の紹介
本書は、神から離れて平安を見つけようとした人が、そこにはむなしさしかないことを悟るという光のない人生論を展開しながら、人生の疑問に対する唯一の解答を結論づけています。それは、「神を恐れ、その命令に従いなさい。これこそ人間の本分です」
12・13
というものでした。この積極的な考えが導き出されるために、神なしの生活がいかに不毛かを語っています。
の紹介
本書は、神から離れて平安を見つけようとした人が、そこにはむなしさしかないことを悟るという光のない人生論を展開しながら、人生の疑問に対する唯一の解答を結論づけています。それは、「神を恐れ、その命令に従いなさい。これこそ人間の本分です」
12・13
というものでした。この積極的な考えが導き出されるために、神なしの生活がいかに不毛かを語っています。
1 ダビデ王の子で、エルサレムの王であり、「伝道者」と呼ばれたソロモンの教え。
2 思うに、この世に価値のあるものなどない。
すべてがむなしい。
3-7 人はあくせく働いた報酬として、
何を手に入れるというのか。
一つの時代が去り、新しい時代が来るが、
少しも変わらない。
太陽は昇っては沈み、また昇ろうと、
急ぎ元の所に帰って行く。
風は南に吹き、北に吹き、あちこち向きを変えるが、
結局行き着く所はない。
川は海に注ぐが、
海は決してあふれることはない。
水は再び川に戻り、また海に流れて行く。
8-11 何もかも、くり返すばかりで、
あきあきする。
どれだけ見ていても満足できない。
どれだけ聞いても、
もうこれで良いということはない。
歴史はくり返すだけ。
ほんとうに新しいものなど何もない。
新しいように見えても、必ず前例があるか、すでに言い古されたものです。何か、「これは新しいものだ」と指摘できるものがあるでしょうか。それがずっと昔になかったと、どうしてわかるのですか。私たちは、先の時代にどんなことが起こったのか忘れてしまいます。そればかりか、のちの時代になれば、私たちが今していることを、だれも覚えていないのです。
12-15 伝道者である私はイスラエルの王で、エルサレムに住んでいました。私はこの世のあらゆることを理解しようと、全力を注ぎました。その結果、神が人間への分け前としてお与えになったものは、決して楽しいものでないことがわかりました。それはみな愚かに見え、風を追うようにむなしいものです。
間違ってしまったことは、もう正せない。
あったかもしれないものを考えてみたところで、
何の役に立とうか。
16-18 私は自分に言い聞かせました。「私はこれまでのエルサレムのどの王より、いろんな勉強もした。どの王より知恵や知識を得た。」私は賢くなろうと、一生懸命に努力しました。しかし、今ではそんな努力さえ、風をつかまえるようにむなしいことだとわかったのです。
賢くなればなるほど、悲しみも増える。
知識を増すことは、悩みを増す。
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1-2 それで私は、「愉快に生きよう。思う存分楽しむのだ」と思いました。ところが、こうした生き方も実にむなしいことがわかりました。一日中笑っているのは愚かなことです。それが何の得になるのでしょう。
3 いろいろ試してみてから、私は知恵を探求し続ける一方で、酒を飲んで元気になろうと思いました。次に、もう一度考えを変えて、愚かな者になりきることにしました。多くの人が経験する幸福を味わってみようと思ったのです。
4-6 今度は、大規模な事業に乗り出して、仕事からくる充実感を得ようとしました。邸宅を建て、ぶどう園、庭園、公園、それに果樹園まで造り、良い作物を実らせるために貯水池まで造ってみたのです。
7-8 次に、男女の奴隷を買いました。私の家で生まれた奴隷たちもいます。ほかに家畜の群れも飼ってみましたが、その数は以前のどの王よりも多かったのです。さらに、多くの州や国から、税金として金銀をかき集めました。また文化的な活動として、混声コーラス・グループやオーケストラを組織しました。そのうえ私には、大ぜいの美しいそばめがいたのです。
9 こうして、歴代のエルサレムの王もしなかったような、あらゆることをやってみました。両眼をしっかり見開いて、これらのものの価値を見極めようとしたのです。
