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歴代誌Ⅱ

歴代誌Ⅱ 30

過越の祭り

1 ヒゼキヤ王は、全イスラエルとユダ、エフライム、マナセに手紙を送り、エルサレムの神殿に来て、年ごとの過越の祭り(パン種を入れないパンを食べる、ユダヤ人の三大祭の一つ。出エジプトを記念して守られるようになった)を祝うよう呼びかけました。

2-3 王と王を支える人々、それにエルサレムの全会衆は、今回に限り、ひと月遅れの第二の月に祭りを祝うことを決めました。一月では、身をきよめた祭司がまだ足りず、また、通知する時間も足りなかったからです。

4 王とその助言者たちはそれで完全に意見が一致したので、

5 ダンからベエル・シェバまでイスラエル全土に過越の祭りを祝う布告を出し、だれであろうと招きました。決まりどおりに過越の祭りを祝う者が多くはなかったからです。

6 王の手紙にはこう書かれていました。「アブラハム、イサク、イスラエル(ヤコブ)の神、主に立ち返りなさい。そうすれば主は、アッシリヤの王たちの支配から逃れた私たちのところへ帰って来てくださる。

7 父祖の神、主に罪を犯して滅びを招いた、あなたがたの父や兄弟のようになってはいけない。

8 彼らのように強情を張ってはいけない。自分を主にささげ、主が永久にきよめた神殿に来て、あなたがたの神、主を礼拝しなさい。そうすれば、主の燃える怒りも去るに違いない。

9 あなたがたが主に立ち返るなら、捕虜となった兄弟や子どもたちも、連れて行かれた先であわれみを受け、再びこの地に戻ることができるだろう。主は思いやりにあふれた方だから、もしあなたがたが立ち返るなら、顔をそむけたままでおられることは決してない。」

10 こうして王の布告を伝える使者は、エフライムとマナセ、さらにゼブルンの地に至るまで、町から町へと回りましたが、ほとんどどこでも、冷笑とさげすみで迎えられました。

11 しかし、アシェル、マナセ、ゼブルンの部族のある者たちは主に心を向け、エルサレムへ上って来ました。

12 ユダでは、王と高官たちに命じられたように、主の示すことに従いたいという強い願いが、全国民のうちに起こりました。主がそのような願いを起こさせたのです。

13 第二の月になると、人々は過越の祭りを祝うために続々とエルサレムに集まり、おびただしい群衆にふくれ上がりました。

14 彼らはエルサレムにある異教の祭壇と香の祭壇を取り壊し、その残骸をキデロン川に捨てました。

15 そして、第二の月の十四日に過越の子羊をほふりました。祭司とレビ人は、自分たちが積極的でなかったことを恥じて身をきよめ、焼き尽くすいけにえを神殿に運びました。

16 それから、神の人モーセの律法で決められたとおり、そのおのおのの部署に就きました。祭司はレビ人から受け取った血を注ぎました。

17-19 エフライム、マナセ、イッサカル、ゼブルンから来た人々の多くはきよめの儀式を受けていなかったので、汚れたままでした。それでレビ人は、彼らのために過越の子羊をほふり、彼らをきよめました。それからヒゼキヤ王が彼らのために祈ったので、規則に反してはいたものの、彼らは過越のいけにえを食べることが許されたのです。王は祈りました。「恵み深い主よ。たとえ正しい手順できよめられていない者でも、父祖の神、主に従う決心をした者の罪をお赦しください。」

20 主は王の祈りを聞き、彼らを滅ぼすようなことはしませんでした。

21 こうしてイスラエルの民は、七日間、エルサレムで過越の祭りを大きな喜びのうちに祝いました。その間、レビ人と祭司は毎日、シンバルなどに合わせて主をほめたたえました。

22 ヒゼキヤ王は、すぐれた音楽をもって仕えたレビ人に、感謝のことばを述べました。祝いは七日続き、和解のいけにえがささげられ、民は彼らの父祖の神、主に罪を告白しました。

