殺されそうなのです」と。

4 それに対して神が何とお答えになったか、覚えていますか。「いや、あなただけではない。わたしには、なおもわたしを愛し、偶像を拝んだことのない人がほかに七千人いる。」

5 それと同じように、神の恵みによって選ばれ、救われている人々が少数ながらいるのです。

6 しかし、それは神の恵みによるのであり、彼らの行いによるのではありません。そうでなければ、恵みが恵みでなくなってしまいます。

7 大部分のユダヤ人は、追い求めていた神の恵みを得ることができませんでした。恵みを得たのは、神に選ばれた少数の者だけでした。ほかの人々は心を閉ざされてしまったのです。

8 次のように記されているのは、そのことなのです。

「神は彼らを眠らせ、目と耳とをふさがれた。

それゆえ、(キリストのことを)語りかけても、

彼らにはわからない。

今日までその状態は続いている。」(イザヤ6・10)

9 ダビデも同じことを言っています。

「食卓のごちそうや、さまざまの祝福は

彼らのわなとなれ。彼らを、

『神とは万事うまくいっている』

という思いにさせよ。

これらの良いものがはね返って来て、

彼らの頭上に落ち、

当然の報いとして彼らを押しつぶすがいい。

10 彼らの目は見えなくなれ。

重荷を負わされて、

いつまでも背中を曲げたまま歩くがいい。」(詩篇69・22-23)

11 これは、神がご自分の民であるユダヤ人を退けてしまわれたことを意味するのでしょうか。絶対にそんなことはありません。神の目的は、このことによって神の救いが外国人にも及び、その結果、ユダヤ人がねたんで、自分でも救いを求めるようになることにあったのです。

12 考えてごらんなさい。彼らが神の救いにつまずき、それを拒んだことによって、全世界が豊かに恵まれたのです。とすれば、後にユダヤ人がキリストに立ち返る時には、どんなにすばらしい祝福がもたらされることでしょう。

13 外国人の方々に言いますが、神は私を、あなたがた外国人への使徒に任命してくださったので、私はそれを大切な使命としています。

14 しかし何とかして、ユダヤ人にも、あなたがた外国人が持っているものを求めさせ、幾人かでも救いたいのです。

15 彼らがクリスチャンになったら、どんなにすばらしいでしょう。神がユダヤ人から御顔をそむけられたために、神の救いが、世界のユダヤ人以外の人々に差し出されたのです。とすれば、ユダヤ人がキリストに立ち返るなら、もっとすばらしいことが起こります。それはちょうど、死者が生き返るようなものです。

16 アブラハムや預言者は神の民なのですから、その子孫もまた神の民となるはずです。木の根がきよければ、その枝もきよくなるはずだからです。

17 ところが、アブラハムの子孫という、オリーブの木の幾枝かが折り取られ、そして、いわば野生のオリーブの木の枝であった外国人のあなたがたが、それにつぎ木されました。それで今、あなたがたも、神がオリーブの木に注がれる、特別に豊かな滋養分にあずかって、アブラハムとその子孫とに約束された祝福をいただいているのです。

18 ですから、折り取られた枝の代わりにつぎ木されたことを、誇ってはいけません。あなたがたは枝であって、根があなたがたを支えているからです。

19 あなたは、「前の枝が折られたのは、私に場所を譲るためだった。とすれば、私はかなりいい人間に違いない」と考えるかもしれません。

20 気をつけなさい。ユダヤ人のその枝が折り取られたのは神を信じなかったからであり、あなたがたがつぎ木されたのは、ただ神を信じたからです。このことを忘れないようにしなさい。高ぶってはいけません。むしろ、謙虚になって神を恐れなさい。

21 もし神が台木の枝を惜しまなかったとすれば、ましてや、神をもはや信じないあなたがたを惜しむことはなさらないでしょう。

神の約束は変わらない

22 神がどんなに恵み深く、また、どんなにきびしい方かを考えてみなさい。神は不従順な者にはきびしく、神を愛し、信じる者には恵み深いお方です。もし神を愛さず、信じないなら、あなたがたもまた切り取られてしまうのです。