10 欲しいものは何でも手に入れ、したい放題の楽しみをしてみました。つらい仕事にも大きな喜びがあることを知りました。この喜びこそ、実に、あらゆる労働に共通した報酬なのです。
11 しかし、してきたことを振り返ってみると、どれもこれも役に立たないことばかりで、風を追うようなものでした。これこそ価値があると言えるものなど、どこにもありませんでした。
12 そこで、知恵と無知の価値を比較してみることにしました。おそらくだれでも、同じ結論に達するでしょう。
13-14 それは、こういうことです。光が闇にまさっているように、知恵は無知よりはるかに価値があります。賢い人は先々を正しく判断しますが、愚かな人は先のことがわかりません。ところが私は、知恵のある人にも知恵の足りない人にも共通点があることに気づきました。
15 知恵の足りない人が死ぬように、いずれこの私も死ぬということです。それなら、知恵をつけたところで、いったい何の益があるというのでしょう。私は、知恵をつけることでさえむなしいものだと悟ったのです。
16 賢い人も愚かな人も死ぬのです。時がたてば、両者とも、すっかり忘れられてしまいます。
17 私はここまでわかると、生きているのがいやになりました。人生は不条理きわまりないからです。何もかもむなしく、風を追うようなものです。
18 一生懸命に築き上げたものが他者のものになると思うと、いやになってきます。
19 そればかりか、跡取り息子が愚か者か賢い者か、だれにわかるでしょう。それでも、私の財産はすべて、息子のものになるのです。なんと気分がめいることではありませんか。
20-23 こうして、満足感を与えてくれると考えていた労苦も愚かしく思われ、見切りをつけました。生涯をかけて知恵や知識や技術を追求しても、せっかく手に入れたものを全部、何もしなかった者に譲るはめになるのです。そんな者が、私が努力して得たものを受け継ぐのです。むなしいだけでなく、不公平です。どれほど必死に働いても何の役にも立ちません。あるものといえば、悲しみと悩みに押しつぶされそうな、心の休まらない日々と眠れない夜です。全くむなしい話ではありませんか。
24-26 そこで私は、食べたり飲んだりすることと、労働を楽しむこと以外に生きがいはない、と判断しました。しかも、このような楽しみさえ神の御手から来るとわかったのです。というのも、神の世話にならなければ、だれも食べたり楽しんだりすることはできないからです。神は、お心にかなった者に知恵、知識、喜びを与えます。ところが神は、罪人が金持ちになると、その財産を取り上げ、お心にかなった者に分け与えるのです。ここにも、風を追うようなむなしさの一例があります。
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1 何事にも定まった時があります。
2 生まれる時、死ぬ時、植える時、収穫の時、
3 殺す時、病気が治る時、壊す時、やり直す時、
4 泣く時、笑う時、悲しむ時、踊る時、
5 石をばらまく時、石をかき集める時、
抱きしめる時、抱きしめない時、
6 何かを見つける時、物を失う時、
大切にしまっておく時、遠くに投げ捨てる時、
7 引き裂く時、修理する時、黙っている時、口を開く時、
8 愛する時、憎む時、戦う時、和解する時。
9 一生懸命働いたところで、何の益になるでしょう。
10 私はこのことを、神が人間に与えたさまざまの仕事と関連して考えてみました。
11 あらゆることには、ふさわしい時というものがあります。また神は、人間の心に永遠を思う思いを与えました。しかし、人は神の働きの全体を見ることができないのです。
12 私の結論はこうです。第一に、できるだけ幸福に過ごし、人生を楽しむ以上にすばらしいことはないということです。
13 第二に、人は食べたり飲んだりして自分の労苦の実を楽しみ、味わうべきだということです。それは神からの贈り物だからです。
14 続いて、次のことも知りました。神のすることは一点の非の打ちどころもなく、何一つ付け加えたり、取り除いたりすることはできません。神はこのことを通して、人が全能の神を恐れるようにと願っているのです。
15 今あるものは、ずっと昔にもあったことです。これから起こることも、以前に起こったことです。神は、はるか昔にあって今は跡形もなくなっているものを再び生じさせているのです。
16 私はそれだけでなく、世界中で正義がすたれて犯罪が増し、法廷さえ金次第になっていることを知りました。
