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エゼキエル書

エゼキエル書 23

姦淫の姉妹

1 再び、主からのことばが私にありました。

2-3 「人の子よ、二人の姉妹のことを話そう。二人はうら若いおとめであったころ、エジプトで淫行を繰り返していた。

4-5 姉はオホラ、妹はオホリバと言った。この二人とは、サマリヤとエルサレムのことだ。二人はわたしの妻となり、それぞれ息子や娘を産んだ。ところが、オホラはわたしのもとを離れて他の神々に走り、隣のアッシリヤ人を愛した。

6 みな魅力的な若者で、鮮やかな青い衣を着て、さっそうと馬にまたがった司令官や隊長だったからだ。

7 こうして彼女はアッシリヤのえり抜きの男たちと姦通の罪を犯し、彼らの偶像を拝んで身を汚した。

8 オホラはエジプトを出てからも、みだらな心が消えていなかった。エジプト人が彼女に欲情を募らせて、その純潔を奪った、あの若いころと少しも変わっていなかったのだ。

9 それでわたしは、アッシリヤの神々に夢中になっている彼女を、アッシリヤ人の邪悪な手に渡した。

10 彼らは彼女を裸にして殺したうえ、その子どもたちを連れ去って奴隷にした。彼女の名は、当然の報いを受けた悪女として、女たちの語り草となった。

11 妹のオホリバ(エルサレム)も、姉の身に起こったことを見ていながら、同じことをしたばかりか、さらにひどい罪を犯した。

12 彼女も、堂々と軍馬にまたがった若者、りっぱな制服を着た士官であるアッシリヤ人に、手当たりしだい、だれでもよいとばかりに媚びへつらった。

13 こうして妹も、姉の歩んだ道をまっしぐらに進んだ。

14-15 事実、オホリバの堕落ぶりはサマリヤをはるかに上回っていた。彼女は壁にかかっている絵を見て、そのとりこになってしまったのだ。そこに描かれていたのは、バビロンの士官たちで、目の覚めるような赤い制服を着け、りっぱなベルトを締め、頭には垂れるほどのターバンを巻きつけていた。

16 その絵を見ただけで、彼女は男たちにすっかり魅せられ、使者をカルデヤに遣わした。もちろん、彼らを自分のもとに招くためだ。

17 彼らは来て彼女と姦淫し、恋の寝床で彼女を汚した。しかしその後、彼女は彼らをいやがるようになり、彼らのもとを離れて行った。

18 わたしは、姉と同様、妹にも愛想が尽きた。この妹は、これ見よがしに裸体を彼らの前にさらけだし、彼らの情欲に身をまかせたからだ。

19-20 それでもいっこうに懲りもせず、さらに淫行を重ね、エジプトで淫行をした若いころの愛人たちを思い出し、よりを戻してみだらな行為を重ねたのだ。

21 こうして、エジプト人に純潔をささげた、あの若かった昔の日々をたたえているしまつだ。」

22 それで今、神である主は語ります。「ああ、オホリバ。わたしは、あなたが愛想を尽かして別れたその国々を奮い立たせて、あなたに立ち向かわせる。

23 見よ、バビロニヤ人が攻めて来る。ペコデやショアやコアから、すべてのカルデヤ人がやって来る。それに、馬にまたがった、アッシリヤの美しい若者、高官たちが加わっている。

24 彼らは戦車や車に乗り、戦闘準備を整えた大軍を率いて、北から攻めて来る。この大軍団は四方からあなたを囲み、やりたい放題のことをする。

25 わたしはあなたを断じて赦さず、恐ろしい目に会わせる。耳も鼻も切り落とされ、生き残った者も殺される。子どもたちは奴隷として連れ去られ、残った者は焼き払われる。

26 美しい服や宝石もはぎ取られる。

27 こうしてわたしは、エジプトから持ち込んできた、みだらな行為をやめさせる。あなたはもう二度とエジプトにあこがれたり、その神々を慕うことがない。」

28 神である主は語ります。「わたしは、あなたが忌みきらう敵どもの手にあなたを必ず渡す。

29 彼らは憎しみをこめてあなたを罰し、何もかも奪い取って、裸にして放り出す。こうして、淫乱の恥がすべての国々にさらされるのだ。

30 それも自分で招いたことだ。外国の神々を拝み、偶像礼拝によって自分自身を汚したからだ。

31 あなたは姉と同じ道をたどったので、わたしは姉を滅ぼしたのと同じ恐ろしい罰を、あなたにも下す。

32 そう、姉に臨んだ恐るべきことが、あなたにも降りかかる。

姉が飲んだ杯は、あふれていた。

おまえが苦しむのを見て、

国々があざ笑うだろう。

33 あなたも、姉サマリヤのように悲嘆にくれ、

酔っぱらいのようによろめき歩くようになる。

34 苦しみもだえながら、

なおも恐怖の杯を最後の一滴まで飲み干すのだ。

これを語ったのはわたしだ。

35 わたしを忘れ、わたしに背を向けた責任はみな、あなたが自分で負わなければならない。

36 人の子よ、恐ろしい悪を重ねているエルサレムとサマリヤを非難せよ。

37 彼らは姦淫と殺人の罪を犯した。偶像を拝み、わたしのために産んだ子どもたちを、偶像の祭壇にいけにえとしてささげ、焼き殺してしまったのだ。

38 その同じ日にわたしの神殿を汚し、安息日を無視した。

39 子どもを殺して偶像にささげておきながら、同じ日にその足で、神殿へ礼拝に来るのだから。彼らのわたしに対する態度は、こんなものでしかないのだ。

40 そればかりか、遠くの国にまで使いを送り、偶像の神々に仕える祭司を招いて歓迎している。彼らの気を引こうと、おまえは体を洗い、アイシャドーを塗り、最上の宝石で身を飾った。

