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エレミヤ書

エレミヤ書 42

1 ヨハナン、ホシャヤの子イザヌヤ、将校たちをはじめ、身分の高い者も低い者も、そろってエレミヤのところへ行き、

2 こう頼みました。「どうか、あなたの神である主に祈ってください。よくご存じのように、私たちはあとに残った、ほんのひと握りの仲間です。

3 あなたの神である主が私たちに、どうしたらいいか、またどこへ行ったらいいかを教えてくださるよう、頼んでください。」

4 「いいでしょう。神に尋ねてみましょう。神の語ることは、包み隠さずお知らせします。」

5 「もし、私たちが神の語ったことに背くなら、のろわれてもかまいません。

6 私たちは、おことばが気に入っても気に入らなくても神に従います。従いさえすれば、何もかもうまくいくからです。」

7 それから十日して、主の返事がエレミヤにありました。

8 彼はヨハナンと、その下にいる隊長たち、それに身分の高い者も低い者もみな呼んで、

9 こう言いました。「あなたがたは私を代わりに立て、イスラエルの神に尋ねさせました。これが神からの返事です。

10 『この地にとどまりなさい。そうすれば、おまえたちを祝福する。誰ひとり危害を加える者はいない。わたしは、おまえたちに刑罰を下したことを後悔している。

11 これ以上バビロン王を怖がらなくてよい。わたしがついているからだ。必ず彼の手からおまえたちを助け出す。

12 おまえたちのために、王に同情心を起こさせるので、彼はおまえたちを殺したり、奴隷にしたりせず、かえって、これまでどおり国にいられるように取り計らってくれる。』

13-14 しかし、主に逆らって、『ここにいるのはいやだ』と言い、戦争や飢えや危険のない別世界だと考えているエジプトへ、どうしても行こうとするなら、

15 イスラエルの神は、きっぱり断言します。『ユダの残りの者よ。どうしてもエジプトへ行くと言ってきかないなら、

16 おまえたちの恐れている戦争とききんが、すぐうしろからついて行き、おまえたちを滅ぼす。

17 これが、エジプトに住もうと言いはる者の運命だ。おまえたちは間違いなく剣と、ききん、疫病で死ぬ。エジプトでわたしが下す災いを免れる者は、一人もいない。』

18 イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう断言します。『わたしの怒りと憤りは、エルサレムの住民に注がれたように、エジプトへ行った者にも注がれる。おまえたちは侮られ、憎まれ、のろわれ、ののしられる。しかも、二度と祖国を見ることはできない。

19 なぜなら、わたしは「ユダの残りの者よ、エジプトへ行ってはならない」と、はっきり命じたからだ。』」こう言うと、エレミヤは話をしめくくりました。「私が今日警告したことを、決して忘れてはなりません。

20 もし、それでも行くなら、いのちはありません。あなたがたが私を代わりに立てて神に祈らせ、『神の語るとおりを知らせてください。私たちは従いますから』と言ったことは偽りだったということになるからです。

21 私は今日、神のご命令を、そのとおり伝えました。ところがあなたがたは、いつものように、やはり従おうとしません。

22 だから、このことを心に刻みなさい。あなたがたは、どうしても行くのだと言ってきかないエジプトの地で、剣とききんと疫病によって死にます。」

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エレミヤ書 43

1 エレミヤが、神のことばをすべての人に語り終えた時、

2-3 ホシャヤの子アザルヤと、カレアハの子ヨハナン、その他の思い上がった者が、エレミヤに言いました。「うそをつけ。神が、エジプトへ行ってはならないなどと言うはずがない。ネリヤの子バルクが陰謀を企て、そう言わせたに違いない。われわれをこの地に残して、バビロニヤ人に殺されるようにしたり、奴隷としてバビロンに連れて行かれるようにしたりするために。」

4 このように、ヨハナンをはじめゲリラ隊長たちと残っていた者はみな、主の命令に従ってユダにとどまることを拒みました。

5 こうして、亡命先の近くの国々から帰って来た人も含めて、すべての者が、ヨハナンや他の隊長と共に、エジプトをめざして出発しました。

6 その中には、男、女、子ども、王女たち、それに親衛隊長ネブザルアダンがゲダルヤに託したすべての人がいました。彼らは、エレミヤとバルクも力ずくで連れて行き、

7 エジプトのタフパヌヘスに着きました。彼らは主のことばに従わなかったのです。

8 タフパヌヘスで、主は再びエレミヤに語りました。

9 「ユダの人たちを呼び集めなさい。彼らの見ている前で、このタフパヌヘスにあるエジプト王の宮殿の入口にある敷石の間に、大きな石を埋めなさい。

10 それから、皆にこう言うのだ。

イスラエルの神である天の軍勢の主は言う。わたしは間違いなく、わたしの意のままに動くバビロンの王ネブカデネザルを、エジプトに連れて来る。そして彼の王座を、今隠した石の上にすえる。彼は、その石の上に王の天蓋を張る。

11 彼はエジプトに来て町を破壊し、わたしが殺そうと思っている者をみな殺し、わたしが捕虜にしようと思っている者を捕虜にする。また、多くの者が疫病にかかって死ぬ。

12 彼はエジプトの神々の神殿に火をつけ、偶像を焼き、人々を奴隷にして連れ去る。彼はまた、羊飼いが着物についたしらみをつぶすように、エジプトを踏みつぶし、しかも無傷で去る。

13 ヘリオポリスにある偶像の記念塔は壊され、エジプトの神々の神殿も焼き払われる。」

—https://api-cdn.youversionapi.com/audio-bible-youversionapi/406/32k/JER/43-222d8b997ceb66ff88fd8e3726f64b8c.mp3?version_id=83—

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エレミヤ書 44

偶像礼拝と災難

1 エジプト北部のミグドル、タフパヌヘス、メンピスの町々、それにエジプト南部に住む全ユダヤ人について、次のことばがエレミヤにありました。

2-3 「イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。『おまえたちは、わたしがエルサレムとユダのすべての町にしたことを見た。それらの町々は、はなはだしい悪のために灰になり、廃墟となって、今は住む者がだれもいない。自分も先祖も知らなかった神々を拝んで、わたしの怒りを買ったからだ。