17 私は心の中で言いました。「やがて、神が人間のしたことを、良いことも悪いことも全部さばく時がくる。」
18 私はまた、神が罪深い今の世界をそのままにしておくのは、人間を試すためであり、人間が獣と変わらないことを悟らせるためであることに気づきました。
19 人間も動物も、同じ空気を吸い、同じように死んでいきます。人間が獣より優れている点などないのです。なんとむなしいことでしょう。
20 どちらも同じ所へ行くのです。土から出て土に帰るのです。
21 こんなことを言うのも、人の霊は天に上り、動物の霊は地中深く降りて行くことを、誰ひとり証明できないからです。
22 だからこそ、自分の仕事に生きがいを見いだす以上に幸福なことはないと判断したのです。これが人間が地上にいる理由です。未来に起こることを楽しむことはできないのですから、今のうちに人生を十分に楽しむことです。
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1 次に私は、世界中で行われているしいたげと悲しみを見ました。しいたげられている人が涙を流しても、だれも手を貸そうとしません。一方で、しいたげる者たちはしっかりと手を組んでいます。
2 私は、死んだ人のほうが生きている人よりましだと思いました。
3 一番幸福なのは、生まれて来なかった人で、地上の悪を見たことのない人です。
4 次に私は、物事を成功させる原動力がねたみであることを知りました。これもまたむなしいことで、風を追いかけるようなものです。
5-6 愚か者は、いっこうに働こうとせず、
餓死寸前のところをさまよう。
しかし結局は、
むなしいの一語に尽きるような労働を続けるより、
のんびりその日暮らしをするほうがましだ。
7 愚かしく思えることが、もう一つあります。
8 息子も兄弟もいない一人暮らしの人が、さらに金持ちになろうと目の色を変えている場合です。この人は、だれに全財産を残そうというのでしょう。全く割の合わない、憂うつな話です。
9 二人が手を組めば、一人の人の倍以上のことができます。結果から見れば、二人のほうがずっといいのです。
10 二人なら片方が倒れても、もう一方が起こせます。ところが、一人のときに倒れてしまうと、だれにも起こしてもらえず、何とも惨めです。
11 また、寒い夜、二人が一枚の毛布でもかぶって寝れば、お互いの体温で暖かくなります。しかし一人では、どうにも暖まることができません。
12 一人では、攻撃を受けると負けてしまいます。しかし二人なら、背中合わせになって戦うことができ、相手に勝つことができます。三人なら、なおいいのです。三つ撚りの糸は、めったなことでは切れないからです。
13 貧しくても賢い若者は、どんな忠告も受けつけない、年取った愚かな王よりましです。
14 そのような若者は、牢獄から出て立身出世することでしょう。それどころか、生まれが卑しくても、王にさえなれるかもしれません。
15 こんな若者なら、たとい王位を奪うことになっても、人々は喜んで協力するに違いありません。
16 こうして彼は、幾百万もの人の指導者となり、非常に有名になるかもしれません。ところが次の世代の人は、彼を追放してしまいます。これもまたむなしいことで、風を追いかけるようなものです。
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1-3 神殿に入るときは、耳をすまして、口は堅くつぐみなさい。神に軽はずみな約束をするのは罪です。それがわからないほど愚かになってはいけません。神は天におられ、私たちは地にいるのですから、ことば数はできるだけ少なくすべきです。
仕事が多いと悪夢にうなされ、
口数が多いと愚かになる。
4 神に、何かをすると誓いを立てたときは、すぐに実行しなさい。神は、愚かな人間を喜ぶことがないからです。神との約束は、どんなことがあっても果たしなさい。
5 何かをすると言いながらしないより、初めから口にしないほうがずっと良いのです。
6-7 約束を果たさないなら、口で罪を犯すことになります。神の使者に、「誓いを立てたのは間違いでした」などと弁解してはいけません。それを聞いて神は腹を立て、あなたの繁栄を奪い去るかもしれないからです。
夢ばかり見ていて実行しないのは愚かで、
むなしいことばが多いと、