23 一方、ユダヤ人が不信仰な生き方をやめて神に立ち返るなら、神はまた、もとの木についでくださいます。神には、そうする力があるのです。

24 あなたがたは野生のオリーブの木の一部として、神から遠く離れた存在でしたが、神は受け入れ、ご自分の良い木についでくださったのです。とすれば、もともとその木の枝であったユダヤ人は、もっとたやすく神の台木につぎ木されるのではないでしょうか。

25 愛する皆さん。この神の真理を知っていただきたいのです。そうすれば、高ぶったり、自慢したりすることもないでしょう。確かに今、ユダヤ人のある者はこの救いの真理に反対していますが、そのような状態が続くのは、あなたがた外国人のうち、救いを願う者がすべてキリストのもとに来るまでの間にすぎません。

26 その時が来れば、イスラエルはみな救われます。このことについて、預言者は何と言っているでしょう。

「一人の救い手がシオンから出て、

ユダヤ人をあらゆる不敬虔から立ち返らせる。

27 その時わたしは、

約束どおり、彼らの罪を取り除く。」(イザヤ59・20-21)

28 今のところ、ユダヤ人の多くは福音に敵対し、それを憎んでいます。しかし、そのことはかえって、あなたがたには益となりました。というのは、神がその救いの賜物をあなたがた外国人に与えてくださることになったからです。しかし彼らユダヤ人は、神がアブラハム、イサク、ヤコブにお与えになった約束のゆえに、今でも愛されているのです。

29 神の賜物と招きは決して取り消されないからです。

30 あなたがたは以前は神に逆らっていましたが、ユダヤ人が神の賜物を拒んだので、代わりに神のあわれみを受けることになりました。

31 そして今、ユダヤ人は神に逆らっていますが、いつの日か彼らもまた、あなたがたの受けている慈しみとあわれみを共に受けるようになるのです。

32 なぜなら、神はすべての人を同じようにあわれもうとして、すべての人が不従順の罪に落ちるままにされたからです。

33 ああ、なんとすばらしい神を、私たちは信じていることでしょう。その知恵と知識と富は、なんと豊かなことでしょう。神のなされる方法を理解することなど、とうていできません。

34 いったいだれが、主のお心を知ることができますか。だれが、主のご計画の相談に加わるほどの知識を持っていますか。

35 また、いったいだれが、主から報いがいただけるほど十分に主にささげましたか。

36 というのは、すべてのものは神から出て、神に生かされ、神の栄光のために存在しているからです。どうか、この神に栄光がとこしえにありますように。

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ローマ人への手紙

ローマ人への手紙 12

神が下さった賜物を用いる

1 愛する皆さん。そういうわけですから、あなたがたにお願いします。あなたがたの体を、神に喜んでいただける、生きた、きよい供え物としてささげてください。それが神への礼拝となるのです。

2 この世の人々の生活や考え方をまねてはいけません。むしろ、神に喜ばれることは何かを思いながら、なすこと考えることすべての面で生き生きとした、全く新しい人となりなさい。

3 私は使徒として、あなたがた一人一人に警告します。自分を過大に評価してはいけません。神から与えられている信仰に応じて、慎み深くありなさい。

4-5 人の体には多くの器官があるのと同じように、キリストの体である教会にも、多くの器官があります。私たちはみな、キリストの体の各器官です。その体が形造られるには、私たちが必要です。というのは、それぞれが異なった役割を果たすからです。ですから、私たちは互いに依存し合っており、だれもがほかのすべての人を必要としているのです。