4 わたしはわたしのしもべである預言者を送って、わたしの憎んでいるこのような恐ろしいことをしないようにと、何度も警告し、説得してきた。

5 それなのに彼らは少しも言うことを聞かず、悪の道を捨てなかった。そして、神々にいけにえをささげ続けた。

6 そのため、わたしの憤りは爆発し、火のようにユダの町々とエルサレム市内に燃え移り、現在のような廃墟としたのだ。』

7 イスラエルの神であり、天の軍勢の神である主は、あなたがたに尋ねます。『なぜおまえたちは、自らいのちを絶とうとしているのか。ユダから逃げてこの地に来た者は、男、女、子どもはもちろん、抱かれている乳飲み子さえ、一人として死を免れることはできない。

8 おまえたちは、エジプトへ来てまで偶像を拝み、香をたいて、わたしの怒りをかき立てている。だから、おまえたちを徹底的に滅ぼし、全世界の国々ののろいとし、きらわれ者とする。

9 おまえたちは、ユダとエルサレムでの先祖の罪、ユダの王と王妃たちの罪、おまえたち自身の罪、それにおまえたちの妻の罪を忘れたのか。

10 今この時まで、わびた者は、だれもいない。一人として、わたしに立ち返ろうとせず、わたしがおまえたちの先祖に与えたおきてに従おうともしない。』

11 そのため、イスラエルの神である天の軍勢の主は言います。『わたしは怒りで全身が熱くなった。おまえたちを一人残らず滅ぼす。

12 エジプトに来ることを強く主張した、生き残りのユダヤ人を皆殺しにする。彼らはこのエジプトの地で倒れ、ききんと剣でいのちを失い、身分の高い者も低い者も、一人残らず死ぬ。彼らはさげすまれ、忌みきらわれ、のろわれる。

13 わたしは、エルサレムの住民を剣とききんと疫病で罰したように、エジプトにいる彼らを罰する。

14 ここに来たことを悔い、ほかの者と別行動をとって故国に帰る者のほかは、ただの一人も、わたしの憤りから逃げることはできない。』」

15 そこに居合わせた女たちと、妻が偶像に香をたいていることを知っている男たちは、声を一つにして言い返しました。エジプト南部には、おびただしい数のユダヤ人がいたのです。

16 「そんな偽のおことばには、同意できません。

17 好きなようにさせてください。先祖や王たち、重立った人たちが、ユダの町々やエルサレムでいつもしていたように、『天の女王』に思うぞんぶん香をたきたいのです。あのころは、食べ物がどっさりあり、幸せいっぱいでした。

18 ところが、『天の女王』に香をたいて拝むのをやめてからは、災い続きで、剣とききんに倒れてきたのです。」

19 女たちも、負けずに口をはさみました。「私たちは夫と相談して『天の女王』を拝み、それにぶどう酒を注ぎ、女王にかたどったケーキを作ったのです。黙って内緒でしたわけではありません。」

20 エレミヤは答えました。

21 「あなたがたや、あなたがたの先祖、王、重立った人たち、それにすべての民が、ユダの町々とエルサレムで偶像に香をたいていたことを、主がご存じないとでも思うのですか。

22 神があなたがたの悪に我慢できなくなったので、祖国は今のように荒れ果て、徹底的に破壊され、のろわれ、だれも住まない地になったのです。

23 こんな恐ろしい運命に見舞われたそもそもの原因は、あなたがたが香をたき、主に罪を犯し、主に従うことをやめたことにあります。」

24 さらにエレミヤは、女たちも含め、全員に言いました。「エジプトに住むすべてのユダヤ人は、主のおことばを聞きなさい。

25 イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう語ります。『おまえたちも妻も、「天の女王」にいけにえをささげることは絶対にやめないと言った。しかも、そのことを態度で証明してきた。それなら、「天の女王」に誓ったことを果たすがいい。

26 だが、エジプトに住むすべてのユダヤ人よ。わたしの言うことをよく聞きなさい。これからは、「神よ、どうか助けてください」と言って、わたしの助けと祝福を求めても無駄だ。

27 わたしはおまえたちに目を留めるが、祝福のためではない。災いが直接襲うようにするためだ。だから、おまえたちは戦争とききんで倒れ、ついには死に絶える。

28 ユダに帰るほんのひと握りの者だけは、わたしの憤りに会わない。だが帰国を拒んで、エジプトに居すわる者はみな、ほんとうのことを言っているのがわたしであるか、それとも彼らであるかを、いやというほど思い知る。

29 わたしが前々から警告していたことはみな実現し、わたしはこの地でおまえたちを罰する。これが、わたしのことばが正しいという証拠だ。

30 わたしは、ユダ王国のゼデキヤ王をバビロンのネブカデネザル王に渡したように、エジプトのホフラ王を、彼のいのちをねらう者の手に渡す。』」

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エレミヤ書 45

バルクへのメッセージ

1 ヨシヤの子エホヤキム王が即位して四年目に、バルクはエレミヤが語る神のことばをそのまま書きつけました。そののち、エレミヤは彼に言いました。

2 「バルクよ。イスラエルの神が、あなたにこう言います。

3 『おまえはこう言った。「私は実にみじめな人間だ。もう十分に苦しんできたのに、神は、なおも苦しみを加えた。出るのはため息ばかりで、ゆっくり休むことさえできない。」

4 こう言うバルクに、次のように答えてやりなさい。わたしは、わたしの建てたこの国を壊し、わたしの築いたものを引き抜く。

5 おまえは、自分のために特別なことを求めてはならない。わたしはこの民に大きな災いを下すが、おまえのことは、報いとして、どこへ行っても守ることにしている。』」

—https://api-cdn.youversionapi.com/audio-bible-youversionapi/406/32k/JER/45-ec6cba3f4f85c3fbfff6ba65f905ad4e.mp3?version_id=83—

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エレミヤ書

エレミヤ書 46

エジプトについてのメッセージ

1 ほかの国々についてエレミヤが聞いた神のことばを、次に書き留めておきます。

エジプト人について――

2 ユダ王国のヨシヤの子エホヤキム王が即位して四年目に、エジプトのネコ王の率いる軍隊が、ユーフラテス川沿岸のカルケミシュで、バビロンのネブカデネザル王に敗れた時、エジプトについて次のことばがありました。