41 豪華な寝床にいっしょに腰をかけ、その前に置いたテーブルの上に香と油とを並べた。

42 あなたの部屋からは、荒くれ者や飲んだくれのばか騒ぎが聞こえてきた。彼らはあなたの腕に腕輪をはめ、頭にきらきら輝く冠をのせた。

43 だれが、年老いて疲れきった娼婦を抱くだろうか。

44 ところが、この男たちはそうしたのだ。恥じらいを忘れた娼婦サマリヤとエルサレムのもとへ、情欲にかられて彼らは行った。

45 だが、正しい人々は、どこででも、彼女たちの正体が姦淫の女や人殺しであることを見抜き、律法に従って彼女たちを裁く。」

46 神である主はこう語ります。「大軍を攻め上らせて、彼女たちを辱め、打ち砕く。

47 敵兵は彼女たちを石で打ち、剣で殺し、息子や娘を虐殺し、家は火で焼き払う。

48 こうして、わたしはこの地から、みだらな行為や偶像礼拝をなくす。わたしのさばきは、それを見るすべての人々に、偶像礼拝の非を悟らせるだろう。

49 あなたがたは、売春や偶像礼拝の罪の報いを余すところなく受ける。その全部の罰を負わなければならない。その時、あなたがたはわたしだけが神であることを知る。」

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エゼキエル書 24

エルサレムを象徴するなべ

1 エホヤキン王が捕囚となって九年目の第十の月の十日、私に次のような主のことばがありました。

2 「人の子よ、今日の日付を書き留めよ。今日、バビロンの王がエルサレムに攻撃をしかけたからだ。

3 さあ、反逆者であるイスラエルに、このたとえを語りなさい。

神である主がこう命じる。

なべに水を入れ、火にかけて沸騰させなさい。

4 そこに最上の羊の肉、ももや肩などの

柔らかい肉をたくさん入れなさい。

5 群れの最良の羊だけを使うのだ。

火にはどんどん薪をくべ、

肉が骨から離れるまでよく煮なさい。」

6 神である主はこう語ります。

「ああ、流血の町、エルサレムはのろわれよ。

おまえは、さびと傷とで穴だらけになった

なべのようだ。

その中から一切れ一切れ、肉を取り出せ。

どれが良いということはなく、みな同じだからだ。

7 エルサレムの醜悪さは周知のことだ。

平気で人を殺し、その血が岩にたれて、

人目にさらされても、隠そうともしない。

8 だから、わたしもそのままにして、

その血がエルサレムの犯行を訴えるにまかせた。

わたしの怒りと憤りはいやがうえにも募った。

9 流血の町、エルサレムはのろわれよ。

わたしはその下に薪を積み上げる。

10 さあ、薪をくべ、どんどん火を燃やせ。

なべを煮えたぎらせるのだ。

肉をよく煮てから、なべを空にし、骨を燃やすのだ。

11 空のなべを炭火にかけ、

そのさびや汚れを焼き落とせ。

12 だが、すべては骨折り損だ。火をどんなに強くしても、さびや汚れは落ちずに残るからだ。

13 そのさびと汚れとは、偶像を礼拝してやまない、みだらな行為のことだ。わたしはあなたをきよめようとしたが、あなたが拒んだので憤りを燃え上がらせ、恐ろしい目に会わせる。それまで汚れたままでいるがいい。

14 主であるわたしが、これを語ったのだ。このことは必ず起こる。わたしがそうするからだ。」

エゼキエルの妻の死

15 また、私に次のような主のことばがありました。

16 「人の子よ。わたしはあなたの愛する妻を取り去る。彼女は急死する。しかし、悲しんではならない。決して泣いてはならない。涙を流してはならない。

17 ため息はついても、声を立ててはいけない。彼女の墓で、声を上げて泣いてはいけない。頭にターバンを巻き、足に靴をはきなさい。慰めにと、友人が持って来る食べ物を受け取ってはいけない。」

18 その朝、私はこのことを人々に語りました。その晩、妻が死にました。翌朝、私は主が語ったとおりにしました。

19 すると人々は、「なぜ、そんなふうにするのですか。わけを教えてください」と尋ねてきました。

20-21 そこで私は答えました。「主が私に、イスラエルの民にこう言え、と語ったのです。『わたしは、あなたがたが国の力と頼み、わたしが愛してやまない美しい神殿を破壊しよう。そして、ユダヤにいるあなたがたの息子や娘を剣で殺そう。』

22 その時あなたがたは、私がしたのと同じことをするようになります。つまり、人前で嘆き悲しむことも、同情して友人が持って来てくれた食べ物を食べることもできなくなるのです。