滅びを招きます。
そんなことをしないで、神を恐れなさい。
8 貧しい人が金持ちにいじめられ、国中で正義が踏みにじられているのを見ても、別に驚くにあたりません。どの役人にも上役がいて、その上にさらに高官がいるからです。それが国の政治の仕組みなのです。
9 その全体の上に王が立てられています。その王が国のために献身する王なら、どんなにすばらしいことでしょう。そうした人物だけが国を混乱から救えるのです。
10 金銭を愛する者は、決してこれで満足だということがありません。金さえあれば幸せだという考えは、なんと愚かなことでしょう。
11 収入が多くなれば、それに応じて支出も多くなります。金銭にどんな利益があるというのでしょう。彼らは金銭が指の間からこぼれ落ちていくのを眺めていることしかできないのです。
12 汗水流して働く人は、満腹していようが腹をすかしていようが、ぐっすり眠ることができます。しかし、金満家は不安につきまとわれ、不眠に悩まされます。
13-14 私はまた、ここかしこに深刻な問題があるのに気づきました。せっかくの貯金が危険な投資に使われ、子どもに残す財産もなくなってしまうという現実です。
15 投機に手を出す者は、すぐさま無一文の振り出しに戻ります。
16 これは言ったように、とても深刻な問題です。どんなに働いても、ざるで水をくむようなものであり、風を追うようなものです。せっかく手に入れたものが、全部なくなってしまうのです。
17 残る生涯を暗い気持ちで、失意と挫折感、怒りを持ちながら生きることになります。
18 でも、良いことが少なくとも一つあります。生きている限りは、おいしい物を食べ、上等のワインを飲み、置かれた立場を受け入れ、与えられた仕事がどのようなものであれ、それを楽しむことです。
19-20 主のおかげで財産家になり、健康にも恵まれているとしたら、それこそ申し分のないことです。仕事を楽しみ、与えられた人生に満足することこそ、神からの贈り物です。こういう人は、神から喜びを与えられているのですから、悲しい思いで過去を振り返る必要などありません。
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1-2 至るところに、悲しい不幸が見られます。ある人は神から巨万の富と名誉を与えられ、欲しいものは何でも手に入る身分でありながら、人生を楽しむだけの健康に恵まれていません。そのため早死にして、全財産を他人の手に渡すことになってしまいます。これは実に悲しむべきことで、やりきれない思いがします。
3 一方でもし、百人の息子と娘に恵まれ、長寿を得ながら、わずかばかりの遺産もなく、満足な葬式さえ出せなかったとしたら、この人は生まれて来なかったほうがよかったかもしれません。
4 たとえその誕生が喜ばれず、闇から闇に葬られ、名前さえつけてもらえず、
5 その存在さえ知られないとしても、死産の子のほうがみじめな老人になるよりずっとましです。
6 何千年生きたとしても、満足することがなければ、生きていることに何の価値があるのでしょう。
7-8 知恵ある者も愚か者も、
食べ物を得るために人生を費やすが、
もうこれで十分だということはない。
そういう意味では、どちらも同じです。しかし、貧しくても知恵ある人は、ずっと良い生活をしています。
9 手の中の一羽の鳥は、やぶの中の二羽より価値があります。あこがれているものを夢見ているだけであればむなしいことで、風を追いかけるようなものです。
10 あらゆるものには定めがあります。それぞれの将来は、ずっと以前からわかっているのです。だから、自分の運命について神と議論しても無駄です。
11 しゃべればしゃべるだけ、口にすることばの意味が薄れてきます。だから、全然しゃべらないほうがましなのです。
12 短くむなしい人生を、どのように過ごすのが最善なのかはだれにもわかりません。死んだ先のことまで考えると、何が最善かを知ることはできません。将来のことがわかる人は一人もいないのです。
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1 良い評判を得ることは、
最高級の香水より値打ちがあり、
死ぬ日は生まれた日より大切である。
2 宴会に顔を出すより、
葬式に列席するほうがよい。
やがて死ぬわけだから、
生きているうちに死について考えるのは良いことだ。