6 神は一人一人に、何かすぐれた賜物を授けてくださっています。ですから、預言する(神に託されたことばを語る)賜物を授かっているなら、預言しなさい。

7 他の人々に仕える賜物を授かっているなら、快く仕えなさい。教える立場にあるなら、よく教えなさい。

8 説教をする人であれば、人の助けとなるように説教しなさい。多くのものを与えられているなら、惜しみなく分け与えなさい。管理者としての賜物を与えられ、人々を監督する立場にあるなら、その責任を誠実に果たしなさい。悲しんでいる者を慰める賜物のある人は、喜んでそうしなさい。

9 見せかけだけで人を愛してはいけません。真心から愛しなさい。悪いことを憎み、良いことには賛成しなさい。

10 兄弟のような愛情で互いに愛し合い、また、心から尊敬し合いなさい。

11 決して仕事を怠けず、熱心に主に仕えなさい。

12 あなたがたのために神が計画しておられることすべてを喜びなさい。困難に耐え、常に祈りなさい。

13 仲間が困っている時には、助けてあげなさい。客を家に招いてもてなし、宿が必要なら泊めてあげるようにしなさい。

14 迫害されても、のろってはいけません。むしろ、神がその人を祝福してくださるように祈ってあげなさい。

15 だれかが幸せで喜んでいる時には、いっしょに喜んであげなさい。悲しんでいる人がいたら、いっしょに悲しんであげなさい。

16 互いに心を一つにし、楽しく働きなさい。高ぶってはいけません。偉い人に取り入ろうとせず、かえって、身分の低い人々と喜んで交際しなさい。何でも知っているなどと思い上がってはいけません。

17 悪いことをされても、決して仕返しをしてはいけません。だれが見ても、あなたがたの正直さを認めるように行動しなさい。

18 だれとも争ってはいけません。できる限り、あらゆる人と仲よくしなさい。

19 愛する皆さん。決して自分で復讐してはいけません。復讐は神に任せなさい。なぜなら、神が、「当然報復を受けなければならない人には、わたしが報復する」(申命32・35)と言っておられるからです。

20 むしろ、あなたの敵が飢えていたら、食べさせてやりなさい。のどが渇いていたら、飲ませてやりなさい。そうすることによって、あなたは、「敵の頭上に燃えさかる炭火を積む」(箴言25・22)ことになります。つまり彼は、あなたにしてきたことを思って、恥じ入るようになるのです。

21 悪に負けてはいけません。かえって、善を行うことによって悪に打ち勝ちなさい。

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ローマ人への手紙

ローマ人への手紙 13

正しい生活をしなさい

1 上に立つ権威に従いなさい。神がお立てになった権威だからです。神によらない権威はどこにもありません。

2 ですから、国の法律に従わない者は、神に従うことを拒んでいるのです。その人は必ず罰せられます。

3 正しいことをしている人は支配者を恐れません。しかし、悪いことをしている人は、いつも支配者を恐れるのです。ですから、びくびくしたくなければ正しいことを行いなさい。そうすれば安心して過ごせます。

4 支配者は、あなたを助けるために、神から遣わされているのです。しかし、何か悪いことをしていれば、支配者はあなたを罰するでしょうから、当然、恐れなければなりません。そのためにこそ、彼は神から遣わされているのです。

5 法に従う理由は二つあります。第一に、罰を受けないためであり、第二に、良心がそれを守るべきだとわかっているからです。

6 同じ理由で、税金も納めなさい。公務につく人々が国民のために、神から与えられた仕事を続けるには、給料が必要だからです。

7 支払うべきものは、だれにでも支払いなさい。納税の義務をすすんで果たし、上に立つ人々に従い、敬うべき人を敬い、重んじるべき人を重んじなさい。

8 借りがあれば、全部返しなさい。ただし、互いに愛し合うことだけは別です。というのは、人を愛することは、神のすべての律法、すべての要求にかなうことだからです。

9 自分を愛するように隣人を愛していれば、その人を傷つけたり、だましたり、殺したり、その人のものを盗んだりしたいとは思わないでしょう。またその人の妻と罪を犯すとか、その人のものを欲しがるといった、「十戒」で禁じられていることは何一つしないでしょう。このように、「姦淫するな、殺すな、盗むな、むさぼるな」という戒めは、「自分を愛するように、あなたの隣人を愛しなさい」という一つの戒めに含まれるのです。