23 喪中だというのに、頭にはターバンを巻き、足に靴をはき、嘆くことも泣くこともしません。互いの罪を嘆き合い、自分たちが犯した多くの悪を悲しむのです。

24 主が言われるとおり、私は手本を示したのです。『エゼキエルがしたとおりに、あなたがたもするようになる。その時がきたら、あなたがたはわたしが神であることを知るようになる。

25 人の子よ。わたしがエルサレムの住民から、心の喜びであり誇りでもある妻や、息子や、娘を取り去る日に、

26 エルサレムから命からがら逃れた者が、バビロンにいるあなたに、その出来事を知らせるために向かう。

27 その者が到着したら、さっそく話をするがいい。あなたはこの人々のためのしるしとなるのだ。その時、彼らはわたしが神であることを知る。』」

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エゼキエル書 25

アモン人についての預言

1 それから、このような主のことばがありました。

2 「人の子よ。アモン人の地に顔を向け、その住民に預言せよ。

3 彼らにこう告げるのだ。神、主が語ることを聞け。おまえは、わたしの神殿が破壊された時、あざ笑った。イスラエルが苦しんでいる時、これをさげすんだ。ユダが捕囚として連れて行かれた時、それ見たことかと笑った。

4 それゆえ、わたしは東の荒野からベドウィン族をおまえの地に侵入させる。彼らはおまえのうちに陣取り、住みつき、おまえが育てた作物を全部刈り取り、乳牛を盗んでいく。

5 わたしはラバの町をらくだの牧場とし、アモン人の住む全地を羊の放牧地として荒れるにまかせよう。その時、おまえはわたしが神であることを知る。」

6 神である主はこう語ります。「おまえはわたしの民の滅亡を見て手をたたき、足を踏み鳴らして喜んだ。

7 それゆえ、重い罰を加え、多くの国を侵入させて、おまえを廃させる。国として立ち行かなくなるまで滅ぼそう。その時、おまえはわたしが主であることを知る。」

モアブについての預言

8 神である主はこう語ります。「モアブ人は、『ユダの国も他の国と変わらないではないか』と言った。

9-10 それゆえ、わたしはモアブの東の国境を開け放ち、モアブ人が誇りとしているベテ・ハエシモテ、バアル・メオン、キルヤタイムの町々を掃討する。東の荒野から来るベドウィン族が、アモン人に対するようにモアブにもなだれ込む。モアブは国々の間から抹消される運命にある。