3 「エジプト人はよろいに身を固め、戦いに出て行け。

4 馬に鞍をつけ、いつでも乗れるようにしておくのだ。

かぶとをかぶり、槍の穂先をみがき、よろいを着よ。

5 だがどうしたわけか、

エジプトの軍勢は恐れに取りつかれて逃げて行く。

人一倍の武勇を誇る兵士さえ、

うしろを振り向きもせず、一目散に逃げる。

恐れが四方八方から彼らを取り囲む。

6 どんなに足の速い者も、どんな勇士も、

逃げることはできない。

北のユーフラテス川のほとりで、

彼らはつまずき倒れる。

7 洪水の時期のナイル川のようにわき上がり、

各地にあふれていくこの強大な軍隊は、

どこの国のものか。

8 それは、すべての国々を洪水のように覆い、

すべての敵を破るとうそぶく、エジプトの軍隊だ。

9 馬と戦車、それに無敵を誇るエジプト兵たちよ、

さあ、来なさい。

盾を取り、弓を引きしぼるエチオピヤ、

プテ、ルデの人たちも来るがいい。

10 今日こそ、天の軍勢の主の日、

わたしが敵に復讐する日だ。

剣は、おまえたちの血に飽き、酔うまで働く。

今日、天の軍勢の主であるわたしに、

北の地ユーフラテス川のほとりで、

いけにえがささげられるからだ。

11 エジプトの娘よ、薬を探しにギルアデに上れ。

だが、それでも、おまえの傷は治らない。

どんなに薬を使っても、元の健康は取り戻せない。

12 国々はおまえの恥を聞いた。

地はおまえの絶望と敗北の叫び声で満ちる。

おまえの勇士たちは鉢合わせして、共に倒れる。」

13 次に神は、バビロンのネブカデネザル王が

エジプトを攻撃することについて、こう語りました。

14 「エジプトで、バビロン軍の来襲を大声で伝えよ。

ミグドル、メンピス、タフパヌヘスの町の人々に

言い広めよ。

滅びの剣が周囲を食い尽くすから、

兵士を集めて戦いの準備をせよ。

15 なぜ、おまえたちの雄牛の神アピスは、

真っ青になって逃げたのか。

主が敵の前で、彼を打ちのめしたからだ。

16 数えきれないほどの人が倒れ、死人の山ができる。

その時、ユダヤ人の残った者は言う。

『さあ、生まれ故郷のユダへ帰ろう。

こんな恐ろしい虐殺の現場から遠ざかろう。』

17 エジプトの王ホフラの名を、

『力はないが、実に騒がしい男』と変える。」

18 天の軍勢の主である王は、こう言います。

「タボル山か海に突き出たカルメル山のように

背の高い者が、エジプトに襲いかかる。

19 エジプトの住民は、荷物をまとめ、

捕虜となって連れて行かれるしたくをせよ。

メンピスの町は根こそぎにされ、

一人も生き残らないからだ。

20-21 エジプトは若い雌牛のように肌がつややかだ。

だが、北からあぶが飛んで来て彼女を追い回す。

名高い傭兵たちも、

おびえきった子牛のようになり、向きを変えて逃げる。

徹底的な罰がエジプトに下り、

大災害の見舞う時がきたからだ。

22-23 エジプトは、蛇が身をくねらせて姿を消すように、

音もなく逃げる。

代わりに侵略軍が入って来て、

数えきれないほどの兵士が、

森の木立を切り払うきこりのように、

人々をなで切りにする。

24 この北から来た民の前では、

エジプトは少女のように無力だ。」

25 イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「わたしはテーベの神アモン、その他のエジプトの神々を罰する。また、エジプト王と、王を頼りとするすべての者を罰する。