10 愛はだれにも悪を行いません。だからこそ、愛は神の要求をすべて完全に満たすのです。愛こそ、あなたがたに必要なただ一つのおきてです。

11 正しい生活をしなければならない、もう一つの理由があります。それは、今や終末に近づいており、時はどんどん過ぎているからです。目を覚ましなさい。初めに信じたころより、今はいっそう主の来られる時が近いのです。

12-13 夜はふけ、昼がすぐそこまで近づいています。ですから、暗闇に属する悪い行いを捨てて、昼間にふさわしく生きるため、正しい生活という武具で身を固めなさい。あなたがたの行為は正しいとだれからも認められるよう、何をするにも、りっぱに、誠実にふるまいなさい。遊び騒いだり、酔っぱらったり、性的な欲望のとりこになったり、争ったり、ねたんだりして時間を浪費してはなりません。

14 当然なすべき正しい生活ができるように、主イエス・キリストに助けを求めなさい。悪を楽しむような計画を立ててはいけません。

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ローマ人への手紙

ローマ人への手紙 14

批判し合ってはいけない

1 あなたがたの仲間に加わりたいという人がいたら、たとえ信仰の弱い人であっても、心を開いて迎え入れなさい。考えが違うからといって批判してはいけません。

2 偶像に供えられた肉を食べてもよいかどうかで議論してはいけません。あなたがたは、偶像に供えられた肉を食べても別に悪くはないと信じているかもしれません。しかし、ほかの人たちの信仰はもっと弱いのです。彼らは、偶像に供えられた肉を食べるのは悪いとして肉を食べず、むしろ野菜を食べるほうがよいと思っています。

3 肉を食べてもよいと思っている人は、食べない人を見下してはいけません。また、食べない人も食べる人を非難してはいけません。神はそのどちらをも受け入れて、ご自分の子どもとしてくださったからです。

4 どちらも神に仕えているのであって、人に仕えているわけではありません。神に対して責任を負うのであって、人に対して責任を負うのではありません。正しいか、まちがっているかは、神がその人に教えてくださるはずです。

5 ある人は、神を礼拝する特別な日として、クリスチャンもユダヤ教の祝祭日を守るべきだと考えています。しかし、他の人は、どの日もみな同様に神の日なのだから、いちいちそんな面倒なことをするのはまちがっている、と言います。こうした問題については、一人一人が自分で判断しなければなりません。

6 もし、主を礼拝するために特別な日を守っているなら、主をあがめようとしてすることなので、良いことなのです。偶像に供えた肉を食べる人についても、同じことが言えます。彼はその肉のことで主に感謝しているのですから、正しいのです。そんな肉には触れようともしない人もまた、主に喜んでいただこうと願うからそうするのであって、感謝しているのです。

7 私たちは、自分のために存在しているのではなく、主のために存在しているのです。

8 私たちは主のものであり、生きるにしても死ぬにしても主に従うのです。

9 キリストが死んで復活したのは、私たちが生きている時も死んでいる時も、キリストが私たちの主となられることでした。

10 あなたがたには、自分の兄弟(信仰を同じくする人)を批判したり、見下したりする資格はありません。だれもが神のさばきの座の前に立つことを、忘れてはなりません。

11 次のように書いてあるとおりです。

「主は言われる。わたしは生きている。

すべてのひざは、わたしの前にかがめられ、

すべての舌は、神に告白する。」(イザヤ45・23)

12 このように、一人一人が、神の前に申し開きをすることになります。

13 ですから、これからはもう批判し合うことのないようにしましょう。むしろ、人をつまずかせないようにすることを心がけましょう。兄弟が「悪いことだ」と信じていることを目の前で行って、彼をつまずかせてはいけません。