23 興奮が高まる中で、さらに七日間祝いを続けることが、全会一致で決められました。

24 王は民にいけにえ用の雄の子牛千頭と羊七千頭を贈り、高官たちも雄の子牛千頭と羊一万頭を寄贈しました。多くの祭司たちは進み出て、身をきよめました。

25 ユダの民は、祭司やレビ人、寄留の外国人やイスラエルから来た人々と喜びを分かち合いました。

26 ダビデの子ソロモン王の時代からこのかた、エルサレムでこのように盛大に祭りが祝われたことはありませんでした。

27 祭司とレビ人は立ち上がって民を祝福しました。彼らの祈りは、天の聖所の主に聞き届けられました。

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歴代誌Ⅱ

歴代誌Ⅱ 31

ヒゼキヤの改革

1 そののち、偶像礼拝打破の大がかりな運動が始まりました。過越の祭りを祝うためにエルサレムに集まった人々は、ユダ、ベニヤミン、エフライム、マナセの町々へ行き、偶像の祭壇、石の柱、恥ずべき像、その他の異教の施設を壊しました。そのあと、北の諸部族から祭りに来ていた人々は、それぞれの家へ帰って行きました。

2 ヒゼキヤは、祭司とレビ人の組分けを決め、それぞれの奉仕に応じ、組ごとに、焼き尽くすいけにえと和解のいけにえとをささげさせ、感謝し、賛美しながら奉仕に当たらせました。

3 またヒゼキヤは、律法に定められているとおり、朝ごと夕ごとにささげる焼き尽くすいけにえと、週ごとの安息日、月ごとの新月の祭り、年ごとの例祭にささげる焼き尽くすいけにえのために、自分の分は自身の私財から出しました。

4 さらに王は、エルサレムの住民に、祭司とレビ人のところへ十分の一のささげ物を持って来るよう命じました。祭司とレビ人がほかの仕事に就く必要がなく、律法で命じられているように、その務めに専念できるようにするためでした。

5-6 人々はすぐにその命令に応じ、作物や穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油、金など、すべての収穫や収入の初物をたくさん持って来ました。山のように積まれたそれらは、律法によって神のものと定められた、自分が得たものの十分の一でした。北の諸部族の地方からユダに移って来た人も、エルサレムの近くに住む人も、牛や羊の十分の一と、彼らの神、主にささげられたものの十分の一を持って来て積み上げました。

7-8 これらのささげ物が最初にエルサレムに到着したのは三月で、積み上げが完了したのは七月でした。王と高官たちは、ささげ物の巨大な山を見た時、どれほど主をほめたたえ、民を祝福したことでしょう。

9 「この山のようなささげ物は、どこから与えられたのか。」王は祭司とレビ人に尋ねました。

10 ツァドクの家の大祭司アザルヤが答えました。「みな十分の一のささげ物です。私たちはもう何週間も、ここから十分に頂いています。それでも、これだけ残っています。主がご自分の民を祝福してくださったからです。」

11 ヒゼキヤ王が神殿に倉庫を用意することにしたので、

12-13 ささげ物はすべて神殿に運び入れられました。運搬の責任者はレビ人カナヌヤで、兄弟シムイと次の人々が補佐しました。エヒエル、アザズヤ、ナハテ、アサエル、エリモテ、エホザバデ、エリエル、イスマクヤ、マハテ、ベナヤ。以上は、王と大祭司アザルヤに任命された人々です。

14-15 東の門の門衛であったレビ人イムナの子コレは、ささげ物を祭司に分配する責任者になりました。彼を忠実に補佐したのがエデン、ミヌヤミン、ヨシュア、シェマヤ、アマルヤ、シェカヌヤで、彼らは、それぞれの町に住む祭司の家に、年齢の別なく等しく分配しました。

16 ただし、神殿の務めに就いている祭司とその家族には、神殿から直接に支給されました。彼らはこの分配の対象ではなかったのです。

17-18 祭司は氏族ごとに、二十歳以上のレビ人も各自の奉仕の組ごとに、系図に載せられていました。規定に従って割り当てられた食糧が、系図に載せられた祭司の全家族に分配されました。彼らは時間と能力をすべて神殿の奉仕にあてていたので、ほかの収入源が全くなかったのです。