26 彼らを、彼らを殺すことを生きがいとするバビロンのネブカデネザル王と、その軍隊の手に渡す。しかし後に、エジプトは戦争の荒廃から立ち直る。

27 祖国に帰るわたしの民よ、

怖がったり、うろたえたりしてはならない。

わたしは遠くにいるおまえたちを救い、

おまえたちの子孫を遠くの国から連れ戻すからだ。

イスラエルは帰って来て平穏無事に住み、

何ものにもおびえない。

28 わたしのしもべヤコブよ、恐れるな。

わたしがついている。

わたしは、おまえの寄留していたすべての国々を

滅ぼすが、おまえには手をかけない。

懲らしめはするが、

それはおまえを正しい者とするためだ。

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エレミヤ書 47

ペリシテ人についてのメッセージ

ペリシテ人について――

1 ガザがエジプト軍に占領される前に、この町のペリシテ人について神がエレミヤに語ったことばは、次のとおりです。

2 主はこう言います。

「北から洪水が押し寄せて、

ペリシテ人の地にあふれようとしている。

それは、町々とその中にあるものを何もかも破壊する。

強い男たちでも恐れて悲鳴を上げ、

国中の民が泣きわめく。

3 遠くから聞こえるひづめの音と、

地響きを立てる戦車の車輪の音を聞きなさい。

父親は、泣き叫ぶわが子には目もくれず、

一目散に逃げる。

4 すべてのペリシテ人と、ツロおよびシドンの同盟軍の

滅ぼされる時が、ついにきたのだ。

主が、カフトル(クレテ島周辺)からの開拓者である

ペリシテ人を滅ぼすのだ。

5 ガザとアシュケロンの町は、

跡をとどめないまでに破壊され、廃墟となる。

アナク人の子孫は、

どれほど嘆き悲しまなければならないことか。」

6 主の剣は、いつになったら休むつもりでしょう。

さやに収まって、静かに休みなさい。

7 しかし、いったん主が使命を与えたからには、

じっとしていることはできません。

アシュケロンの町と、海岸沿いの住民は、

どうしても滅ぼされなければならないのです。

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エレミヤ書 48

モアブについてのメッセージ

モアブ人について――

1 モアブについて、イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。

「ネボの町はひどい目に会い、跡形もなく壊される。

キルヤタイムの町は占領され、

それを守る要塞はつぶされる。

2-4 もう、だれもモアブのことを誇りにする者はいない。

そのいのちがつけねらわれているからだ。

すでにヘシュボンでは、

モアブを破壊する手はずが整った。

『さあ、あの国を滅ぼして、地上から抹殺しよう』と、

彼らは言う。

マデメンはひっそり静まり返っている。

一方、ホロナイムには戦いの物音が近づく。

こうしてモアブは全滅し、

その叫び声はツォアルにまで響く。

5 泣きながらルヒテの坂を上る避難民の耳には、

下に見える町からの恐怖の叫びが聞こえる。

6 いのちが助かるために逃げ、荒野に身をひそめよ。

7 おまえたちは自分の腕を頼みとし、

富を誇ったので、滅びる。

おまえたちの神ケモシュは、

祭司や重立った人たちと共に、

遠い国へ連れ去られる。

8 村や町は、高台にあっても谷間にあっても、

すべて滅びる。

わたしがそう言ったからだ。

9 モアブに羽が生えてどこかへ飛んで行けたら、

どんなにいいだろう。

この国の町々には、

いのちある者は一人もいなくなるからだ。

10 モアブの血を流すのをいとい、剣を抜くのをひかえる者は、のろわれよ。わたしが与えた仕事に手をつけない者は、のろわれよ。

11 モアブは建国以来、

外敵から守られ平穏無事に過ごしてきた。

この国は、器から器に移し変えられない

ぶどう酒のようで、香りがよく、

口当たりがなめらかだ。

だが今度は、捕虜として外に注ぎ出される番だ。

12 乱暴者が来て、つぼからつぼへ荒々しく移し変え、しかも、そのつぼを粉々に砕く時がすぐにくる。

13 その時になってはじめて、イスラエルがベテルで子牛の偶像を恥じたように、モアブは自分の偶像ケモシュを恥ずかしく思うようになる。」

14 あなたがたは、「われわれは英雄だ。歴戦の勇士だ」とうぬぼれていたころのことを覚えていますか。

15 しかし今、「モアブは滅ぼされようとしている。

滅ぼす者が近づいている。

えり抜きの若者も殺害される」と、

天の軍勢の主である王が言います。

16 大きな災害が足早にモアブに近づいています。

17 モアブの友人たちよ、

モアブのために大声で泣きなさい。

力と美しさを誇ったこの国は、粉々に砕かれました。

18 ディボンの人たちよ、

栄光の座を降り、ちりの中に座りなさい。

モアブを滅ぼす者はディボンをも荒らし、

すべての塔を倒すからです。

19 アロエルの住民よ、道のそばに立って、

モアブから逃げて来る人たちに、

「いったい何が起こったのですか」と聞いてみなさい。

20 彼らは答えるでしょう。

「モアブは焼け野原になりました。

大声で泣きなさい。

アルノン川の土手で、モアブは滅びたと伝えなさい。」

21 平地にあるすべての町は廃墟になりました。神の刑罰は、これらの町全部に下されたのです。ホロンも、ヤハツ、メファアテも、

22 ディボン、ネボ、ベテ・ディブラタイムも、

23 キルヤタイム、ベテ・ガムル、ベテ・メオンも、

24 ケリヨテ、ボツラも、モアブの国の遠くや近くにあるすべての町々も、同じ運命に会いました。

25 モアブは角を切り取られ、両腕を折られ、

非常に弱くなりました。

26 酔った者のようにふらつき、倒れるままにしておきなさい。主に背いた罰です。モアブは自分の吐いた物の中で転げ回り、すべての人にさげすまれます。

27 それは、イスラエルをさげすんで強奪し、それが倒れた時、手をたたいて喜んだからです。

28 モアブの人たちよ、町を捨てて逃げ、

岩の裂け目に巣を作る鳩のように、

ほら穴に住みなさい。

29 モアブの思い上がりは並はずれたものだったので、

私たちの耳にまで達しました。

その、他人を見下す横柄な態度、思い上がった心を、

私たちは知っています。

30 「わたしはモアブの思い上がりを知っている」と、主は言います。しかし、そのうぬぼれは根拠のないもので、から威張りにすぎません。

31 私はモアブのために泣き、私の心は、キル・ヘレスの人々のことを思って痛みます。

32 ぶどうのお陰で富んでいる

シブマ(良質のぶどうの産地)の人よ。

私はヤゼルの人以上に、あなたがたのために泣きます。

滅ぼす者が来て、よく伸びたあなたがたのつるを切り、

ぶどうと夏の果物を横取りしたからです。

そのため、あなたがたは丸裸になりました。

33 実り豊かなモアブから、喜びと楽しみの声が消え、

酒ぶねに入れるぶどうもなく、

喜びの声を上げてぶどうを踏む者もいません。

叫び声は聞こえますが、

歓声ではありません。

34 恐怖と苦痛の、身の毛もよだつ叫び声が、ヘシュボンからエルアレとヤハツ、ツォアルからホロナイムとエグラテ・シェリシヤにわたる国中に響きます。ニムリム川沿いの牧草地は、今ではすっかり荒れ地になりました。