11 こうして、わたしのさばきが下る時、彼らはわたしが主であることを知る。」

エドムについての預言

12 神である主はこう語ります。「エドムの住民は、自分の手でユダの民に復讐するという大きな罪を犯した。

13 それゆえ、こぶしでエドムを打ちたたき、人も家畜も羊の群れも一掃する。テマンからデダンまで、すべてのものを剣で切り倒す。

14 わたしの民イスラエルの手によって、このことを行う。彼らがわたしの激しい復讐を遂げる。」

ペリシテについての預言

15 神である主はこう語ります。「ペリシテ人は昔からユダに恨みを抱き、復讐の念に燃えて攻めて来た。

16 それゆえ、ペリシテ人の地にこぶしを振り上げ、ケレテ人を一掃し、海岸に住む者を完全に滅ぼす。

17 彼らのしてきたことに対して恐ろしい復讐をする。それが現実となる時、彼らはわたしが主であることを知る。」

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エゼキエル書 26

ツロについての預言

1 エホヤキン王が捕囚となって十一年目のその月の第一日、主から新しいことばが示されました。

2 「人の子よ。

ツロはエルサレムの滅亡を喜んで、

『それ見たことか。エルサレムは地中海沿岸と、

ヨルダン川沿いの南北に通じる通商路を支配し、

利益を得ていたが、ついに打ち破られた。

あとは私のものだ。

エルサレムが廃墟になったので、

私は金持ちになれる』と言った。」

3 それゆえ、神である主はこう語ります。

「ツロよ。わたしはおまえを攻める。

波が打ち寄せるように、

たくさんの国が次から次へと攻め寄せる。

4 彼らはツロの城壁を破壊し、やぐらを倒す。

わたしは、その土を削り取って、

そこを裸の岩にしよう。

5 島には、住む人もなく、

ただ漁師が網をしかける場所となる。」

これを語ったのはわたしであると、

神である主が言います。

「ツロは多くの国のえじきとなる。

6 本土にあるツロの町も剣によって滅びる。

その時、彼らはわたしが主であることを知る。」

7 神である主はこう語ります。

「北から、王の王であるバビロンの王

ネブカデネザルを連れて来よう。

彼は騎兵と戦車の大軍を率いて、ツロに攻め寄せる。

8 まず、周辺の村々を攻略し、

それから本土の町を包囲してとりでを築き、

盾を屋根のように掲げて攻撃する。

9 破城槌で城壁を突きくずし、

大づちをふるってとりでを粉砕する。

10 騎兵隊の巻き上げる土煙で、

町は息もつけないありさまとなるだろう。

打ち破られた城内から、

戦車を引いて疾駆する馬の地響きに、

城壁は震え上がるだろう。

11 騎兵たちが町にひしめき、

住民を片っぱしから殺して回る。

あの名高い、大きな柱も倒される。

12 財宝も商品も残らず略奪され、城壁も打ち壊される。

快適な家は取り壊され、石も木も、そしてちりまでも、

海に投げ捨てられる。

13 わたしは、おまえが歌うのをやめさせる。

もう竪琴の音も聞こえなくなる。

14 おまえを裸岩とし、

漁師たちが網をしかける所とする。

おまえは二度と建て直されることはない。

主であるわたしが言うのだ。

15 おまえがくずれ落ちる響きで国中が震え、虐殺が続けられる中で、傷ついた者たちが悲鳴を上げる。

16 その時、海辺の諸国の指導者たちは、王座から降り、王衣も美しい衣服も脱ぎ捨て、あまりに恐ろしい光景に、身を震わせながら地に座り込む。

17 彼らはおまえのために嘆き悲しみ、こんな哀歌を口にする。

『ああ、難攻不落を誇った港の町。

その強大な海軍力が本土を恐れさせたのに、

どうして海に消えてしまったのか。

18 島々はおまえの滅亡に恐怖に駆られ、

おびえたまなざしで見つめている。』」

19 神である主は語ります。「わたしはツロを完全に滅ぼす。ツロは大洪水のような敵の猛攻撃で、その下に沈められる。大海がおまえをのみ込んでしまうのだ。

20 わたしはおまえを地獄の穴に送り込み、昔の民といっしょに横たえさせる。町は荒れはて、死の町となる。再び人が住むことはなく、その美しさを取り戻すこともない。

21 わたしはおまえに恐ろしい最期を遂げさせる。いくら捜しても、おまえを見つけることはできない。」このように主が語るのです。

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エゼキエル書 27

ツロへの哀歌

1 次のような主からのことばがありました。

2 「人の子よ、ツロのために、この悲しみの歌を歌え。

3 ああ、貿易の中心地、強大な港町よ。

主のことばを聞きなさい。

おまえは『私は世界で一番美しい町だ』

と自慢している。

4 領土を海の中にまで広げ、

建築家たちはおまえを豪華に仕上げた。

5 おまえはセニル産の最上のもみの木で造った

船のようだ。

マストにはレバノン杉を使った。

6 櫂にはバシャン産の樫の木、

船室の壁にはキプロス南岸産の糸杉材を使った。

7 その帆はエジプト亜麻の最上の帆布で、

おまえを覆う日よけは

東部キプロス産の紫と紅の染料で明るく彩られている。

8 船員はシドンとアルワデ出身の者、

舵手はツロの腕ききだ。

9 ゲバル出身の経験豊富な船大工が

船板の継ぎ目を修理する。

世界の各地から商品を満載した船がやって来て、

おまえと商いをする。

10 軍隊には遠くペルシヤ、ルデ、

プテの出身者がいて、おまえに仕えた。

城壁にかけた彼らの盾は、自慢の種だった。

11 アルワデとヘレク出身の者が城壁の歩哨に立ち、やぐらはガマデ出身の者が守りを固めていた。彼らの盾も城壁にずらりと並び、おまえの栄誉はまさに完全そのものだった。