14 私が主イエスの権威に基づいて確信しているのは、それ自体汚れているものは何一つないということです。ですから、偶像に供えた肉を食べることは悪くありません。しかし、それを悪いと信じている人がいるなら、悪いことは避けるべきですから、その人は食べてはいけません。

15 兄弟があなたの食べる物のことで心を痛めているのに、平気でいるとしたら、愛によって行動しているとは言えません。あなたの食べる物のことで人を滅ぼしてはなりません。その人のためにも、キリストは死なれたのです。

16 たとえ自分の行為は正しいとわかっていても、人の批判の的になるようなことをしてはなりません。

17 私たちクリスチャンにとって大切なのは、何を食べるか、何を飲むかではなく、義と平安と聖霊から来る喜びとに満ちあふれているかどうかだからです。

18 このようにキリストに仕えてこそ、神に喜ばれ、また、人々にも喜ばれるのです。

19 こうして、教会においては平和をはかり、互いに助け合って成長するように努めましょう。

20 食べ物の問題で、神の働きを台なしにしてはなりません。肉そのものは悪くなくても、それが他人のつまずきとなるなら、肉を食べるのはよくないということを忘れないでください。

21 肉だけに限りません。飲酒でも、そのほか何でも、兄弟のつまずきになるようなことをしないのは正しい行いです。

22 自分のしていることが神の目から見て潔白だと思っていても、その確信は心にしまっておきなさい。正しいと思うことをして、それが罪を犯すことにならない人こそ幸せです。

23 しかし、「自分がしようとしていることは悪いことだ」と思いつつしている人は、してはなりません。悪いと思うことをするのは、すべて罪です。

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ローマ人への手紙

ローマ人への手紙 15

1-2 何かをする場合、ただ自分の喜びのためにするのはよくありません。それは悪いことではないかと疑問や不安を持つ人を思いやり、そういう弱さを持つ人々の「重荷」を軽くしてあげなさい。そして、人の益になることをし、その人が主にあって成長できるよう支えましょう。

3 キリストも、ご自分を喜ばせようとはなさいませんでした。「彼が来られたのは、実に、敵対する者たちの侮辱を受けて苦しむためであった」と、詩篇の作者が言っているとおりです。

4 ずっと昔に書かれたこのことばは、私たちに忍耐を教え、励ますためのものです。また、神が死と罪の力とを打ち破ってくださる時を、私たちが待ち望むためのものです。

5 どうか、強い忍耐力と励ましを与える神が、あなたがたが一つ思いとなって暮らしていけるよう、助けてくださいますように。一人一人がキリストの模範にならって互いに接することができますように。

6 そうして初めて、私たちはみな、主イエス・キリストの父なる神をほめたたえ、声を合わせて賛美できるのです。

すべての人が神をたたえる

7 そういうわけですから、キリストがあなたがたを受け入れてくださったように、あなたがたも互いにあたたかく受け入れ合いなさい。そうすれば、神がほめたたえられるのです。

8 イエス・キリストが来られたのは、神がご自分の約束に対して誠実な方であることを示すため、また、ユダヤ人を助けるためであったことを思い出してください。

9 それはまた、外国人も救われて、自分たちに対する神のあわれみのゆえに神をほめたたえるためでもあったことを、思い出してください。次のように書かれているとおりです。

「私は外国人の中で、あなたを賛美し、

あなたの御名をほめ歌おう。」(詩篇18・49)

10 また、ほかの箇所にはこうあります。

「外国人よ。主の民であるユダヤ人と共に喜べ。」(申命32・43)

11 「外国人よ。主をほめたたえよ。

すべての人よ。主をほめたたえよ。」(詩篇117・1)

12 また、預言者イザヤはこう言っています。

「エッサイの家系に一人の世継ぎが生まれる。

その方は外国人を治める王となる。

彼らは、ただこの方だけに望みをかける。」(イザヤ11・10)