35 「わたしは、モアブが偽の神々を拝み、偶像に香をたくのをやめさせた」と、主は言います。

36 私は、モアブとキル・ヘレスのために嘆き悲しみます。彼らの富が消えうせたからです。

37 彼らは苦しみもだえて頭の毛とひげをそり、手に傷をつけ、袋を作る材料の荒布を身にまといます。

38 どのモアブ人の家からも、路上からも、泣き悲しむ声が聞こえます。

「わたしがモアブを、だれも見向きもしない古い器のように割ったからだ」と、主は言います。

39 なぜ壊されたのでしょう。泣き叫ぶ声を聞き、モアブの恥に目を留めなさい。モアブは今、周囲の人たちにとって、恐怖とさげすみのしるしとなっています。

40 「モアブの上空を、不吉の使者のわしが輪を描いて飛んでいる」と、主は言います。

41 町々は攻め取られ、要塞はつぶされます。

偉大な勇士も、産みの苦しみをする女のように、

恐れに取りつかれて弱くなります。

42 モアブは、もはや国ではありません。

主に大きな口をきいたからです。

43 「モアブよ、恐れと罠と裏切りが、

おまえの分け前になる。

44 逃げる者は落とし穴に落ち、

そこからようやくはい上がったかと思うと、

今度は罠に足をはさまれる。

わたしは、おまえがどんなにもがいても

脱出できないように、目を光らせている。

おまえの刑罰の時がきたのだ」と、主は言います。

45 彼らは、やっとの思いでヘシュボンまで

逃げのびますが、それ以上は行けません。

シホンの先祖の土地であるヘシュボンから火が出て、

国の端から端までなめ尽くし、

反逆者たちをみな焼き殺します。

46 ああ、モアブよ。

恐ろしい運命があなたを待ち受けています。

ケモシュの神を拝む人々は滅びました。

あなたの息子と娘は、奴隷として連れ去られます。

47 「だが、後に、わたしはモアブの国を再建する」と、

主は言います。

モアブについての預言は、これで終わりです。

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エレミヤ書 49

アモンについてのメッセージ

アモン人について――

1 「おまえたちは、ここで何をしているのか。

なぜユダヤ人の町に住んでいるのか。

そこはユダヤ人だけの住みかであり、

彼らがわたしから受け継いだ所ではないか。

それなのに、ミルコムの神を拝むおまえたちが、

なぜガドとその町々を占領したのか。

2 このため、わたしはおまえたちを罰し、

おまえたちの町ラバを破壊する。

そこは人の住まないごみの山となり、

近くの町々も焼き払われる。

そのあとイスラエルが来て、

おまえたちの手から国を取り戻し、

失った物を奪い返す。」

主はこう言います。

3 「ヘシュボンよ、アイが滅びたのだから、

泣きわめくがいい。

ラバの娘よ、喪服を着て垣根に身を隠し、

ぞんぶんに泣け。

おまえの神ミルコムが、重立った人や祭司と共に、

遠い国へ連れて行かれるからだ。

4 おまえは、よく肥えた谷間の地を自慢にしているが、

それはまもなく荒れ地になる。

根性の曲がった娘よ。

おまえは自分の財産を心の拠り所とし、

手出しする者はだれもいないと考えていた。

5 だが、見ているがいい。

わたしはおまえに恐怖を送る。」

天の軍勢の主である神が、こう言います。

「隣人たちはおまえをおまえの国から追い出し、

おまえが捕虜になって連れ去られるのを

横目で見ながら逃げて行く。

6 だが、後に、わたしはアモン人の国を

元どおりに繁栄させる。

エドムについてのメッセージ

エドム人について――

7 天の軍勢の主はこう言います。

「昔いた賢い者たちはどこへ行ったのか。

テマンには、もう知恵のある者は一人もいないのか。

8 デダン(隊商で栄えた、アラビヤ北部の町)の人よ、

荒野の一番奥まで逃げて行け。

わたしはエドムを罰する時に、

おまえたちをも罰するからだ。

9-10 ぶどうを収穫する者は、

貧しい者のことを考えて少しは残しておく。

どろぼうでさえ、

すべてを盗んで行くようなことはしない。

だが、わたしがエドムを丸裸にするので、

隠れる所はどこにもない。

子どもも、兄弟も、隣人も、一人残らず殺され、

おまえ自身も滅びる。

11 だがわたしは、生き残ったみなしごたちを守り、

未亡人たちがわたしを頼りとするようにする。」

12 主はエドムに言います。「罪のない者さえ苦しむとしたら、おまえは、どれほど苦しまなければならないことか。罰を受けずにすむはずはない。どうしても、このさばきの杯を飲まなければならない。

13 ボツラは荒れ果て、のろいとあざけりを受けるようになると、わたしは自分の名にかけて誓ったのだ。その町々は永遠に廃墟となる。」

14 私は主から、次の知らせを聞きました。

神はエドムを滅ぼす同盟軍を起こすため、

国々に呼びかける使者を送り出しました。

15 神は言います。

「わたしはこの国を弱くし、

周囲の国々にさげすまれるようにする。

16 おまえはペトラの山々や岩の裂け目に住み、

自分の名声と思い上がりによって自分を欺いてきた。

だが、わしのように高い峰に住んでいても、

わたしはおまえを引きずり降ろす。

17 エドムは非常に恐ろしい目に会う。そこに近づく者はみな、あまりにも悲惨な光景に背筋が凍り、息の止まる思いがする。

18 おまえの町々は、ソドムとゴモラやその近くの町々のように静まり返る。二度とそこに住む者はいない。

19 わたしが彼らのもとに、ヨルダンの密林から出て囲いの中の羊に忍び寄るライオンのような侵略者を送るので、エドムは一瞬のうちに滅びる。そのあとで、わたしの選んだ者をエドム人の上に立てよう。わたしのような者がいるだろうか。だれがわたしを呼びつけて、報告を求めることができるだろう。どの羊飼いが、わたしに反抗できるだろうか。」

20 次のことを心に留めておきなさい。

主は間違いなくエドムとテマンの住民に、

小さな子どもさえ奴隷になって引きずられて行く光景を

見せます。それは、見るに耐えない悲惨なことです。

21 エドムが倒れる音で地は揺れ動きます。

人々の叫び声は紅海にまで聞こえます。

22 襲いかかる者は、わしのように速く飛んで来て、ボツラに向かって翼を広げます。それを見て、大勇士の勇気もくじけ、産みの苦しみをする女のようになります。

ダマスコについてのメッセージ

23 ダマスコについて――

「ハマテとアルパデの町々は、恐れに取りつかれた。

彼らの運命がどうなるかを聞いたからだ。

彼らの心は、嵐の荒れ狂う海のように、

ざわめき立っている。

24 ダマスコはすっかりおじけづき、住民はみな逃げた。

恐れと苦しみと悲しみが、産婦に取りつくように、

ダマスコに取りついた。

25 ああ、名の知れた町、喜びの町よ。

どうしておまえは、今になって見捨てられたのか。

26 若者たちは、路上に死体となって横たわっている。

おまえの軍隊は、ただの一日で蹴散らされてしまう。」

そう天の軍勢の主は言います。

27 「わたしはダマスコの城壁に火をつける。

その火で、ベン・ハダデの宮殿は焼け落ちる。」

ケダルとハツォルについてのメッセージ

28 次の預言は、ケダルとハツォル(どちらも、パレスチナ東方の荒野に住むアラブ遊牧民)の王国についてです。これらの王国は、主の命令を受けたバビロンのネブカデネザル王によって、まもなく滅ぼされようとしています。