12 タルシシュから、銀、鉄、すず、鉛など、あらゆる種類の財宝が手に入った。

13 ヤワン、トバル、メシェクの商人は奴隷や青銅の器を持参し、

14 ベテ・トガルマからは軍馬、戦車用の馬、らばが運ばれて来た。

15 デダンからも商人が来た。おまえは地中海沿岸の市場を支配し、黒檀や象牙で支払わせた。

16 エドムの貿易商人はおまえの製品をたくさん買い、エメラルド、紫の染料、刺繍品、上質の亜麻布、さんごやめのうなどの宝石と交換した。

17 ユダと、かつてイスラエル王国にあった町々も、ミニテの小麦といちじく、はちみつ、香油、香料などを持参して、商いをした。

18 ダマスコもやって来て、ヘルボンのぶどう酒とシリヤの羊毛を、おまえの豊富な製品と交換した。

19 ベダンとヤワンも、アラビヤ糸、銑鉄、桂枝、菖蒲を持参して商いをした。

20 デダンは鞍に敷く高級な布地を持参した。

21 アラビヤ人もケダルの裕福な君主たちも、子羊、雄羊、やぎを持参した。

22 シェバとラマの商人は、いろいろな種類の香料、宝石、金を持って来た。

23 カランとカネ、エデン、アッシリヤ、キルマデも、それぞれの製品を持って来た。

24 青の布地、刺繍品、固く撚った太ひもでしっかり織り上げた多彩な敷物など、最上質の織物類だった。

25 タルシシュの船団は、おまえが雇った海のキャラバンだ。

おまえの島の倉庫はあふれるばかりだ。

26 だが今、ツロの政治家たちは

おまえの船を嵐の真っただ中にこぎ出した。

激しい東風に、さすがの巨船もぐらつき、

海の真ん中で難破する。

27 すべてのものが海のもくずと消える。

財宝も商品も、船員も水先案内人も、

船大工も商人も兵隊も、

すべての人が、ツロの壊滅の日に、海の底に沈む。

28 恐怖におののく水先案内人の叫び声に、

近隣の町々は震え上がる。

29-30 海に出ていた船員が上陸し、

本土の岸に立って見回しながら大声で泣き、

頭にちりを振りかけ、灰の中をころげ回る。

31 彼らは悲しみのあまり頭をそって丸坊主となり、

荒布をまとい、ツロのために心を痛めて、

泣きくずれる。

32 そして悲しみの歌を歌う。

『海の真ん中で滅ぼされたツロのように不思議な町が、

世界のどこにあっただろうか。

33 おまえの商品は多くの国の人々の欲望を満足させた。

地の果てに住む王たちも、

おまえが送った財宝を喜んだ。

34 だが今、おまえは海の底に横たわっている。

すべての商品も、それを運ぶ船員もみな、

おまえとともに沈んでしまった。

35 沿岸に住む者はみな、わが目を疑い、

立ちすくんでいる。

王たちも、おびえた表情でじっと見つめている。

36 他国の商人も、おまえがたどった運命の恐ろしさに、

頭を振って考え込んでいる。

おまえは永久に滅び去ったのだ。』」

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エゼキエル書 28

ツロの君主についての預言

1 また、次のような主のことばが示されました。

2-3 「人の子よ、ツロの君主に言いなさい。」

神である主はこう語ります。

「おまえは身のほどをわきまえず、

自分を神にしてしまうほど思い上がり、

大海に浮かぶ島で神の座についている。

だが、いくら神のようにふるまっても、

おまえは人であって神ではない。

確かに、おまえはダニエルよりも賢く、

どんな秘密もおまえには筒抜けだ。

4 その知恵と知識を駆使して、

おまえは金、銀、財宝を手に入れ、大きな富を築いた。

5 そう、おまえの知恵がおまえを大金持ちにし、

高慢にしたのだ。」

6 それゆえ、神である主はこう語ります。

「おまえは、自分が神のように賢いと言っている。

7 それで、諸国に恐れられている敵の大軍が、

知恵を自慢しているおまえに向かって剣を抜き、

その栄華を汚す。

8 海の真ん中の島で、おまえを地獄の穴へ突き落とし、

剣で八つ裂きにする。

9 それでも、自分は神だと言うのか。

侵略者たちにとっては、

おまえは神ではなく、ただの人間だ。

10 おまえは外国人の手で、

まるでごみ屑のように、

無造作に殺される。」

わたしがこう言うと、神である主は語ります。

11 また、次のような主のことばがありました。

12 「人の子よ、ツロの王のために泣け。

神、主はこう語る、と告げよ。

おまえは知恵に満ち、美を極めていた。

13 おまえは神の園、エデンのような所にいて、

その服には、最高級の金の台に、ルビー、トパーズ、

ダイヤモンド、かんらん石、しまめのう、碧玉、

サファイヤ、紅玉、エメラルドなど

あらゆる種類の宝石をはめ込んだ飾りをつけていた。

みな、おまえが王となった日に贈られた物だ。

14 わたしはおまえを、

油注がれた守護者ケルブに任命した。

おまえは神の聖なる山に近づき、

火の石の間を歩いていた。

15 王となってから、不正が見つかる時まで、

おまえがやったことはみな完璧だった。

16 しかし、莫大な富に目がくらんで、

おまえは罪を犯したのだ。

そこでわたしは、普通の罪人と同じように、

おまえを神の山から追い出した。

ああ、すぐれたケルブよ。

わたしはおまえを火の石の間から消滅させた。

17 おまえは自分の美しさを鼻にかけ、思い上がっていた。

栄華のために、自分の知恵を台なしにしてしまった。

それゆえ、おまえを地面にたたき伏せ、

何事が起こったのかと好奇の目をみはる王たちの前に、

おまえの無力さを見せつけたのだ。

18 おまえは不正な商いをして自分を汚した。

それゆえ、おまえ自身の所業から火を引き出し、

みんなが見ている前でおまえを焼き、

地上の灰としたのだ。

19 おまえを知っていた者はみな、

その恐ろしい運命に背筋を凍らせる。

おまえは見せしめとして、永久に滅ぼされるのだ。」

シドンについての預言

20 次のようなことばもありました。

21 「人の子よ、シドンの町にこう預言せよ。」

22 神である主がこう語ります。

「シドンよ。わたしはおまえの敵となり、

わたしの力を現そう。

おまえを滅ぼして、わたしのきよさが示されるとき、

それを見る者はみな、わたしが主であることを知る。

23 疫病をはやらせ、兵を送って滅ぼす。

傷ついた者たちは町の通りで、

四方から攻め寄せる敵兵に殺される。

その時、おまえはわたしが主であることを知る。

24 おまえも、他のイスラエルの近隣の国々も、かつてはイスラエルをさげすみ、邪険にしてきたのだが、これからはもう、いばらやとげのようにイスラエルを突き刺したり、引き裂いたりしなくなる。

25 イスラエルの民は、わたしがその先祖ヤコブに与えた地に再び住むようになる。散らしておいた遠くの国々から、わたしがもう一度、彼らを集めるからだ。こうしてわたしは、国々にわたしのきよさを示す。

26 彼らはイスラエルに安らかに住み、家を建て、ぶどう畑を作る。こうしてイスラエルをさげすんだ回りの国々がみな罰せられるとき、彼らは、わたしが彼らの神、主であることを知る。」