19 祭司が一人ずつ、それぞれの町の祭司全員と、系図に載せられているレビ人全員とに食糧を配る責任者に立てられました。

20 このようにしてヒゼキヤ王は、主の前に正しく公平に、ユダ全国にささげ物を分配しました。

21 王は、神殿に仕えることでも、律法を守って正しく生きることでも、心を尽くして励み、それを遂行しました。

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歴代誌Ⅱ

歴代誌Ⅱ 32

セナケリブの攻撃と脅迫

1 ヒゼキヤ王のそのような良い働きがあってのち、アッシリヤの王セナケリブがユダに攻め込んで城壁のある町々を包囲し、貢ぎ物を納めさせようとしました。

2 エルサレムを攻撃しようとするセナケリブの意図がはっきりわかった時、

3 ヒゼキヤは王子や高官たちを集めて作戦会議を開き、町の外にある泉をふさぐことにしました。

4 そこで彼らは、大作業チームをつくり、すべての泉とともに、野を流れる川までもせき止め、「アッシリヤの王に、豊富な水を見つけさせてたまるか」と言いました。

5 王はさらに防衛体制を強化するため、城壁のくずれていた箇所を修復したうえで、外側に第二の城壁を築きました。また、ダビデの町にミロの要塞を築き、大量の武器や盾を作りました。

6 そして、兵を補充し、隊長を任命して町の門の広場に召集し、彼らをこう激励したのです。

7 「強く、勇敢でありなさい。アッシリヤの王とその軍勢を恐れてはならない。彼らよりもはるかに偉大な方がわれわれと共におられるのだ!

8 アッシリヤの王の率いる大軍は、ただの人間の集まりにすぎない。わが軍には、われわれのために戦ってくださる神、主がついておられるのだ!」そのことばによって、兵士たちは奮い立ちました。

9 アッシリヤの王セナケリブは、まだラキシュの町を包囲している最中でしたが、ヒゼキヤ王とエルサレムに使者を遣わし、次のように言わせました。

10 「アッシリヤの王セナケリブは、こう言っておられる。『おまえたちは、わが軍のエルサレム包囲を免れると思っているのか。

11 ヒゼキヤは、おまえたちを城壁の中で死なせようとしているのだ。彼は、神がアッシリヤ王の手から救い出してくださるとうそぶいているが、おまえたちは飢えと渇きで死ぬに決まっている。

12 そもそも、すべての偶像を壊し、ユダとエルサレムの人々に、神殿にある祭壇の上でだけ香をたけと命じた張本人はヒゼキヤである。

13 いいか、私をはじめ歴代のアッシリヤの王が、いったん攻撃しようとした国を征服しなかったことは一度もない。征服された国の神々は、その国を救えなかったのだ!

14 いったい、どの神がどこで、われわれの攻撃を阻むことができたか。そんな例があったら、その神の名を挙げてみよ。それでも、おまえたちの神をあてにする気か。

15 ヒゼキヤにだまされるな。やつを信じるな。もう一度、はっきり言おう。どの国の神も、アッシリヤの王の手から国民を救えなかったのだ。おまえたちの神も例外ではない。』」

16 こう言うと使者は、主とそのしもべヒゼキヤをあざ笑い、さんざん悪態をつきました。

17 セナケリブはまた、次のような手紙を送ってイスラエルの神、主をあざけりました。「今までどの国の神々も、私の攻撃から自分の民を守ることができなかった。ヒゼキヤの神も同じである。」

18 手紙を持って来た使者たちは、町の城壁の上にいたユダの人々に、ユダのことば(ヘブル語)で呼びかけました。彼らをおびえさせ、戦意を喪失させようとしたのです。

19 彼らはエルサレムの神を、人の手で造った偶像にすぎない異教の神々の一つであるかのように語りました。

20 そこでヒゼキヤ王と、アモツの子の預言者イザヤは、天の神に祈り叫びました。

21 すると、主は一人の御使いを遣わして、すべての将校、将軍とともにアッシリヤ軍を全滅させたのです。セナケリブは面目をつぶされ、すごすごと国に引き揚げていきました。そのうえ、自分の国で神の宮に来たところを、実の息子たちに殺害されてしまったのです。