29 神は言います。

「彼らの羊の群れもテントも、

家庭用品ともども奪い取られる。

らくだも連れ去られ、

『われわれは包囲された。いよいよ最期だ』という

恐怖にひきつった叫び声が、あちこちから聞こえる。

30 いのちが助かるために逃げなさい。

ハツォルの人たちは荒野の奥に隠れるのだ。

バビロンのネブカデネザル王が陰謀を巡らし、

おまえたちを根絶やしにしようと

手はずを整えているからだ。」

31 主はネブカデネザル王に、こう言いました。

「さあ、のん気に荒野で孤立して住んでいる

金持ちのベドウィン族に襲いかかるのだ。

彼らは、だれの力も借りずにやっていけるとうぬぼれ、

城壁も門もいらないと大口をたたいている。

32 彼らのらくだと家畜は、みなおまえのものになる。

わたしはこのアラブ人を風で吹き散らし、

四方八方から災難を呼び寄せる。」

33 ハツォルは荒野の野獣の住みかになります。

人の住まない、永遠の荒れ地となるのです。

エラムについてのメッセージ

34 ユダのゼデキヤ王の治世の初めに、エラムについてのことばが、エレミヤにありました。

35 「天の軍勢の主はこう言います。

『わたしはエラムの軍隊を破る。

36 また、四方からの風でエラムの住民を吹き散らす。

そのため、彼らは世界中の国々に流れ着く。

37 わたしは激しく怒ってエラムに大きな災いを下し、

敵がこの地の住民を一掃するように仕向ける。

38 わたしはわたしの王座をエラムに置き、

王と重立った者たちを滅ぼす。

39 だが後に、わたしはエラム人を呼び戻す。

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エレミヤ書 50

バビロンについてのメッセージ

1 次は、主が預言者エレミヤを通して、カルデヤ人の国バビロンについて語ったことばです。

2 「全世界の人に、バビロンは滅びると告げなさい。

その国の神であるメロダクは恥をかく。

3 北から一つの国が攻め上り、この地を二度と人が住めないほど徹底的に荒らすからだ。人も家畜も逃げる。

4 その時、イスラエルとユダの民は泣きながら、彼らの神であるわたしを尋ね求める。

5 シオン(エルサレム)に通じる道を尋ね、故国をめざして帰る。『二度と破られない永遠の誓いを立て、主にしっかり結びつこう』と、彼らは言う。

6 わたしの民は迷った羊だ。羊飼いたちはとんでもない方向に彼らを連れて行き、山の中に置き去りにした。彼らは道に迷い、どうすれば元の場所へ帰れるかと途方にくれた。

7 彼らを見つけた者は彼らをさんざん食い物にし、『彼らを好きなように料理しよう。彼らは、正義の神であり、彼らの先祖の望みであった主に罪を犯したのだから』と言った。

8 しかし今度は、

カルデヤ人の国バビロンから逃げ出すのだ。

わたしの民を故国に連れ帰りなさい。

9 わたしは北方の強い国々の軍隊を奮い立たせ、

バビロンに敵対させるからだ。

バビロンは滅びる。

敵の矢は的をめがけて飛んで来て、一本もはずれない。

10 バビロンは丸裸になる。

11 わたしの民から身ぐるみはぎ取ったカルデヤ人よ。

おまえたちは喜び、

みずみずしい草の茂る放牧地の牛のように肥え太り、

種馬のようにいなないても、

12 おまえたちの母は恥をかいて顔を伏せる。

おまえたちは一番弱い国となり、

荒野となり、乾ききった砂漠となるからだ。

13 わたしの怒りによって、

バビロンはさびれた荒れ地となる。

そこを通り過ぎる者は血の気を失い、

そのすべての傷を見てあざける。

14 周りを囲むすべての国々よ、

バビロンと戦う準備をしなさい。

弓を引く者は、バビロンをめがけて矢を放て。

彼は神に逆らって罪を犯したのだから、矢を惜しまず、

容赦なく射かけるのだ。

15 四方から、いっせいにときの声を上げなさい。

城壁はくずれ、バビロンは降伏する。

わたしはとうとう復讐した。

バビロンがしたとおりのことを、やり返しなさい。

16 畑で働く外国人は、みな逃げなさい。

敵の軍勢が攻めて来るから、

自分の国に走って帰りなさい。

17 イスラエル人はライオンに追われる羊のようだ。初めはアッシリヤの王がその肉を食い、次にはバビロンのネブカデネザル王が、骨まで食いつくした。」

18 そこで、イスラエルの神である天の軍勢の主は、こう言います。「わたしは今度は、アッシリヤを罰したように、バビロンの王とその国に罰を加える。

19 わたしはイスラエル人を故国に連れ戻す。彼らはカルメルとバシャンで草を食べ、もう一度、エフライムとギルアデの山々で幸せに暮らすようになる。

20 その日には、イスラエルにもユダにも、罪は一つも見当たらなくなる。わたしは残った者たちを赦すからだ。

21 わたしの勇士たちよ。

メラタイム(南部バビロニヤ)と

ペコデ(東部バビロニヤ)に攻め上りなさい。

わたしがさばこうとしている反逆の国バビロンに、

威勢よく進撃しなさい。

命令しておいたとおり、彼らを根絶やしするのだ。

22 国中に戦いの雄たけび、

大きな破滅の叫びが上がるように。

23 地上のすべての国々を打った強力な金槌は、

粉々になった。

バビロンは国々の中で、荒れ果てた地となった。

24 バビロンよ。

わたしがおまえに罠をしかけ、おまえを捕まえた。

おまえがわたしに戦いをいどんだからだ。

25 わたしは兵器庫を開き、

敵に怒りを表そうと武器を取り出した。

バビロンに降りかかった恐怖は、

天の軍勢の主であるわたしが指図したものだ。

26 遠くから来てバビロンに攻めかかりなさい。

穀物倉に押し入り、城壁と家々を壊して高く積み上げ、

とことん荒らすのだ。

めぼしいものは何一つ残してはならない。

27 家畜にまで、のろいが下るように。

それを一頭残らず殺すのだ。

バビロンの荒廃の時がきたのだから。

28 だが、わたしの民は逃げ出す。

彼らは故国に逃れ、

彼らの神であるわたしが怒りに燃え、

神殿を壊した者たちに仕返ししたと報告する。

29 弓を引く者をバビロンに呼び集めなさい。

この都を包囲し、

蟻一匹はい出るすきもないようにするのだ。

バビロンがほかの国々にしたとおりに報いなさい。

彼らはイスラエルのきよい神であるわたしに

大言壮語し、公然と反抗したからだ。

30 若者は路上に倒れて死に、勇士は皆殺しになる。

31 思い上がっている者たちよ。

わたしはおまえたちの敵になる。

おまえたちのさばきの日が、ついにきたのだ。

32 高ぶる国よ。

おまえはつまずいて倒れるが、だれも起こしてくれない。

わたしが町々に火をつけ、何もかも灰にするからだ。」

33 天の軍勢の主はこう言います。「捕虜になったイスラエルとユダの民は虐待されている。主人たちは彼らを釈放しようとしない。

34 だが、彼らを救い出す者は強く、その名は天の軍勢の主だ。わたしは彼らの訴えを聞き、彼らが自由の身となり、再びイスラエルの地で平穏に暮らせるように取り計らう。だが、バビロンの住民に安息はない。