13 そこで、私はあなたがた外国人のために祈ります。どうか、希望を与えてくださる神があなたがたを幸せにし、平安で満たしてくださいますように。どうかあなたがたを、聖霊の力によって希望にあふれさせてくださいますように。

14 私の兄弟たちよ。あなたがたが知恵に満ち、善意にあふれていること、そして、これらを他の人々に教えることができるほどよくわきまえていることを、私は知っています。

15-16 それにもかかわらず、私が所々かなり大胆に強調して書いたのは、あなたがたにそのことを思い起こしてもらいたかったからです。私は神の恵みにより、あなたがた外国人のためにキリスト・イエスに仕える者であって、福音を伝え、かおり高い供え物として、あなたがたを神にささげる務めを果たしているのです。あなたがたは聖霊によって、きよい者、神に喜ばれる者とされています。

17 それで、キリスト・イエスが私を用いてなしてくださったことを、誇りに思っています。

18 私は、ただ外国人を神に導くために、キリストが私を役立ててくださったということだけを話します。他のことについて、何も言うつもりはありません。私は、ことばと活動、

19 および、私を通してなされた奇跡と御霊の力によって、外国人を神に導いてきました。このようにして私は、エルサレムからイルリコに至るまで、キリストの福音をくまなく伝えてきました。

20 すでに、だれかほかの人によって伝道がなされている所ではなく、むしろ、キリストの名をまだ一度も聞いたことがない人々の所で、福音を宣べ伝えたいと切に望みました。

21 イザヤが、「彼(キリスト)の名を一度も聞いたことのない人々が見て理解するようになる」(イザヤ52・15)と言っているとおりに働いてきたのです。

22 このような事情のもとで、私はこれまで、あなたがたの所に行けませんでした。

23 しかし、もうこちらでの働きも終わり、長いあいだ待ったかいがあって、とうとうそちらに行けそうです。

24 実は今、スペインでの伝道を計画しています。その途中、ローマに立ち寄るつもりです。そして、わずかな間でも、共に心の満たされた時を過ごしてから、あなたがたに送られて、旅を続けたいと願っています。

困った時には助け合う

25 しかし、その前に、エルサレムに行かなければなりません。そこにいるユダヤ人のクリスチャンに、献金を届けるためです。

26 ご存じのように、マケドニヤとアカヤのクリスチャンが、いま困難に会っているエルサレムのクリスチャンのために、募金することにしたからです。

27 彼らは、それを喜んでしてくれました。エルサレムのクリスチャンには大きな借りがあると思っているのです。どうしてかわかりますか。福音がエルサレムの教会から伝えられたからです。彼らはエルサレム教会から、福音というすばらしい霊の贈り物を受けました。そこで、いくらかでも物質的な援助をして恩返しができればと願っているのです。

28 それで私は、この献金を渡し終えてから、スペインに行く途中で、あなたがたを訪ねたいと思っています。

29 その時にはきっと、主からの大きな祝福を分かち合えるでしょう。

30 どうか、私の祈りの友になってください。主イエス・キリストのゆえに、また、聖霊によってあなたがたが私を愛する愛のゆえに、私の働きのため、共に精一杯祈ってください。

31 エルサレムにいる、クリスチャンでないユダヤ人から、私が守られるよう祈ってください。また、私の持って行くお金を、エルサレムの教会が喜んで受け取ってくれるようにも祈ってください。

32 そうすれば私は、神の御心により、喜びにあふれてあなたがたの所に行き、互いに励まし合うことができます。

33 どうか、平安を与えてくださる神が、あなたがた一同と共にいてくださいますように。アーメン。

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ローマ人への手紙

ローマ人への手紙 16

個人的なあいさつ

1 ケンクレヤの町出身の、愛する姉妹(信仰を同じくする女性)フィベが、そのうちあなたがたを訪れるでしょう。彼女は教会の執事として熱心に働いてきた人です。

2 どうか、主にある姉妹として、あたたかく歓迎してあげてください。できることは何でもして、助けてあげてください。この人はこれまで、私も含めて、多くの困っている人を助けてきてくれたのです。