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エゼキエル書 29

エジプトについての預言

1 エホヤキン王が投獄されて十年目の第十の月の十二日に、主から次のようなことばがありました。

2 「人の子よ、エジプトの王と民に預言しなさい。

3 神である主がこう語る、と告げよ。

川の真ん中にいる巨竜のようなエジプトの王よ。

わたしはおまえの敵となる。

おまえが、『ナイル川は私のものだ。

私が自分のためにつくったのだ』と言っているからだ。

4 わたしは、おまえのあごに鉤をかけ、

うろこについた魚ごと岸に引き上げる。

5 おまえを魚もろとも、死ぬまで荒野に放っておく。

遺体を葬る者はいない。

わたしがおまえを野獣や鳥のえじきとしたからだ。

6 イスラエルがわたしに頼る代わりに

おまえに助けを求めた時、

おまえにはそれだけの力がなかった。

そのことから、おまえたちはみな、

わたしが主であることを知るようになる。

7 イスラエルはおまえに寄りかかった。

だがおまえは、ひびの入った杖のように折れた。

イスラエルは肩を砕き、痛みのあまりよろめいた。」

8 それで、神である主は語ります。「ああ、エジプトよ。わたしは軍隊を送っておまえを攻め、人も家畜もみな滅ぼす。

9 エジプトは荒れはてる。その時、エジプト人は、このようにしたのは主であるわたしだと知る。おまえは、『ナイル川は私のもの。私がつくったのだ』と言っている。

10 それゆえわたしは、おまえとその川に向かって立ち上がり、ミグドルからセベネ、さらに南のエチオピヤとの国境に至るまで、エジプト全地を完全に滅ぼす。

11 四十年間、誰ひとり、獣一匹さえエジプトを通らないだろう。もちろん、住む者もいなくなる。

12 エジプトばかりか周囲の国々も荒廃させ、町々も四十年間、荒れ放題にする。わたしはエジプト人を他の国々に追い散らす。」

13 主は語ります。「四十年が過ぎたら、エジプト人を散らされていた国々から連れ戻そう。

14 エジプトの富を回復し、彼らが生まれ育った地、南エジプトのパテロスに帰らせる。だが、もうエジプトは、何の影響力もない小国となる。

15 すべての国々の中でも最小の国となり、二度と他の国の上に立つこともない。今までのような大国には決してなれない。

16 イスラエルも、二度とエジプトに助けを求めたりはしない。助けを求めようとするたびに、以前の苦い失敗を思い出すからだ。こうしてイスラエルは、わたしだけが神であることを認めるようになる。」

17 エホヤキン王の捕囚から二十七年目の第一の月の一日、次のような主のことばがありました。

18 「人の子よ。バビロンの王ネブカデネザルの軍隊がツロを激しく攻撃した。兵士たちは、土をいっぱい入れた重いバケツを載せて運んだために頭がはげ、肩は包囲攻撃に使う石の重さですりむけ、手にはまめができた。そうまでしても、ネブカデネザル王は何の戦利品も得られず、兵士たちに何も報いることができなかった。」

19 そこで、神である主は語ります。「わたしは、バビロンの王ネブカデネザルにエジプトの地を与えよう。彼はエジプトの財宝を取り上げ、すべての物を奪って部下への報いとする。