35 破滅の剣がカルデヤ人に切りかかる。

その剣はバビロンの住民を、

重立った者も知恵のある者も区別なしに切りまくる。

36 賢い助言者も愚かになり、

何ものをも恐れない勇士もあわてふためく。

37 戦いが起こって、馬も戦車ものみ尽くす。

同盟を結んだほかの国々の者たちは、

女のように弱くなり、財宝はみな略奪される。

38 そればかりか、水の補給さえなくなる。

どうして、このようになるのだろうか。

国中に神々の像が立ち、

民が熱心に偶像を慕っているからだ。

39 バビロンの都は、だちょうや山犬、荒野の野獣の住みかとなり、人は二度と住みつかない。永久に荒れ果てた地となる。

40 わたしは、ソドムとゴモラとその近くの町々を滅ぼしたように、バビロンを滅ぼす。これらの町々に人が住まなくなったように、バビロンにも人が寄りつかなくなる。」

41 北から大軍が押し寄せて来ます。神が多くの国から呼び集めた王たちが、この軍隊を指揮しています。

42 彼らは完全武装していて、残忍で容赦しません。その雄たけびは、海辺に打ち寄せる波のように響き渡ります。バビロンよ。彼らは戦いのしたくを整え、馬に乗って攻めかかります。

43 バビロンの王は、敵が来たという報告を受けると、肩を落としました。産みの苦しみをしている女のように、恐怖の苦痛に取りつかれたからです。

44 「ヨルダンの密林から出て、草を食べている羊に飛びかかるライオンのような侵略者が、彼らに突然襲いかかるようにする。彼らを守る者たちを追い払い、わたしの気に入った指導者を立てる。わたしのような者がいるだろうか。わたしの決めたことに反抗する支配者が、どこにいるだろうか。だれがわたしを呼びつけて、説明を求めることができようか。