3 悲しみは笑いにまさっている。
悲しみは、私たちの心から
不純物を取り除く効果があるからだ。
4 知恵ある者は死についてじっくり考えるが、
愚か者はどうしたら今
愉快に過ごせるかだけを考える。
5 愚か者からちやほやされるより、
知恵ある者に痛烈な批評を受けるほうが良い。
6 愚か者のお世辞は、火にくべた紙切れのように、
何の役にも立たない。
そんなものに心を動かすのは、
なんとむなしいことか。
7 知恵ある者も、わいろによって愚かな者になる。
わいろは人の判断力を麻痺させるからだ。
8 終わりは初めにまさっている。
忍耐は高慢にまさっている。
9 短気を起こしてはならない。
短気は愚か者の特徴だからだ。
10 過ぎ去った昔の栄光に未練を残してはいけない。
ほんとうに昔が今より良かったか、わからないからだ。
11 知恵ある者になることは、金持ちになるのと同じくらい
いや、それ以上の価値がある。
12 知恵からでも金銭からでも、
利益を上げることができる。
しかし賢くなることのほうが、
多くの利点がある。
13 神のすることに目を留め、それに従いなさい。神が決めたことを変えることなどできません。
14 順境のときには、できるだけ楽しみなさい。逆境が訪れたら、神は与えると同時に取り上げる方だと知りなさい。こうしてすべての人が、この世ではあらゆるものがむなしいと悟るのです。
15-17 私は、このむなしい人生のすべてを見てきました。正しい人が若死にし、悪人がたいそう長生きすることもあるのです。だから、正しすぎたり、知恵がありすぎたりして、自滅してはいけません。かといって、悪人になりすぎるのも、愚か者になるのも考えものです。自分の時が来る前に死んではいけません。
18 任せられた仕事は、どんなことがあっても手放してはいけません。神を敬っているなら、必ず神からの祝福を期待できるのです。
19 知恵ある者は、町の十人の有力者の力を合わせたより力があります。
20 この世界には、いつも品行方正で一度も罪を犯さない人など一人もいません。
21-22 人の言うことをすべて気にしてはいけません。時として使用人からのろわれるかもしれません。あなたも、何度も人をのろったはずです。
23 私は知恵ある者になろうと、できるだけのことをしてみました。「知恵ある者になりたい」と人前で言ってみましたが、知恵ある者になることはできませんでした。
24 知恵は遠いかなたにあって、探し出すのはきわめて困難です。
25 私は知恵と道理を見つけようと、あらゆる所を探しました。また、悪行が愚かで、愚かさがどれほどばかげたことであるか悟ろうとしました。
26 悪い女は死よりも大きな苦痛を与えます。神に喜ばれる者は恵みによって彼女から逃れますが、罪を犯す者は彼女のしかけた罠にかかってしまいます。
27-28 そこで、「私の結論はこうだ」と伝道者は言います。私はあらゆる方面から調べてみて、次のことを確信するようになりました。私が話を聞いた男の千人に一人は、確かに知恵がある人物です。しかし女には、知恵のある者は一人もいませんでした。
29 さらに、次のことも知りました。神は人を正しい者に造ったのに、人々は堕落の道に向かって行ったということです。
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1 知恵を身につけて、物事を正しく判断し、
さらに分析し説明できる能力があったなら、
どんなにすばらしいことか。
知恵は人の顔を輝かし、その顔を和らげる。
2-3 誓ったとおりに王に従いなさい。どんないやなことであっても、誓いを果たすことから逃げようとしてはなりません。王は不従順な者に罰を加えるからです。
4 王のことばには権威があるので、それに逆らったり疑問を差しはさんだりできる者はいません。
5 従順な者は罰せられることがない。
知恵ある者は、
自分のことばを実行する時と方法とを知っている。
6-7 そうです。困難が重くのしかかっていても、すべてのことに時と方法があります。人は予期できないことが身に降りかかるのを、避けることはできません。
8 だれも、たましいが体から離れるのをとどめることはできません。自分の死ぬ日をかってに決めることもできません。この暗黒の戦いを免れることは絶対にできないのです。その場に臨んだら、どんなにじたばたしても始まりません。