20 そう、わたしは、エジプトの地を報酬として彼に与える。彼はツロで十三年間、わたしのために働いたからだ。」このように主が語ります。

21 「やがて、わたしがイスラエルに、昔の栄えを回復する日がくる。その日には、イスラエルの発言が重視される。こうしてエジプトは、わたしが主であることを知る。」

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エゼキエル書

エゼキエル書 30

1 また、主から私に別のことばが示されました。

2-3 「人の子よ、預言せよ。」

神である主は語ります。

「大声で泣け。恐ろしい日が間近に迫っている。

それは神の日、暗雲の垂れ込めた日、

諸国の民の絶望の日だ。

4 剣がエジプトに振り下ろされ、

殺された者で地が覆われる。

その富は奪い去られ、土台はくつがえされる。

エチオピヤも強奪される。

5 エチオピヤ、プテ、ルデ、アラビヤ、リビヤ、そのほかエジプトと同盟を結んだ国々はみな、その戦争で滅ぼされる。」

6 主がこう語るからです。

「エジプトの同盟国はみな滅び、

自慢していたエジプトの勢力も消え失せる。

エジプトの町はミグドルからセベネに至るまで、

残らず剣でなぎ倒される。

7 エジプトは荒廃し、周囲の国々も荒れはてる。

町々も廃墟となり、さらに廃墟と化した回りの町々が、

これを取り囲む。

8 わたしがエジプトに火をつけ、

その同盟国をも滅ぼす時、

彼らは、わたしが主であることを知る。

9 その時、わたしは早馬の使者を立ててエチオピヤ人をあわてさせる。エジプトの運命が定まる時、彼らは大きな恐怖に包まれる。このことは、すべて必ず起こる。」

10 神である主がこう語るからです。

「バビロンの王ネブカデネザルは、

大ぜいのエジプト人を殺す。

11 国々に恐れられる王とその軍隊は、

エジプトを破壊するために遣わされる。

彼らはエジプトを攻め、地を死体で覆う。

12 わたしはナイル川を干上がらせ、

国全体を悪人どもの手に渡す。

外国人の手を借りて、

エジプトとその中にあるすべてのものを滅ぼす。

神であるわたしが、こう語ったのだ。

13 わたしは、エジプトの偶像やメンピスの神々の像を

打ち壊す。

エジプトには王がいなくなり、無政府状態になる。

14 ナイル川上流のパテロスの町々、

ツォアンやテーベは、わたしの手で廃墟と化す。

15 またわたしは、エジプト最強のとりでペルシウムに

怒りを注ぎ、テーベの人々を絶ち滅ぼす。

16 わたしは必ずエジプトに火をつけ、

ペルシウムを痛みで苦しませ、テーベを引き裂き、

メンピスを連日、恐怖におののかせる。

17 ヘリオポリスとブバスティスの若い男たちは

剣で殺され、女たちは奴隷として連れ去られる。

18 わたしがエジプトの力を砕く時、

タフパヌヘスも暗黒の日となる。

暗雲が地を覆い、

娘たちはとりことして連れ去られる。

19 このようにして、エジプトをきびしく罰する時、

彼らはわたしが主であることを知る。」

20 それから一年後、すなわちエホヤキン王が捕囚となって十一年目(エルサレム陥落の年)の第一の月の七日、次のようなことばがありました。

21 「人の子よ。わたしはエジプト王の腕を打ち砕いた。その腕は手当てもされず、添え木も当てられなかったので、二度と剣を持つことができない。」

22 神である主が言います。「わたしはエジプト王を攻め、骨折した腕とともに、もう一方の丈夫な腕も砕き、その手から剣をたたき落とす。

23 そして、エジプト人を多くの国に追い散らす。

24 わたしはバビロンの王の腕を強くし、その手にわたしの剣を握らせて、エジプトの王の腕を砕く。彼はバビロンの王の前で、瀕死の重傷を負った者のようにうめく。

25 わたしはバビロンの王の手を強くするが、エジプトの王の腕はわきに垂れ下がるだけで、使えないものとする。だから、バビロンの王がわたしの剣を握り、それをエジプトに振りかざす時、エジプトはわたしが主であることを知る。

26 わたしはエジプト人を外国に散らす。その時、彼らはわたしが主であることを知る。」

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エゼキエル書

エゼキエル書 31

エジプトを象徴するレバノン杉

1 エホヤキン王が捕囚となって十一年目の第三の月の一日、次のような主のことばがありました。

2-3 「人の子よ、エジプトの王とその全国民に告げよ。

おまえはかつての大国アッシリヤと同じく、

まるでレバノン杉のようだ。

枝を大きく張って涼しい木陰を作り、

その先端は高く雲にまで達している。

4 根は地下深く伸びて、枝はよく生い茂り、

水を回りの木々にも供給していた。

5 どの木よりも高くそびえ立ち、

根から十分に水分を吸収して枝も大きく伸び、

こんもりと茂っていた。

6 枝には鳥が巣を作り、木陰で家畜が子を産んだ。

このように世界の大国がみな、その木陰に住んだのだ。

7 木はたくましく、美しかった。

深く根を張り、十分に水分を吸収していたからだ。

8 神の園の中にも、

この木より高くそびえるものはなかった。

糸杉もこの木の枝とは比べようがなく、

その美しさにはかなわなかった。

9 わたしが与えたその雄姿を、

エデンのすべての木がうらやましがった。」

10 しかし、主はこう語ります。「エジプトは思い上がって、尊大になった。雲にまで達するほど自分を高くして、他を見下した。

11 その罰として、わたしはエジプトを大国の手に渡して滅ぼす。わたしがエジプトを切り倒すのだ。

12 国々から恐れられているバビロンからの軍隊を侵入させ、その木を切り倒して、地に投げ捨てさせる。枝はエジプトの山や谷や川に散らされる。その木陰に身を寄せていた者はみな、倒れたエジプトを見捨てて出て行く。

13 いろいろの鳥が、倒れた木の小枝をむしり取り、野獣が枝の間に住みつくようになる。

14 どんな国も、雲より高くそびえても、その繁栄を鼻にかけて思い上がってはならない。すべてのものは滅びるからだ。それらはみな、世界中のおごり高ぶる者とともに、地獄に落とされる。」

15 主は語ります。「エジプトが滅んだ日に、わたしは大海原を喪に服させ、その潮の満ち干を止めてしまった。レバノンに喪服をまとわせ、その木々を嘆き悲しませた。

16 エジプトがくずれ落ちる大音響で、多くの国を恐れさせた。エジプトと同罪の国々をも、いっしょに地獄に投げ込んだからだ。エデンでおごり高ぶっている他のすべての木々、レバノンのえり抜きの大木、根を深く下ろして水分を吸い上げた木々は、エジプトが共に地獄にいるのを見て慰められる。

17 エジプトの同盟国も、いっしょに滅ぼされる。その木陰に宿っていた国々も、共に下界に下って行った。

18 ああ、エジプトよ。おまえはエデンの木々、すなわち世界の国々の中で、その偉大さと栄光を誇っている。だが、他のすべての国々とともに地獄の穴に投げ込まれてしまう。おまえが見下していた国々のように、剣で切り殺されるのだ。」これがエジプト王とその大軍の運命だと、主は語ります。