45 カルデヤ人の国バビロンへの、わたしの計画を聞きなさい。

小さな子どもたちでさえ、奴隷になって引かれて行く。

身の毛もよだつほど恐ろしいことではないか。

46 バビロンの倒れる地響きで、全地は揺れ動く。

その断末魔の叫びは、世界の隅々に届く。」

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エレミヤ書

エレミヤ書 51

1 神はこう言います。

「わたしは、カルデヤ人の住むバビロンを

隅々まで滅ぼす者たちを、勇気づける。

2 ふるい分ける者たちが来て、

バビロンをふるいにかけ、風を起こして吹き飛ばす。

彼らは、災いの日に四方八方から来て、攻め立てる。

3 敵の矢はバビロンの射手を倒し、勇士のよろいを貫く。

生き延びる者は一人もいない。

若者も老人もみな、いのちを落とす。

4 カルデヤ人の地に倒れ、

めった切りにされて路上で息絶える。

5 わたしは、イスラエルとユダを見捨てたわけではなく、

依然として彼らの神である。

だがカルデヤ人の地は、

イスラエルのきよい神に対する罪で満ちている。」

6 バビロンから逃げ出し、自分のいのちを救いなさい。

罠にかかってはいけません。

そのまま残ったら、神がバビロンのすべての罪に

報復する時、巻き添えを食います。

7 バビロンは、主の御手にある金の杯のようでした。

すべての国々はこれから飲んで、酔いつぶれました。

8 ところが今度は、突然、そのバビロンが倒れたのです。

この国のために泣きなさい。薬を与えなさい。

もしかしたら、元どおりになるかもしれません。

9 できることなら助けたいのです。

しかし今となっては、どんな手を打っても救えません。

この国を見捨てて、故国へ帰りなさい。

主がこの国に天罰を下したからです。

10 主は私たちの顔を立ててくださいました。

さあ、エルサレムで、

神のなさったすべてのことを言い広めましょう。

11 矢じりを研ぎ、盾を高く掲げなさい。

主はメディヤ人の王たちを勇気づけて

バビロンに乗り込ませ、

これを滅ぼすことに決めたからです。

これが、神の民を虐待し、

神殿を汚した者たちへの報復です。

12 バビロンよ、守備を固め、城壁に見張りを大ぜい立て、

伏兵を隠しておきなさい。

神は宣言したことをみな実行するからです。

13 商業の中心地である繁栄した港よ。

いのちの糸が切られる最期の時がきました。

14 天の軍勢の主はご自分の名にかけて、こう誓いました。

おまえの町々は、無数のばったが群がる畑のように、

敵兵であふれ返る。

彼らは、天にも届けとばかり、勝ちどきを上げる。

15 神は力と知恵をもって地をお造りになりました。

すぐれた知性をもって天を張り広げました。

16 神が口を開くと大空に雷がとどろき渡ります。

神は大地から水蒸気を上らせ、ご自分の倉から、

雨と風を伴ういなずまを取り出します。

17 神に比べたら、人間は愚かな獣で、

一かけらの知恵もありません。

金細工人は偶像を作るたびに、

ますます良心が鈍くなります。

偶像には、いのちのしるしである息がないのに、

それを作るたびに神ができたと言って、

うそをつくからです。

18 偶像は、むなしいものです。

神が来てそれをみな滅ぼす時が近づいています。

19 イスラエルの神は偶像ではありません。

この神があらゆるものを造り、

イスラエルをご自分の民としました。

その名は天の軍勢の主です。

20 バビロンは神のための戦いの斧であり、また剣です。

主は言います。

「わたしは国々を木端微塵に砕き、

多くの王国を滅ぼすためにおまえを用いる。

21 おまえを使って軍勢を蹴散らし、馬と乗り手を倒し、

戦車とそれに乗っている者を打ち砕く。

22 おまえを使って、年老いた者も若者も、

若い男も若い女も、

23 羊飼いも羊の群れも、農夫も牛も、

指揮官も総督も倒す。

24 わたしはイスラエルの目の前で、

バビロンとカルデヤ人に報いる。

彼らがわたしの民に加えたすべての悪に

仕返しするのだ。

25 全世界を破壊する大きな山、バビロンよ。

わたしはおまえを攻める。

おまえにこぶしを振り上げ、高い所から突き落とし、

おまえを焼けただれた山にする。

26 おまえは永久に荒れ地となり、

おまえの石さえも、建築用として再生されることはない。

おまえは地上から完全に一掃されるのだ。」

27 多くの国々に合図して、

バビロンを攻める兵士を集めなさい。

雄たけびをあたりに響かせなさい。

アララテ、ミニ、アシュケナズの軍隊を呼びなさい。

指揮官を決め、長蛇の列をなして馬を進めなさい。

28 バビロンめざして、メディヤ人の王たちと将軍たち、

その支配下の国々の軍隊を攻め上らせなさい。

29 バビロンは震え、苦痛で身もだえします。

主がこの国について計画したことはみな、

少しも変更されないからです。

バビロンは、だれも住まない荒れ地となります。

30 大勇士でも、戦う気力を失い、

仮小屋に引きこもります。

力が尽きて、女のようになるのです。

侵略者たちは家々を焼き、町の門を壊しました。

31 伝令が四方八方から王のもとへ駆けつけ、

何もかも失われたと報告します。

32 退路はすべて断たれ、とりでは焼き払われ、

兵士たちは大混乱に陥っています。

33 イスラエルの神である天の軍勢の主が、

こう言ったからです。

「バビロンは打ち場に積まれた麦のようだ。

もうすぐ、からざおで打たれる。」

34-35 バビロンのユダヤ人たちは訴えます。

「バビロンのネブカデネザル王は、私たちを食い物にし、

踏みつけ、骨なしにしました。

怪物のように私たちをのみ込み、

私たちの財宝で腹を満たし、

私たちをイスラエルから追放しました。

バビロンに、このすべての悪事の報いを刈り取らせ、

その手で流した私たちの血を完全に償わせてください。」

36 それに対して、主はこうお答えになります。

「わたしはおまえたちを弁護する者となり、

おまえたちのために報復する。

バビロンの川を干上がらせ、水の補給を断つ。

37 こうしてバビロンは、石くれの山となり、

山犬が住みつき、だれもいない見るも恐ろしい地となる。

38 バビロニヤ人は宴会を開いて、

ライオンのようにほえる。

39 彼らがありったけのぶどう酒を飲んで

気持ちが大きくなっている時、

わたしは彼らのために別の宴会を設け、

彼らが意識を失って倒れ、

永遠の眠りにつくまで飲ませる。

40 彼らを子羊のように、また雄羊や雄やぎのように、

ほふり場に引いて行く。

41 全世界の人のあこがれの的だった、

あの偉大なバビロンは、なぜ倒れたのか。

世界は、バビロンが倒れるのを見て、目を疑う。

42 海がせり上がってバビロンを包むと、

それは波に覆われた。

43 町々は廃墟となった。

バビロンは、誰ひとり住まず、旅人さえ寄りつかない、

乾ききった荒れ地となる。

44 わたしはバビロンの神であるベルを罰し、

その口から、彼がのみ込んだ物を取り出す。

諸国の民は二度と彼を拝まない。

バビロンの城壁は倒れてしまった。

45 わたしの民よ、バビロンを脱出し、

わたしの激しい怒りから自分を救いなさい。

46 外国の軍隊が近づいて来るといううわさを聞いても、うろたえてはならない。うわさは、いつになっても絶えないものだ。だが、この国に内戦が起こり、各州の総督が互いに戦う時がくる。

47 わたしがこの大都市とこの国のすべての偶像を罰する時が、きっとくる。そうなれば、町中に死人が転がるようになる。

48 バビロンを攻める強力な軍勢が北から来るので、天も地も喜ぶ。」そう主は言います。

49 かつてイスラエルの民を殺したように、今度はバビロンが殺される番です。

50 剣から逃れた者は、立ち止まって、あたりの様子を見ていてはいけません。力の限り逃げなさい。主を思い出して、はるかかなたのエルサレムへ帰って行きなさい。

51 「バビロンから来た外国人たちの手で神殿が汚されたので、私たちはとても恥ずかしい思いをしました。」

52 「そのとおりだ」と、主は言います。しかし、バビロンの偶像が壊される時が近づいています。国中に、傷ついた人のうめき声が聞こえます。

53 「たとえ、バビロンが天のように高くなり、その力が信じられないほど増し加わったとしても、必ず死ぬ」と、主は言います。

54 カルデヤ人の支配する地、バビロンに上がる大きな破壊の叫びを聞きなさい。

55 主はバビロンの息の根を止めます。その大きな声も、やがては大波にのまれて消えます。

56 すべてのものを破壊する軍勢が攻めて来て、勇士たちを滅ぼします。武器という武器はどれも、まるで役に立ちません。神がバビロンに与えるものは、当然の刑罰だけです。

57 「わたしは、この国の重立った者、知恵のある者、支配者、指揮官、それに勇士たちを酔いつぶす。彼らは深い眠りに落ち、二度と目を覚まさない。」こう天の軍勢の主である王が言います。

58 バビロンの厚い城壁はくずれて平らになり、

高い城門も無残に焼け落ちます。

多くの国から呼び集められた建築士は、

造った物が火で焼かれるため、

むだ骨を折ったことに気づきます。

59 ゼデキヤ王の治世の第四年に、エレミヤを通して、次のことばがマフセヤの子のネリヤの子セラヤにありました。それは、宿営長セラヤがユダのゼデキヤ王と共に捕まり、バビロンへ流される、というものでした。

60 エレミヤは、先に書いたような、神がバビロンに下そうとしているすべての災害を巻物に書き留め、

61-62 その巻物をセラヤに渡して言いました。「バビロンに着いたら、私の書いたことを読み、次のように言いなさい。『主よ。あなたはバビロンを滅ぼし、そこを猫の子一匹いない、永遠に見捨てられた所にする、と語りました。』

63-64 読み終えたら、石を結びつけてユーフラテス川に投げ込み、こう言いなさい。『このように、バビロンは沈み、二度と浮かび上がらない。わたしがこの国に災いを招くからだ。』」

これで、エレミヤのことばは終わります。

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