9-10 私は、人々が支配したりされたりして互いに傷つけ合っていることを考えてみました。悪者でも葬式をすませ、墓地から帰って来るときには、友人たちは故人のした悪事をすっかり忘れています。それどころか、その男は生前に多くの犯罪を重ねた当の町で、ほめそやされるのです。なんとおかしな話でしょう。
11 神はすぐに罪人を罰しないので、人々は悪いことをしても別に怖くないと思っているのです。
12 百度も罪を犯して、なお生き長らえている人があるとしても、神を敬っている人のほうが幸せです。
13 悪者どもは幸福な長い人生を送ることもできません。彼らは神を敬わないので、その一生は影のように早く過ぎ去ります。
14 この地上では、奇妙なことが起こっています。正しい人が悪人のような待遇を受け、逆に、悪人が正しい人のような待遇を受けているのです。これもまた、割り切れない思いにさせられます。
15 そこで私は、おもしろおかしく一生を送ろうと決心しました。この世では、食べて、飲んで、愉快にやること以外に良いことはないと考えたのです。この幸福は、神が世界中の人に与えているつらい仕事に添えられてくるものです。
16-17 私は知恵を尋ね求めている間に、地上での、休むことのない人の活動を観察してみましたが、すべてのことを見抜くのは神だけでした。自分は何でも知っているとうそぶく、知恵のかたまりのような人でも、実はわずかのことさえ知らないのです。
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1 私は注意深く、次のことも探求してみました。神を敬う人も知恵のある人も神の計画の中にありますが、神がその人のことを喜んでいるかどうかは、だれにもわかりません。確かなことは何も言えないのです。
2-3 善人でも悪人でも、信仰がある人もない人も、神をののしる者も神を敬う者も、どんな人も、同じ摂理で動かされています。すべての人に同じ結末が来るとは、なんと不公平でしょう。だからこそ、人は正しく生きようとはせず、常軌を逸した道を選ぶのです。待ちかまえているのは死だけですから、希望などありません。
4 生きている人にだけ、希望があります。「死んだライオンより、生きている犬のほうがましだ」と言われるとおりです。
5 生きている者には、少なくとも自分は死ぬという自覚があります。ところが、死んだ者は何一つわからないのです。記憶さえありません。
6 愛したことも、ねたみ憎んだことも、とうの昔に消えてなくなり、もはやこの地上には一つも分け前がないのです。
7 さあ、食べて、飲んで、愉快に生きればよい。
神はそんなことで動じることはない。
8 かぐわしい香水をかけ、上等の服を着なさい。
9 短い一生の間、愛する女性と幸福に過ごしなさい。神が下さった妻は、地上での労苦に対する最大の報酬だからです。
10 何をするにしても、りっぱに仕上げなさい。あなたが行くことになる死後の世界では、仕事も計画も知識も知恵もないからです。
11 私は再び今の世を見て、足の速い人が必ずしも競走で勝つとは限らず、強い人が必ずしも戦いに勝つわけでもなく、知恵ある人が貧しい暮らしをし、実力があるのに認められない人がいることを知りました。あらゆることが偶然の組み合わせであり、すべては時と機会とによって決まるのです。
12 いつ運の悪さに見舞われるかを知っている人はいません。人はみな、網にかかった魚、罠にかかった鳥のようです。
13 人の世の出来事を見てきた私に、もう一つ深く印象に残っていることがあります。
14 人口の少ない町があり、そこに強い王が大軍を率いて攻めて来て、包囲した時のことです。
15 この町に、知恵はありながら非常に貧しい人がいました。この人は町を救う方法を知っており、力を尽くして町を攻撃から守りました。ところが、あとになると、誰ひとり彼のことを思い出さないのです。
16 このことで、知恵は力以上のものだが、その人が貧しければさげすまれ、彼が何を言っても聞かないことがよくわかりました。
17 しかし、そうは言うものの、
知恵ある人の穏やかなことばは、
愚かな王のどなり散らすことばより、
人々に聞かれる。
18 知恵は武器にまさるが、
たった一度のミスが物事全部をだめにする。
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