22 こうして主は、ヒゼキヤ王とエルサレムの人々とを救い出し、彼の全領土には平和が訪れました。

23 それ以来、ヒゼキヤ王は近隣の国々から大きな尊敬を集めるようになり、王への高価な贈り物とともに、主への多くのささげ物がエルサレムに送り届けられました。

ヒゼキヤの罪、繁栄、死

24 そのころ、王は重い病気にかかりましたが、彼が主に祈った時、奇跡的に治りました。

25 ところが、彼は思い上がって、心からの感謝と賛美を神にささげませんでした。たちまち神の怒りが、王とユダ、エルサレムに下りました。

26 そこで、王とエルサレムの住民は高慢の罪を悔い改め謙遜になったので、主の憤りは去り、ヒゼキヤの在世中、二度と主の怒りは臨みませんでした。

27 こうして、ヒゼキヤ王は非常に富み、さらに多くの尊敬を受けるようになりました。王は宝物倉を建て、金、銀、宝石、香油、盾、金の鉢などを納め、

28-29 食糧貯蔵庫も数多く造り、穀物、新しいぶどう酒、オリーブ油を蓄えました。また、牛や羊、やぎなどの群れのために、小屋を幾つも建てました。神からばく大な富を与えられ、多くの町も手に入れました。

30 さらに、ギホンの上の泉をせき止めて水道を敷き、その水を、エルサレムにあるダビデの町の西側にまで引きました。彼のなしたことは、みなうまくいきました。

31 ヒゼキヤ王が奇跡的に治ったことを知ろうとバビロンから使節が遣わされて来た時、神は彼のするままにしておきました。彼がどのように振る舞うかを試すためでした。

32 ヒゼキヤ王のその他の業績、特に王が行ったすべての良いことは、アモツの子の預言者イザヤが書いた『イザヤの預言』と『ユダとイスラエル諸王の年代記』に記されています。

33 ヒゼキヤ王は死んで、丘の中腹にある王室墓地に葬られました。ユダとエルサレムのすべての人々は、王が死んだ時、心から王をたたえました。そして、その子マナセが新しく王となりました。

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歴代誌Ⅱ

歴代誌Ⅱ 33

ユダの王マナセ

1 マナセが王となったのは十二歳の時で、五十五年間エルサレムで治めました。

2 ただし、それは主の目に悪とされることでした。イスラエルの民がこの地に入った時、主が滅ぼした異教の国々の偶像を求め、それを民に拝ませるようにしむけたのです。

3 彼は、父ヒゼキヤ王が取り壊した異教の神バアルの祭壇を築き直し、恥ずべき偶像を造り、日や月や星を拝みました。

4-5 事もあろうに、主を礼拝するはずの神殿の庭にまで異教の祭壇を築き、日や月や星を礼拝したのです。

6 また、彼らはベン・ヒノムの谷で、わが子をいけにえとしてささげました。さらに、霊媒師や占い師、魔術師などに伺いを立て、ありとあらゆる悪を行って、主の激しい怒りを引き起こしました。

7 よりによって、神の神殿に偶像を置いたのですから。神はかつて、神殿について、ダビデとその子ソロモンに語りました。「わたしはこの神殿と、イスラエル全土からわたしが選んだエルサレムでほめたたえられる。

8 もしあなたがたが、わたしがモーセによって与えたすべての律法と定めに従うなら、あなたがたの先祖に与えたこの地から二度と追い出すようなことはしない。」

9 しかし、マナセはユダとエルサレムの人々をそそのかして、イスラエルの民がこの地に入った時に主が滅ぼした民よりももっと悪いことを行わせたのです。

10 王も民も、主の警告をまったく聞こうとしませんでした。

11 そこで神はアッシリヤ軍を出動させ、ユダに攻め込ませました。アッシリヤ軍はマナセを鉤で引っかけて捕らえ、青銅の足かせにつないで車に乗せ、バビロンへ引いて行きました。

12 その時になって王はようやく本心に立ち返り、へりくだって神に助けを求めました。

13 神はその願いを聞き入れ、彼の求めに答えて、マナセをエルサレムの自分の王国に戻しました。こうしてマナセは、主こそ神であることを知ったのです。

14 こののち、マナセ王はダビデの町の西の外側に城壁を築き直しました。その城壁は、キデロンの谷にあるギホンの泉の西側から魚の門にまで達し、ひときわ高く築き上げられた「とりでの丘」を取り巻いていました。また、ユダで城壁のある町にはすべて軍の司令官を配置しました。