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エゼキエル書

エゼキエル書 32

エジプトへの哀歌

1 エホヤキン王の捕囚から十二年目の第十二の月の一日、このような主のことばがありました。

2 「人の子よ、エジプトの王のために嘆け。そして、王に告げよ。

おまえは自分を、国々の中で

強くて若いライオンのようだと思っている。

だがおまえは、ナイル川の岸で水をかき混ぜて

濁らせている、わにのような存在でしかない。

3 神、主はこう語る。

わたしは大軍を差し向け、

わたしの網でおまえを捕らえる。

それから引き上げ、

4 死ぬまで地に放り出しておく。

空のあらゆる鳥がその上に群がり、

全地の野獣がむさぼり食って、

飽きるほどになるだろう。

5 わたしは山々をおまえの肉で覆い、

谷をその骨でうずめる。

6 谷川から山の頂上に至るまで、

地をおまえのほとばしる血で染めよう。

7 わたしはおまえを抹殺し、空を覆い、星を暗くする。

太陽は雲に隠れ、月も光を放たない。

8 ほんとうに、暗黒が全地を支配し、

明るく輝く星さえ、おまえの上では暗くなる。

9 わたしがおまえを滅ぼす時、見たこともない遠い国々の人が嘆き悲しむ。

10 確かに、わたしがおまえにすることを見て、多くの国々が恐怖に襲われ、王たちはおびえる。わたしが彼らの前で剣を振り回すと、わなわなと震える。おまえが倒される日、彼らは死の恐怖に取りつかれる。」

11 神である主はこう語ります。

「バビロンの王の剣がおまえの上に振り下ろされる。

12 わたしは、国々に恐れられているバビロンの大軍を差し向けて、おまえを滅ぼす。

エジプトの誇りも民もみな、粉々にする。

何もかも滅ぼされてしまうのだ。

13 流れのほとりに放牧されている家畜の群れも滅ぼす。

その水を濁らせる人も動物もいなくなる。

14 それで、エジプトの川はオリーブ油のように澄んで、

穏やかに流れるようになる。」

主は語ります。

15 「わたしがエジプトを破滅させ、

その財産を全部取り上げる時、

エジプトは、主であるわたしがそうしたことを知る。

16 さあ、エジプトのために泣き叫べ。すべての国々よ、エジプトとその民のために悲しめ。」主がそう語るのです。

17 二週間後、主から次のようなことばがありました。

18 「人の子よ、エジプトの民のために、

また他の強大な国々のために泣け。

彼らを死者の住みかに送り込め。

19 ああ、エジプトよ。

おまえのように美しい国があるだろうか。

だが、その終わりは地獄であり、

おまえが見下していた者たちといっしょに

横たわるのだ。

20 彼らは剣によって殺された者たちとともに死ぬ。エジプトの地に下される、剣が抜かれたからだ。エジプトはさばきの座に引きずり下ろされる。

21 よみの勇士たちは、エジプトの到着を仲間たちといっしょに待ちかねている。エジプトは、自分が見下していた国々、また剣の犠牲となったすべての人々といっしょに、そこに横たわるのだ。

22 アッシリヤの君主たちは、剣で殺されたアッシリヤの全民衆の墓に囲まれている。

23 それらの墓は地獄の奥深くにあり、回りには同盟国の墓がある。かつて人々に恐れられた勇士たちも、みな敵の手にかかって死んでしまった。

24 エラムの大王たちも、その民とともにそこに横たわっている。生前、彼らは国々をさんざん荒らし回った。しかし今では、落ちぶれて地獄に横たわっている。その終わりは、普通の人間と少しも変わらない。

25 殺された全民衆の墓の間に眠るだけだ。生きている時は国々に恐れられていたのに、今は剣に倒れ、その恥を地獄にさらしている。

26 メシェクとトバルの君主たちも、兵士たちの墓に囲まれてそこにいる。みな偶像礼拝者で、かつては人々を恐れさせた者だったのに、今は死んで横たわっている。

27 昔の君主たちは、その武具をわきに置き、剣を枕とし、盾で体を覆うようにして、大きな栄誉を受けて埋葬された。だが彼らは、共同墓地に埋められただけだ。生前は人々に恐れられていたのに、

28 今は打ち砕かれて、偶像礼拝者や剣で殺された者とともに横たわっている。

29 そこには、エドムとその王たち、そのすべての族長たちがいる。かつては勇者だった彼らも、剣で殺された者や地獄に落ちた偶像礼拝者とともに横たわっている。

30 そこには、殺された北の国々の君主たちやシドン人もいる。かつて恐れられていた彼らも、今は恥をさらして横たわっている。殺されて地獄の穴に落ちた者とともに、同じ屈辱を味わっているのだ。」

31 神である主はこう語ります。「エジプトの王はそこに来ると、殺された配下の兵士たちもいるのを見て、胸をなでおろす。

32 わたしは生きている者すべてを、恐怖のどん底に突き落とす。エジプトの王とその軍勢は、剣で殺された偶像礼拝者とともに横たわる。」

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