3 私の同労者としてキリスト・イエスのために働いてきたプリスカとアクラによろしく伝えてください。

4 この夫婦は、いのちをかけて私を守ってくれました。感謝しているのは、私だけではありません。どの外国人教会でも、この二人には感謝しています。

5 また、礼拝のために二人の家の教会に集まっている人々にも、よろしく伝えてください。私の親しい友であるエパネトによろしく。この人は、アジヤで真っ先にクリスチャンになった人です。

6 骨身を惜しまず働き、助けてくれたマリヤにもよろしく。

7 それから、私の親類で、私と共に投獄されたこともあるアンドロニコとユニアスがそちらにいます。彼らは使徒たちにも尊敬されており、私よりも先にクリスチャンになった人たちです。どうぞ、この二人にもよろしく伝えてください。

8 神の子どもの一人として私が愛しているアムプリアトによろしく。

9 また、私の同労者ウルバノと、愛するスタキスとによろしく。

10 それに、アペレがいます。主によって認められているりっぱな人です。よろしく伝えてください。またアリストブロの家で働いている人たちによろしく。

11 私の同郷のヘロデオンによろしく。ナルキソの家で働いている人たちによろしく。

12 主のために働いているツルパナとツルポサによろしく。また、主のために大変な苦労をした愛するペルシスによろしく。

13 主がご自分のものとしてお選びになったルポスによろしく。また愛する彼の母上にもよろしく。彼女は、私にとっても母でした。

14 どうか、アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマス、いっしょにいる他の兄弟たちによろしく伝えてください。

15 フィロロゴ、ユリヤ、ネレオとその姉妹、オルンパ、および、いっしょにいるすべてのクリスチャンに、私の愛を伝えてください。

16 互いに親しみをこめてあいさつを交わしてください。こちらのすべての教会が、皆さんによろしくと言っています。

17 この手紙を終える前に、もう一つ言っておきたいことがあります。キリストについて今まで学んできたことに反することを教えて、分裂を引き起こし、人々の信仰をくつがえすような人たちから離れなさい。

18 そのような教師たちは、主イエスのために働いているのではなく、自分の利益を求めているのです。彼らは口が達者なので、純朴な人たちはしばしばだまされるのです。

19 しかし、あなたがたが忠実であり、また真実であることは、だれもが知っています。ほんとうにうれしいことです。私は、あなたがたがいつも、何が正しいかについては鋭敏で、一方、いかなる悪にもうとい者であってほしいと願っています。

20 平和の神はすぐにも、サタンをあなたがたの足の下に踏み砕いてくださいます。どうか、私たちの主イエス・キリストからの祝福が、あなたがたと共にありますように。

21 私の同労者テモテと、私の親類のルキオ、ヤソン、ソシパテロが、皆さんによろしくと言っています。

22 ここで、この手紙の代筆を務めた私テルテオも、主にあって皆さんにごあいさつ申し上げます。

23 ガイオも皆さんによろしくと言っています。私は今、彼の家で世話になっています。教会はそこで集会を開いているのです。市の収入役であるエラストと、クリスチャンの兄弟クワルトも、皆さんによろしくと言っています。

24 では、これで。私たちの主イエス・キリストの恵みが、あなたがた一同と共にありますように。アーメン。

25-27 私が語った福音にあるとおり、神はあなたがたを強め、不動のものとしてくださるお方です。この福音は、世の初めから秘密にされてきたものですが、今、預言者たちのことばどおり、また神の命じられたとおり、世界中の人がキリストに従うようになるために、至る所に伝えられています。ただ一人の知恵に満ちた神に、私たちの主イエス・キリストによって、栄光がとこしえまでありますように。アーメン。

パウロ

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