15 さらに、外国の神々と偶像を神殿から取り除き、神殿が建っている山の上と、エルサレムに築いたすべての祭壇を取り壊し、町の外へ投げ捨てました。

16 それから、主の祭壇を築き直し、そのうえで和解のいけにえと感謝のいけにえをささげ、ユダの民に、イスラエルの神、主だけを礼拝するよう命じました。

17 それでもなお、民は高台の祭壇にいけにえをささげましたが、それは主に供えられたものでした。

18 マナセ王のその他の業績、王が神にささげた祈り、預言者たちを通しての神の答えについては、『イスラエル諸王の年代記』に記されています。

19 王の祈りと、それが神に聞き届けられたこと、および悔い改める前に犯した罪や失敗についての報告は、預言者たちの言行録に包み隠さず記されています。その中には、王が偶像の宮を築いたり、恥ずべき像や刻んだ像を置いたりした場所が挙げてあります。

ユダの王アモン

20-21 マナセ王が死んで宮殿の地下に葬られ、その子アモンが新しく王となりました。アモンは二十二歳で王となり、わずか二年間、エルサレムで治めました。

22 その治世は、父マナセ王の初期に劣らず悪いもので、父王が行っていたように、あらゆる偶像にいけにえをささげました。

23 しかも、父のようには態度を変えてへりくだることをせず、ますます大きな罪を犯しました。

24 そのため、ついに彼の家臣たちが宮殿の中で王を殺しました。

25 しかし、愛国心に燃えた民衆は、暗殺者をみな殺して、アモンの子ヨシヤを新しい王としました。

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歴代誌Ⅱ

歴代誌Ⅱ 34

ユダの王ヨシヤの改革

1 ヨシヤが王となったのはまだ八歳の時で、三十一年間エルサレムで治めました。

2 彼は、先祖ダビデの良い模範にならおうと心がけ、すぐれた政治を行いました。

3 十六歳になった治世の第八年には、ダビデの信じた神を熱心に求めるようになりました。その四年後には、ユダとエルサレムをきよめ始め、高台にある異教の祭壇や恥ずべき像を取り壊しました。

4 王が陣頭指揮をとり、バアルの祭壇が取り壊され、その上にある柱がたたき折られ、偶像が粉々に砕かれて、この偶像にいけにえをささげた者たちの墓にまき散らされました。

5 また、異教の祭司たちの骨を彼らの祭壇で焼くことによって、ユダとエルサレムの住民を偶像礼拝の罪からきよめました。

6 それからヨシヤは、マナセ、エフライム、シメオン、さらに遠くナフタリにある町々にまで行って同じようにしました。

7 異教の祭壇を取り壊し、偶像を粉々に砕き、石の柱を切り倒したのです。ヨシヤ王はイスラエル全土でこのようにしてから、エルサレムに戻りました。

8 偶像を一掃し、神殿のある場所をきよめてのち、第十八年に、王は神殿を修理するため、アツァルヤの子シャファン、エルサレムの長マアセヤ、エホアハズの子で市の財務官ヨアフを任命しました。

9 三人はさっそく、必要な献金を集めることにしました。献金は、神殿の入口で警備に当たるレビ人が集めました。エルサレムの住民はもちろん、マナセとエフライムから来た人々、および、その他の地方の者たちから寄せられた献金は、大祭司ヒルキヤに渡され、彼のもとで計算されました。

10-11 それからレビ人の手で、大工や石工への支払い、切り石、材木、つなぎ材、梁などの建築材料の購入にあてられました。こうしてヨシヤ王は、先のユダの王たちが荒らした神殿をりっぱに建て直したのです。

12 職人たちは、工事監督、メラリ氏族のレビ人ヤハテとオバデヤ、ケハテ氏族のゼカリヤとメシュラムの指揮のもとでよく働きました。工事が進んでいる間、レビ人は、すぐれた音楽をもって士気を高めました。

13 ほかに、資材を職人のもとへ運ぶ労働者を監督するレビ人もいました。また別の者は、会計、管理、運搬の任に当たりました。

14 ある日、大祭司ヒルキヤが神殿の入口で集めた献金の額を記入していて、古い巻物を見つけました。なんとそれは、モーセに与えられた主の律法の書だったのです。

15-16 ヒルキヤは、王の書記官シャファンに言いました。「神殿で、こんなものが見つかりました。これは律法の書です。」シャファンは巻物を受け取ると、王のもとに携えて行き、まずは神殿再建の工事が順調に進んでいることを報告しました。

17 「献金箱を開け、全額を計算した上で、必要な金額を監督と職人に渡しております。」

18 それから、彼は例の巻物を王に見せ、ヒルキヤがそれを発見したしだいを語り、王の前で朗読したのです。

19 その律法のことばが神の民に何を求めているかを知って、王は絶望のあまり衣を裂きました。

20 そして、ヒルキヤ、シャファンの子アヒカム、ミカの子アブドン、書記官シャファン、王の相談役アサヤを呼び、言い渡しました。

21 「神殿に行って、私のために主にお願いしてくれないか。イスラエルとユダの残りの者のために、祈ってほしいのだ。この巻物によると、主の激しい怒りが下ったのは、私たちの先祖が、ここに記されている主のことばに従わなかったからだというのだ。」

22 そこで彼らは、ハスラの子トクハテの子シャルムの妻である女預言者フルダのもとへ行きました。シャルムは王の衣装係で、エルサレムの第二区に住んでいました。彼らが王の心配事を伝えると、

23 彼女は答えました。「イスラエルの神、主はこう仰せです。『あなたがたを遣わした方にこう言いなさい。

24 わたしはこの町と住民を滅ぼす。その巻物に記されているのろいは、すべて実現しよう。

25 わたしの民がわたしを捨て、異教の神々を礼拝したので、わたしは怒りに燃えている。それゆえ、この地に注がれる主の憤りは決して消すことができない。』

26 このことで私に尋ねるため、あなたがたを遣わしたユダの王に、こう言ってください。『イスラエルの神、主のお告げです。

27 あなたが、この町と住民へのわたしのことばを聞いた時、心から悲しみ、神の前にへりくだって、絶望のあまり衣を裂き、わたしの前で泣いたので、あなたの祈りを聞き入れよう。

28 この町と住民に下すと言った災いを、あなたが死ぬまでは下さない。』」彼らはこの主のことばを王に報告しました。

29 すると王は、ユダとエルサレムの長老たちを残らず召集しました。

30 祭司、レビ人、すべての民が、王とともに神殿へ行きました。王は、神殿で発見された、神の契約が書かれている巻物を読んで聞かせました。

31 それから彼らの前で、心を尽くし、精神を尽くして主の命令に従い、巻物に記されていることを行うという誓いを立てました。

32 また、エルサレムとベニヤミンにいるすべての者に、この神との契約に同意するよう求め、すべての者がそうしました。

33 こうしてヨシヤは、ユダヤ人が住む全地域から偶像を一つ残らず取り除き、すべての者に、彼らの神を礼拝するよう訴えました。それ以後、王が生きている間ずっと、民は父祖の神、主に仕えました。

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歴代誌Ⅱ

歴代誌Ⅱ 35

過越の祭り

1 さて、ヨシヤ王は第一の月の十四日に、エルサレムで過越の祭りを祝うとのおふれを出し、その日の夕方、過越の子羊がほふられました。

2 また、祭司の組分けを決めてその務めに就かせ、彼らを力づけて、再び神殿の奉仕に当たらせました。

3 それから、イスラエルの教師であるレビ人には、次の命令を出しました。「聖なる箱は、今はソロモンの神殿に置かれ、かついで、あちこちに持ち運ぶ必要はなくなった。だから、あなたがたの時間を、主と主の民に仕えるために用いなさい。

4-5 イスラエルの王ダビデとその子ソロモンの行った組分けに従って、父祖の家ごとに、神殿にささげ物を持って来る人々のために備え、

6 過越の子羊をほふり、身をきよめ、そこに来る人々を助けなさい。すべて、モーセによって示された主の命令に従いなさい。」

7 王は、民がささげる過越のいけにえのために、子羊と子やぎ三万頭、それに子牛三千頭を寄贈しました。

8 高官たちも、祭司やレビ人のために進んで贈り物をしました。神殿の管理者であるヒルキヤ、ゼカリヤ、エヒエルは、祭司がささげる過越のいけにえとして、羊とやぎ二千六百頭、牛三百頭を贈りました。

9 レビ人の指導者であるカナヌヤ、その兄弟シェマヤとネタヌエル、それにハシャブヤ、エイエル、エホザバデは、レビ人がささげる過越のいけにえとして、羊とやぎ五千頭、牛五百頭を贈りました。

10 すっかり用意ができ上がり、祭司が所定の場所に立ち、レビ人が王の指示どおりの任務に就いた時、

11 レビ人の手で過越の子羊がほふられ、その血が祭司に渡されました。祭司が血を祭壇に注ぎかけると、レビ人はほふられた子羊の皮をはぎました。

12 彼らは、モーセの律法に記されているとおり、焼き尽くすいけにえとしてささげる子羊の体を各部族の分に取り分けました。牛についても同じようにしました。

13 それから、定められたとおりに、過越の子羊を焼き、聖別されたささげ物を、深なべ、平なべ、かまで調理し、人々に食べさせるために急いで運びました。

14 そのあとで、自分たちと祭司の食事を用意しました。祭司は朝から晩まで、焼き尽くすいけにえと脂肪をささげるのに追われていたからです。

15 アサフの子孫に当たる歌い手たちは、数百年も前、ダビデ王、アサフ、ヘマン、王の預言者エドトンに指示されたとおり自分の持ち場についていました。門衛たちもそれぞれの門を守っていましたが、食事は同族のレビ人が用意して届けてくれたので、持ち場を離れる必要がありませんでした。

16 こうして、ヨシヤ王が指示したとおり、すべての焼き尽くすいけにえが主の祭壇でささげられ、過越の全儀式はその日のうちに終わりました。

17 エルサレムに来ていた人々は過越の儀式を守り、それに続く七日間、パン種(イースト菌)を入れないパンを食べる祭りが行われました。

18 預言者サムエルの時代からこのかた、これほど多くの祭司やレビ人、エルサレムとユダの全地、さらに遠くイスラエルの地から集まって来た人々が加わった、盛大な過越の祭りが祝われたことはありませんでした。イスラエルのどの王も、この点ではヨシヤ王に及びませんでした。

19 このことがあったのは、ヨシヤ王の第十八年のことでした。

ヨシヤ王の死

20 そののち、エジプトの王ネコが、ユーフラテス川沿いの町カルケミシュでバビロニヤ軍と戦うため、大軍を率いて来ました。そこでヨシヤは、ネコを迎え撃とうとして出陣しました。

21 しかし、ネコ王は使者を立て、こう言ってよこしました。「ユダの王よ、あなたとは戦いたくありません。こうして攻めて来たのは、アッシリヤ王を助けるためです。黙って行かせてください。神が私に、早く行けと命じておられるのです。私と共におられる神に逆らうのはおよしなさい。さもないと、神があなたを滅ぼします。」

22 それでもヨシヤは引き返そうとせず、王服を脱ぎ、敵に気づかれないように変装をしたうえ、軍を率いて戦場となるメギドの谷へ向かいました。彼は、ネコ王の言ったことが神から出ていることを信じようとしなかったのです。

23 すると、敵の射手が放った矢がヨシヤ王に命中し、致命傷を負わせました。王は側近の者に、「早く戦場から連れ出してくれ」と叫びました。

24-25 そこで、彼らは王を戦車から別の車に移し、エルサレムへ連れ帰りました。ヨシヤ王はエルサレムで死に、王室墓地に葬られました。ユダ全国とエルサレムの民は、その死を悼んで喪に服しました。預言者エレミヤは王のために哀歌を作り、神殿の歌い手たちはそれを歌いました。今日まで、彼らはなおヨシヤの死について悲しみの歌を歌っています。それが『哀歌』に記されているからです。

26 ヨシヤ王のその他の業績、王が主の律法に忠実に生きたことは、

27 『イスラエルとユダ諸王の年代記』に記されています。

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歴代誌Ⅱ

歴代誌Ⅱ 36

ユダの王エホアハズ

1 そののち、ヨシヤの子エホアハズが新しい王に選ばれました。

2 エホアハズは二十三歳で王となりましたが、在位期間はわずか三か月間でした。

3 エジプトの王は彼を王位から退け、ユダに銀百タラント(三千四百キログラム)と金一タラントの年貢を課しました。

4 それからエジプトの王は、エホアハズの兄弟エルヤキムをエホヤキムと改名させ、ユダの新しい王にしました。一方、退けられたエホアハズは、捕虜としてエジプトへ連れて行かれました。

ユダの王エホヤキム

5 エホヤキムは二十五歳で王となり、十一年間エルサレムで治めましたが、主の目に悪を行いました。

6 ついに、エルサレムはバビロンの王ネブカデネザルに占領され、エホヤキムは鎖につながれてバビロンに引いて行かれました。

7 ネブカデネザルはまた、神殿から金の鉢やその他の器具を持ち出し、バビロンにある彼の神殿に移しました。

8 エホヤキム王のその他の業績、主の前に行った悪のすべては、『ユダ諸王の年代記』に記されています。そして、彼の子エホヤキンが新しく王となりました。

ユダの王エホヤキン

9 エホヤキンは十八歳で王となりましたが、在位期間はわずか三か月と十日でした。しかもその政治は、主の目には悪そのものでした。

10 翌年の春、彼はネブカデネザルから呼び出され、神殿の多くの宝物とともにバビロンへ連れて行かれました。ネブカデネザルは、エホヤキンの兄弟ゼデキヤを、ユダとエルサレムの新しい王に任命しました。

ユダの王ゼデキヤとバビロン捕囚

11 ゼデキヤは二十一歳で王となり、十一年間エルサレムで治めました。

12 彼もまた、主の目に悪を行いました。主のことばを語る預言者エレミヤの勧めを聞こうとしなかったからです。

13 ゼデキヤはネブカデネザルに忠誠を誓いながら、一方では反逆を企てました。非常に強情で、イスラエルの神、主に従おうとしませんでした。

14 大祭司をはじめ国の指導者もみな、周辺の国々の異教の偶像を礼拝し、エルサレムにある神殿を汚して、平気な顔をしていました。

15 彼らの父祖の神、主は、再三再四、預言者を遣わして、警告を与えました。ご自分の民と神殿を深く思いやったからです。

16 しかし、人々は神から遣わされた使者をばかにし、警告を無視し、預言者たちをさんざん侮辱しました。もはやこれ以上、主の怒りをとどめることができない、回復できない状態に陥りました。

17 そこで主は、バビロンの王を彼らのもとに攻め上らせたので、彼は若い男たちを神殿に押し込めて切り殺し、若い女や老人までも、容赦なく殺しました。主はバビロンの王を用いて、彼らを完全に滅ぼそうとしたのです。

18 彼らは神殿で使われていた大小の器具を、神殿と宮殿から持ち出した宝物とともにバビロンに持ち帰りました。また、すべての王子たちも連れ去りました。

19 それから、バビロン軍は神殿に火を放ち、城壁を片っぱしから取り壊し、王宮を焼き払い、神殿で使われていためぼしい器具を残らず破壊しました。

20 生き残った者はバビロンへ捕らえ移され、ペルシヤ王国がバビロンを征服する時まで、バビロンの王と王子たちに仕える奴隷となりました。

21 こうして、エレミヤの語った主のことばは現実となりました。この地は、民が安息(安息年。七年に一度休耕し、土地を休ませる)を守らなかった年月を埋め合わせるため、七十年間の休息を必要としたのです。

22-23 ペルシヤの王クロスの第一年(前五三八年)に、主はクロス王の心を動かして、帝国中に次のような勅令を出させました。「地のすべての王国を私に賜わった天の神、主は、ユダの地にあるエルサレムにご自分の神殿を建てよと、私にお命じになった。主の民である者はみな、神殿建設のためにイスラエルへ帰るがよい。主が共におられるように。」

これもまた、預言者エレミヤの語った預言の成就でした。

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